
(左から)西村一彦、坂田直子、飯星裕史
坂田直子、西村一彦、飯星裕史の3人で90年代後半の短期間に活動したバンド、PLATINUM 900。ジャズファンクやレアグルーヴを志向し、当時の潮流にあえて背を向けたかのようなそのサウンドと磨き抜かれた音像、独特の諧謔精神は、シティポップブームの追い風もあり、いまようやく高く評価されつつある。
そんな再評価の高まりを受けてか、2021年に唯一のアルバム『Free (at last)』(99年)がリイシューされた。それに続いて、ついにファーストミニアルバム『プラチナム航空900便』(97年)、セカンドミニアルバム『プラチナム交響曲 第900番「白金」』(98年)、4曲入りEP『Missing Star』(98年)も、メンバー監修のもと、新たにリマスタリングされ再発された。いずれも中古市場で高騰していた幻のレア盤なので、待望の再発と言える。
今回は、3作のリイシューに合わせて、坂田と西村と、流線形のクニモンド瀧口との特別鼎談を企画。以前からDJの現場などでPLATINUM 900の音楽の魅力を広めていた瀧口と、PLATINUM 900の2人が初対面した。話は尽きず、2時間超に及んだ対話のダイジェストをここにお届けしよう。
90年代後半、音楽バブル時代の早すぎたバンド
――まず、PLATINUM 900というバンドについてお伺いさせてください。バンドの結成や当時の活動について、改めてお話しいただけますか?
坂田直子(PLATINUM 900)「昔のことすぎて思い出せない……(笑)。私たちが10代だった頃はバンドブームで、みんなバンドをやっていたんですよね。私はベースで、当時は歌っていませんでした。
その後、事務所に所属して活動していたんですけど、友だち経由で(西村)一彦くんのデモテープを聴いて、〈すごくかっこいい!〉って思ったんですよ。それがPLATINUM 900として活動を始めるきっかけでした」
西村一彦(PLATINUM 900)「僕は、ミュージシャンになろうと思ってデモテープを作っていたんだけど、うまくいかなくて、アメリカに行って人生をリセットしようと思っていたんですよね。
でも、当時マネージャーをやってくれていたもっちゃん(坂本圭二郎)が奔走してくれて、僕がアメリカから帰国したら、デモテープがうまいことレコード会社に渡っていたんです。それで、BMGとの契約が決まりました。
その後、〈キーボーディストを入れよう〉ということになって、飯星(裕史)くんが入ったんだよね」
――なるほど。
西村「ただ、当時僕は20代後半になっていたから、若い頃の〈スターになるんだ!〉という勢いが落ち着いちゃっていたんです(笑)。
とはいえ、デビューが決まって、録音は好きだったから楽しかったですね。1枚目(『プラチナム航空900便』)のときは右も左もわからない状態だったから、アレンジャーの中村哲さん(元スペクトラム)がいろいろなことをやってくれました。
PLATINUM 900の録音は、お金をかけた〈大名レコーディング〉でしたよ。毎晩、鰻を食べに行ってたもんね(笑)」
坂田「すごく良いお店で朝まで飲んでたよね。バブルみたいだった」
西村「合宿中も、半分くらいは飲んだり卓球したりで(笑)。有名なマニピュレーターの方を呼んで、何日もかけてハイハットの音だけをいじったり……。めちゃくちゃなことをやっていましたね。BMGの塚田(達也)さんは、上司の方にかなり怒られたらしいです(笑)」
――90年代後半の、音楽業界にお金があった時代らしいエピソードですね。
坂田「今回リマスタリングしたときに、エンジニアの方が〈よくこんなことをしていましたね〉と言っていました」
――それほど豪華な音作りだったと。
西村「特にやりたい放題だったのは、『白金(プラチナム交響曲 第900番「白金」)』のときですよ。ジャケットからしてやりたい放題(笑)」

坂田「リリース当時、クラシックのところに並べられてたんだって(笑)」
西村「パチもんだってわかりそうだけどね(笑)」
クニモンド瀧口「クラシックのレコードのオマージュをしたあのジャケット、頓知が効いていておもしろいと思います」
――PLATINUM 900の作品って、諧謔や皮肉が効いていますよね。
西村「〈おしゃれだけど、ちょっとかわいい〉〈おもしろかわいい〉みたいなものを目指していたんです」
――〈ダサかっこいい〉を狙っていたと、『Free (at last)』の再発盤のライナーノーツでおっしゃっていましたね。
西村「そうそう! 〈ダサかっこいい〉というのは、哲さんが言ったんです。
哲さんは、いろいろなことをわかってくれていましたね。〈お前らの音楽、CTIみたいだな!〉〈これを聴け!〉なんて言って、パトリース・ラッシェンとかのアルバムをいっぱい貸してくれたり」
――ファーストミニアルバム『白金』の発表後の活動についてはいかがでしょうか?
