書籍「シティポップとは何か」が2022年4月21日(木)に刊行される。
音楽ディレクター/評論家で、Mikikiでもたびたび執筆してもらっている柴崎祐二による編著書「シティポップとは何か」。本書が今回、河出書房新社から刊行されることになった。
シティポップは現在、国内外で空前のブームに沸いている。では、シティポップとはどのような音楽・文化なのか。なぜリバイバルは巻き起こったのか。本書では、シティポップ評論の気鋭である柴崎祐二が、徹底的に資料を渉猟、あらゆる角度から現象を分析し、その可能性と問題点とをえぐり出しているという。
「シティポップとは何か」は、さらに、スタディストの岸野雄一、日本学研究者のモーリッツ・ソメとポピュラー音楽研究者の加藤賢による論考、韓国のシティポップ事情に詳しい長谷川陽平へのインタビューも収録し、シティポップをより立体的に浮かび上がらせるとのこと。
2021年1月30日に開講された、東京・神保町の美学校によるオープン講座〈基礎教養シリーズ 〜ゼロから聴きたいシティポップ〜〉では、柴崎祐二が講師を務め、ゲストスピーカーに長谷川陽平、モーリッツ・ソメ、加藤賢が登壇した。本書は、Twitterを中心に話題になった同講座に関連した書籍だ。
また、「シティポップとは何か」の刊行を記念して、〈ゼロから聴きたいシティポップ〉の増補改訂版が4月24日(日)に開講される。本書の著者たちが再集結する同講座は、見逃せないものになりそうだ。
「シティポップとは何か」という問いに答える、決定版的論考であるという本書。刊行が待ち遠しい。
BOOK INFORMATION
編著者:柴崎祐二
著者:岸野雄一/モーリッツ・ソメ/加藤賢/長谷川陽平
発売日:2022年4月21日(木)
ISBN:978-4-309-29160-4
体裁:46判/344頁/並製
定価:2,695円(税込)
■目次
・第1章 シティポップ概説
1-1 シティポップのあらまし
1-2 シティポップの黄金時代:1980年代
1-3 シティポップの衰退と展開
・第2章 シティポップという「物語」
2-1 編纂されるシティポップのルーツ
2-2 シティポップにおけるはっぴいえんどの重力圏
2-3 シティポップ(ス)と「脱政治」のポリティクス
・補論1 はっぴいえんどのシティポップへの影響を風景論を通して考える――岸野雄一
・第3章 シティポップの再興
3-1 国内におけるシティポップス再評価への道程
3-2 ネオシティポップとは何か
・第4章 グローバル化するシティポップ
4-1 海外からの発見
4-2 アジアとシティポップ
・補論2 〈再発見〉はどこから来たか?:海外シティポップ・ファンダムのルーツと現在地――モーリッツ・ソメ+加藤賢
・補論3 [インタビュー]韓国のシティポップブーム解説――長谷川陽平(聞き手:柴崎祐二)
・第5章 シティポップの行方
5-1 シティポップブームはどこに向かうのか
5-2 シティポップの可能性
PROFILE: 柴崎祐二(しばさき・ゆうじ)
83年、埼玉県生まれ。音楽ディレクター、評論家。2006年よりレコード業界にてプロモーションや制作に携わり、多くのアーティストのA&Rを務める。著書に「ミュージック・ゴーズ・オン~最新音楽生活考」(ミュージック・マガジン、2021年)、編共著に「オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド」(DU BOOKS、2020年)など。「アジア都市音楽ディスクガイド」(DU BOOKS、2022年)にも参加。
PROFILE: 岸野雄一(きしの・ゆういち)
63年、東京都生まれ。勉強家(スタディスト)。美学校音楽学科主任。音楽レーベル〈Out One Disc〉主宰。俳優、音楽家、著述家など、多岐にわたり活動する。2015年、音楽劇「正しい数の数え方」で第19回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門大賞を受賞。共著に『commmons: schola vol.10 Ryuichi Sakamoto Selections: Film Music』(エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ、2016年)など。 ほか、 「ユリイカ」(青土社)などへ寄稿多数。
PROFILE: モーリッツ・ソメ(Moritz Sommet)
80年、ドイツ・デュースブルク市生まれ。専門は日本学。スイス・フリブール大学文学部多言語研究センター情報文書センター長・図書館長。著書に「Mediale Interferenzen: Literatur und Popmusik in Japan (1955-2005)」(Harrassowitz、2021年)、論文に「ポピュラー音楽のジャンル概念における間メディア性と言説的構築――『ジャパニーズ・シティ・ポップ』を事例に――」(「阪大音楽学報」16・17合併号、2020年)など。
PROFILE: 加藤 賢(かとう・けん)
93年、愛知県生まれ。専門はポピュラー音楽研究、都市論。早稲田大学教育学部卒業、大阪大学文学研究科博士後期課程在籍中。日本学術振興会特別研究員(DC2)。 論文に「〈書評論文〉「シティ」たらしめるものは何か?:シティ・ポップ研究の現状と展望」(「阪大音楽学報」16・17合併号、2020年)、「渋谷に召還される〈渋谷系〉――ポピュラー音楽におけるローカリティの構築と変容――」(「ポピュラー音楽研究」Vol. 24、2020年)など。
PROFILE: 長谷川陽平(はせがわ・ようへい)
71年、東京都生まれ。ギタリスト、DJ、プロデューサー。95年に渡韓し、以来、 韓国を拠点に音楽活動を行う。ファンシネ・バンド、デリスパイス、サヌリム、デビルス等のバンドを経て、2009年より〈チャン・ギハと顔たち〉に参加するとともに、2010年より本格的にDJを開始、数多くのシティポップパーティーやアジアンミュージックパーティーをオーガナイズする。著書に「大韓ロック探訪記」(DU BOOKS、2014年)など。