西村「1枚目の制作中に飯星くんが病気で倒れちゃって、〈もう何もできない〉という感じになっちゃったんですよね※」
坂田「飯星くんは、病院とスタジオを往復しながら作ってたんだよね」
西村「CDのクレジットに病院の名前が書いてあると思いますよ」
坂田「そんな状況のまま、よく4枚も作ったよね」
西村「よくやったと思う」
坂田「一生懸命作ったけど、ぜんぜん売れなかった(笑)!」
西村「飯星くんのことも大きかったけど、〈練習して頑張ろう!〉〈売れよう!〉みたいな気持ちがなかったよね(笑)。
でも、売れようと思ったらダメだからね。売れようとしていなかったからこそ、いままたこうやって評価してもらえているんだと思う」
坂田「私たち、売れるために自分たちを変えなかったからね。PLATINUM 900のような一彦くんが好きな音楽性のバンドは90年代当時、日本にあまりいなかったんだけど」
西村「〈この音楽こそがかっこいいでしょ!〉と思っていたら、海外からブラン・ニュー・ヘヴィーズが出てきて、レニクラ(レニー・クラヴィッツ)が出てきて、さらにディー・ライトが登場して、ショック続きだった」
――そしてジャミロクワイも大ヒットし……。
坂田「やろうとしていた音楽が、時代よりも早かったんだよね」
西村「いろいろなことを言われたけどね」
――〈もっと売れるような音楽を〉と?
西村「そうそう。PLATINUM 900以前の学生時代、他のバンドでレコード会社と話したときはかなり言われたな」

タワレコJ-Popフロアでの衝撃の出会い
――クニモンド瀧口さんは、PLATINUM 900の音楽とどのようにして出会ったんですか?
瀧口「思い出がいろいろあるので、ぜひお話しさせてください。90年代当時、僕はタワーレコードでジャズバイヤーをやっていたんですね。隣がJ-Popフロアだったんですけど、そこでかかってたのが『白金』だったんです」
西村&坂田「かかってたんだ!」
坂田「それだけでうれしい(笑)」
瀧口「ええ(笑)。すごくかっこいい音楽だったから、〈なんだろう?〉と思って。〈いまかけてるの、何?〉と訊きに行ったら、〈PLATINUM 900というグループです〉と言われたんですね。それでサンプル盤を借りて帰って聴いたら、〈98年にこういう音楽をやってる日本人がいるんだ!?〉とすごくびっくりしました。当時、J-Popはヴィジュアル系やエイベックスのアーティストが全盛期で、〈こんなマニアックなサウンドをやってるんだ!?〉と思ったんです。僕はバイヤーとしてレアグルーヴ、ジャズファンク、アシッドジャズを推していたので、なおさらでしたね。
ただ、周りの友人たちもPLATINUM 900のことは知らなくて。僕はDJも昔からたまにやっていたので、PLATINUM 900を選曲してかけると、みんな〈いまかけてる曲、なんですか?〉って訊きにくるんですよ。なので、ある意味では僕がPLATINUM 900の魅力を広めたという(笑)」
坂田「すごい!」
――瀧口さんがPLATINUM 900を以前から推していたことは、現在の再評価に繋がっていると思います。
瀧口「2010年代以降はシティポップブームになって、みんなPLATINUM 900のことを語りはじめたんですね。PLATINUM 900はシティポップとはちょっとちがうと思いますし、それに〈俺のPLATINUM 900なのに!〉と、ちょっと悔しい思いもありました(笑)。
昔は和モノってクラブでは肩身の狭いジャンルだったのですが、2000年代になるとかける人が増えてきて、そのなかでもPLATINUM 900の曲はみんな反応するんです。ちなみに、クラブでかけると盛り上がる曲はなんだと思いますか?」
坂田「なんだろう……? “レッツ・ブギ・ザ・ナイト”?」
瀧口「まさにそうですね!」
坂田「踊れそうな曲ですもんね」
瀧口「PLATINUM 900は、坂田さんのボーカルもサウンドにすごくマッチしていますよね」
坂田「私は昔からユーミンの曲とかを歌っていたので、メンバー3人のなかでいちばん日本の音楽に親しんでいたんです」
瀧口「坂田さんの歌い方はすごく新鮮でした。当時はビブラートを多用するディーヴァ系や、しゃくりあげるようなエイベックス系のシンガーが流行っていたので。そんななかで、坂田さんのパンチのあるストレートな歌は良かった。たしかにちょっと昔っぽいというか、大貫妙子さんとかに通じるところがありますよね。
PLATINUM 900のサウンドでR&B系の人が歌っていたら、ユニークな音楽にはなっていなかった気がします。坂田さんの歌があるからこそ、現在のシティポップリスナーに引っかかっているんじゃないかなと」
――おっしゃるとおり、坂田さんの可憐な歌の存在が、過去のジャズファンクやレアグルーヴとは異なる魅力だと思います。
瀧口「あと、『Free』がAIR RECORDSから出ていたことも、愛を感じていいなという思いと驚きがありましたね※」
――AIRは、山下達郎さんや角松敏生さん、国分友里恵さんなどの作品を出していた名レーベルですね。
瀧口「そうです。なので、PLATINUM 900は、いろいろな意味で僕が影響を受けたグループなんです」
レコーディングの実験とこだわり
――お2人はいかがですか? 知らず知らずのうちに再評価が進んでいたことについて。
坂田「私はけっこうエゴサーチをしていたので、いろいろと見ていたんです(笑)。〈CDがこんなプレミア価格になってるよ〉とか、一彦くんに送ったりしていました」
西村「僕は、2002年に愛知県で大学の教員になったんです。それで、学生たちと場末のスナックに飲みに行って、昔音楽をやっていた話をすると、〈カラオケに曲、ないんですか?〉と言われるんですよ。もちろんPLATINUM 900の曲はないんですけど、当時SMAPに提供した曲(“End of time”)はあるんですよね。
そういうわけで、PLATINUM 900は20年間、何もないと思っていたので、再評価は予想だにしていませんでした」
瀧口「当時、セールス面は厳しかったかもしれないですが、いまこうやって再評価されているのはすごいことだと思います。それは良い音楽を作っていたからこそですし、シンセの音一つ取っても音作りにこだわって作られていることがわかるので、完成度がものすごく高いんですよね」
西村「ギターや楽器にはこだわっていましたね。ローズ・マーク1やウーリッツァー、ムーグやアープのシンセも持っていましたから。あとはマイク。AKG、ゼンハイザー、テレフンケンや、〈ハンバーグ〉と呼ばれていた珍しくて良いマイクを使っていました。それと、大きかったのがコンプレッサーです。テネシーのスタジオで拾ってきたというデカい箱型のものを使っていたんです。マイクアンプも、ニーヴじゃなくちゃいけない、配線が金じゃなきゃダメとか、こだわってたな」
瀧口「その細部へのこだわりが作品に活きていますよね」
西村「そんなことを言ってもらえる日が来るとは(笑)」
坂田「一彦くんと飯星くんは、(音作りへのこだわりを)やりすぎちゃってたよね(笑)」
西村「ローズを弾いて、ローズでピックアップした電気信号をウーリッツァーのスピーカーで鳴らしたこととか、おもしろかったな。結局、ウーリッツァーの音になるってことがわかっただけだったけど(笑)。ローズって鉄琴みたいな音がするのが良いじゃないですか。あの音が全部なくなっちゃって、ダサい音になっただけでした(笑)。
あとは、リバーブっていまはマシンやデジタルで再現するわけですが、昔の鉄板リバーブをノリで使ってみたり。鉄板だとリバーブのきめが細かいんです。
僕らは、テクニックはなかったけど、テクノロジーと、あとは鉄とか金とか重い物質でそれをカバーしていたんですね。技量不足をおしゃれな〈味〉ってことにして逃げていたんです(笑)」
坂田「〈あれをやってみよう、これをやってみよう〉という遊びをスタジオでやらせてもらってたんだから、すごいよね」
――レコーディングの実験が存分にできていたんですね。
瀧口「男子って機材が好きですからね(笑)。流線形のファーストアルバム(2003年作『シティミュージック』)も、機材にはこだわりました。キーボーディストが林有三さんという角松敏生バンドにいた方で、機材をいっぱい持っていたんですよね。あと、デジタルだとザラつきがないので、アナログテープに一回落としたものをマスタリングしています」
西村「コンプみたいなものですね。やっぱりテープなんですよ!」
瀧口「西村さんには『サウンド&レコーディング・マガジン』でPLATINUM 900のレコーディングについて語ってもらいたいですね(笑)」
CTIの子どもたち
――西村さんは、流線形やクニモンド瀧口さんの音楽についてはいかがでしょうか?
西村「僕は、スライ・ストーン風の曲が好きでした。ボーカルのメロディーラインとコードの関係とか、曲がすごくかっこいいですよね」
瀧口「恐縮です! 西村さんにそんなことを言っていただけるなんて。
スライ・ストーン風の曲は“恋の始めは甘く切なく”ですね。あれは、僕が持っているローランドの古いリズムボックスを使っています。ベースの岡雄三さんには、〈ラスティ・アレンみたいに弾いてほしい〉と注文したんです(笑)。最後にソウルクラップを入れたりとか、いろいろと工夫していますね」
西村「瀧口さんが聴いてきた音楽は、僕とほぼ同じなんじゃないかなと思うんですよ。流線形を聴いていると、アジムスやロイ・エアーズ、ボブ・ジェイムズ、ボズ・スキャッグスとか、僕が大好きな音楽ばっかり浮かんできて」
瀧口「うれしいですね。僕はいま、バンドでストリングスシンセのソリーナ担当なんですよ。アジムスやロニー・リストン・スミスの、あの音だけは俺に弾かせてくれ!ってこだわりで(笑)」
西村「流線形は、ストリングスのスコアはどうしているんですか?」
瀧口「スコアはシンリズムくんというシンガソングライターにお願いしています。僕も西村さんのようにボブ・ジェイムズやデイヴ・グルーシン、クラウス・オガーマンなどが大好きなので、〈ああいう風にお願い!〉と依頼しました」
西村「クラウス・オガーマンね! そういえば昔、飯星くんが〈改名したい〉と言い出したときに、〈久石譲はクインシー・ジョーンズが由来だから、クラウス・オガーマンをもじって『小川満(おがわまん)』はどうかな〉って言ってたな(笑)。
あと、流線形には“エアーポート’80”という曲があるじゃないですか。『エアポート’80』といえば、僕が小さい頃に何度も観た映画だなって。いや~、瀧口さんとは趣味が完全に一致していますね」
瀧口「ちなみに、クニモンド瀧口のサインはクリード・テイラーのサインを真似しています(笑)」
坂田「(笑)。瀧口さんはCTIのようなレーベルをやっていらっしゃるんですよね」
瀧口「そうなんです。〈CMT Records〉というのを始めました。
ソフィスティケートな感じが好きなんですよね。PLATINUM 900の音楽も、アシッドジャズ的だけどソフィスティケートな感じがあって、そこが好きなんです」
渋谷系ではなく白金系
――瀧口さんからPLATINUM 900のお2人に訊きたいことはありますか?
瀧口「PLATINUM 900は当時、自分たちのことを〈白金系〉と言っていませんでしたか?」
西村&坂田「〈渋谷系じゃない〉という(笑)」
西村「シロガネーゼが流行ってたからね」
坂田「〈白金サウンド〉なんて言ってたよね」
瀧口「そういう遊び感覚がすごく良いなと思うんです。それと、いまブギーがすごく流行っているので、海外でもっと評価されるんじゃないかと思います。そういう意味でも、7(セブン)インチを切ってほしいですね※」
――違法アップロードされたものですが、YouTubeの動画には海外からのコメントが多いですね。
瀧口「正式に配信したら、海外でより話題になるでしょうね。あと、ぜひ訊きたかったんですけど、お2人が好きなPLATINUM 900の曲ってなんですか?」
西村「僕がいちばん好きなのは、“プラチナム900便”のライブバージョン(“Platinum Airways (Live Version)”)ですかね。ライブバージョンという名のスタジオ録音ですが(笑)」
――あれは擬似ライブなんですね。
瀧口「あれには驚きましたね(笑)」
西村「観衆のガヤとかを入れるためにみんなでマイクを囲んで笑いながら録音したなとか、録音中の光景を思い出すので思い入れがあるんですよね。“月灯りの下で”は、コーラスが好きだったな」
瀧口「あのコーラス、良いですよね」
坂田「ブラジルに行った後に作ったんだよね」
西村「そうそう。ブラジルでクアルテート・エン・シーを見かけたんですよ。あるライブを観に行ったら、〈絶対にクアルテート・エン・シーだ!〉というおばさま4人組が来ていて。勇気がなかったから話しかけなかったんですけど(笑)」
坂田「そういうことから影響を受けて、コーラスを入れてね」
――坂田さんのフェイバリットソングは?
坂田「“アップル -Apple-”は好きですね。でも、“今すぐ受話器を取って”はあんまり好きじゃない(笑)。〈♪野沢通りの家具屋に〉って歌う“ボサノヴァ日曜日(I can’t listen to the BOSSA NOVA on a Sunday afternoon)”もすごく好きな曲だったんだけど、(アルバムバージョンは)ドラムンベースみたいになっちゃった。“恋のレスキュー隊”も好きだったな。
(自分が書いた)歌詞もなかなか良いですよね~、とか言って(笑)。誰も褒めてくれないんです」
瀧口「PLATINUM 900の歌詞、良いですよね。“ハリーは毛むくじゃら”とか、発想がおもしろいです」
坂田「あれはふざけて書きました(笑)」
西村「当時、僕にジョンって友だちがいて、モテてたんですよ。それで、外国人と付き合いたがる日本人の女性に対して〈なんだよ!〉〈ちきしょ~!〉っていう気持ちがあったんですね。それで〈あいつら、けっこう毛深いのにな~〉という(笑)」
坂田「コンプレックスだよね(笑)」
流線形にPLATINUM 900が参加する?
――渋谷系にはない屈折したユーモアですよね。瀧口さんは2020年のコンピレーションアルバム『CITY MUSIC TOKYO invitation』で“アップル -Apple-”を選曲されていました。瀧口さんが好きな曲は、やはり“アップル -Apple-”ですか?
瀧口「『白金』は本当によく聴いていたのでどの曲も好きで、めちゃくちゃ思い入れがあります。あとは、クラブでよくかける“レッツ・ブギ・ザ・ナイト”。“月明かりの下で”も好きですね。それと、西村さんが歌っている“クライ・ベイビー・クライ”も」
西村「自分が歌っている曲は聴き返していないので、照れくさいですね(笑)」
瀧口「いや、西村さんの歌、すごくいいですよ」
坂田「一彦くんはもともとボーカルだったからね」
瀧口「坂田さんはいま、歌ってないんですか?」
坂田「歌ってないですね」
瀧口「坂田さんの歌、また聴きたいですね。いまお話しされている声はハリがあってすごく良いので、衰えは感じません」
――坂田さんが流線形に参加して歌うというのは、ファンとしては聴いてみたいですね。
西村「直子さんは弦も弾けるしね。僕も、シンセで一音弾くだけでも使ってください(笑)」
瀧口「西村さんも歌ってくださいよ」
西村「いや~、僕が歌うとソウルフルになっちゃうから(笑)」
瀧口「機会があったら、ぜひお2人ともボーカルで参加してください」
――それは夢のプロジェクトですね!
瀧口「ちなみに、未発表音源はないんですか?」
西村「飯星くんのスタジオにはあったかもしれないけど……。自分の頭のなかには未発表曲があります(笑)。SMAPに提供した曲の、僕がバックトラックと仮歌を入れたデモはジャニーズに残っているかもしれません」
坂田「他にも、デモはDATにいっぱい入ってたよね。どこかに行っちゃったけど」
西村「だから、新しく曲を書いて、他の人に提供してみたいですね」
坂田「もう一回、曲を作ってみたら? 今度は売れちゃうかもしれないね(笑)」
2020年代に蘇るPLATINUM 900のサウンド
――最後に、今回の再発への思いやご感想を訊かせてください。
瀧口「PLATINUM 900は埋もれちゃっていたところがあって、だからこそDJで細々とかけていた頃は優越感があったんです(笑)。それが、再発やシティポップブームで注目され、たくさんの方に聴いていただける機会がやっと来たことは、本当に素晴らしいと思いますね。廃盤だったCDも高騰していたので、今回お求めやすい価格帯で正規で出たことはすごくうれしいです」
――西村さんと坂田さんはいかがですか? 20年以上の時を経て、PLATINUM 900の作品が再びリスナーのもとに届けられることに対して。
坂田「いまは過去の音楽も新しい音楽も、世界中のものがサブスクで一気に聴けるから、すごい時代ですよね。だからこそ、自分が本当に好きな音楽を見つけるのが難しい時代かもしれませんが、そのなかでも私たちの音楽は輝いてるんじゃないかなって(笑)。〈えっ、何これ!?〉って驚いたり、〈いまの音楽とはぜんぜんちがうな〉って思ってもらえたりする音楽なんじゃないかなと思うんです。なので、再発してもらえることはすごくうれしいですね。PLATINUM 900の音楽は、何回聴いても飽きないし、いまも〈いいな〉〈似た音楽がないな〉って思いますし。瀧口さんのように評価してくださっている方々に、本当に感謝ですね」
瀧口「僕だけじゃなくて、PLATINUM 900を評価してきた人たちはいっぱいいると思いますよ」
坂田「そういう声が、だんだん大きくなっていったことがすごいなって思います」
――西村さんはいかがですか?
西村「僕は最近、YouTubeでおすすめに上がってくる『刑事コロンボ』の動画をよく観ていて。アメリカに住んでいた幼少期に、ちょうどTVでやっていたのが『刑事コロンボ』なんですね。TV音楽ってすごく印象に残るものが多くて、メロディーとか雰囲気とかにはかなり影響を受けていると思うんですけど……。
何が言いたいかというと、さっき直子さんが言ったことと重なりますが、そういった過去のものがいまこうやって浮上してきていて、簡単にアクセスできるって、すごい時代だなと」
坂田「私たちは過去のものに〈懐かしい〉と感じるけど、若い人たちは〈新鮮だな〉って感じてくれるかもしれないしね」
西村「そうそう。なので、自分たちの音楽もBTSも、なんでも聴けるいまの時代はすごいなという感慨があります」
――それこそBTSのファンキーな曲やシルク・ソニックなどのファンからシティポップのリスナーまで、PLATINUM 900の音楽が広く届いてほしいですね。本日はありがとうございました!
RELEASE INFORMATION
リリース日:2022年7月27日
品番:MHCL-30728
価格:2,200円(税込)
TRACKLIST
1. 恋のレスキュー隊
2. Never Stop
3. Flight 900
4. I can’t listen to the BOSSA NOVA on a Sunday afternoon
5. Eternity
6. Platinum Airways
7. History
リリース日:2022年7月27日
品番:MHCL-30729
価格:2,200円(税込)
TRACKLIST
1. 今すぐ受話器を取って
2. アップル -Apple-
3. Mercedes Life
4. Platinum Airways (Live Version)
5. My Philosophy
6. ファンタスティック ジャーニー
リリース日:2022年7月27日
品番:MHCL-30730
価格:1,650円(税込)
TRACKLIST
1. Missing Star
2. 246
3. I can’t listen to the BOSSA NOVA on a Sunday afternoon (EP Edit)
4. Mercedes Life
PROFILE: PLATINUM 900
坂田直子、西村一彦、飯星裕史の3人からなる和製ジャズファンクバンド。97年にミニアルバム『プラチナム航空900便』でデビュー。シングル1作、ミニアルバム2作、フルアルバム1作を残し、99年に解散。
PROFILE: クニモンド瀧口(流線形/CMT Production)
2003年に流線形として音楽活動をスタート。2003年に『シティミュージック』、2006年に『TOKYO SNIPER』、2009年に『NATURAL WOMAN(w/比屋定篤子)』、2020年に『Talio(w/一十三十一)』をリリース。プロデュース・楽曲提供・アレンジの代表作として一十三十一『CITY DIVE』、ナツ・サマー『HAYAMA NIGHTS』、古内東子“Enough is Enough”などがある。2020年からシティミュージックを選曲・監修したコンピレーションアルバム『City Music Tokyo』シリーズの発売を開始。同年、NHKドラマ「タリオ -復讐代行の2人-」の劇伴を担当。2022年8月17日、堀込泰行(ex-キリンジ)をフィーチャーした『インコンプリート』をリリース。また、CMT Productionとしてグラフィックデザイン、企業PRを担当。音楽を中心に多岐にわたり活動している。



