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リリスクはリリスクでいいじゃん

lyrical school 『NEW WORLD e.p.』 ビクター(2023)

 そんな新生リリスクの初作品『NEW WORLD e.p.』には、先述のライヴで初披露された新体制最初の新曲“NEW WORLD”を含む全5曲を収録。前体制からお馴染みの大久保潤也(アナ)と上田修平が手掛けた、煌びやかなギターが開放的な気分を演出する同楽曲(とそのMV)が象徴するように、本EPには〈新しい世界〉への第一歩を踏み出した8人の気さくでポジティヴなフィーリングが目いっぱい詰まっている。BBY NABEとR.I.K.によるトロピカル~アフロポップ系のスムースなダンス・チューン“House Party”、週末気分に浸れる爽快シンセウェイヴ“DRIVE ME CRAZY”、Rachel(chelmico)×Ryo Takahashi製のロッキッシュな“mada mada da!”など、どの楽曲にも新体制のリリスクならではのフレッシュさが刻まれている。

mana「いままでのリリスクは女の子だけだったので、男の子が入ることで声だけじゃなく雰囲気もガラッと変わって。“House Party”は特にその新しさが出ていて、これまでのリリスクのパーティー曲が昼間にプールで〈イェー!〉みたいな感じだとしたら、この曲はアフターパーティーっぽいというか、私たち8人でいるときのチルな感じが出ていると思う」

malik「“DRIVE ME CRAZY”は8名中5名が参加しているんですけど、ライヴでも楽曲の雰囲気やヴァースに合わせて編成を変えるところが、8人ならではの新しいポイントだと思っていて。それがEPにも反映されておもしろいものができました」

minan「サビはtmrwが歌っているんですけど、彼が歌うことありきで作られた楽曲なんです。私は“mada mada da!”が、いままでのリリスクのポップ感を失うことなく、いまの8人ならではの新しいエッセンスも入っていてお気に入りです。〈まだまだだ〉っていうのもこの8人でいちばん言いたいフレーズ!と思って。ここからなんですよね、まだまだなんだよっていう」

hana

tmrw

 さらには、リリスクの定番曲“秒で終わる夏”と“YABAINATSU”をボルティモア・ブレイクス風にマッシュアップした反則級の夏ソング“秒で終わるYABAI夏”も搭載。「8人になって男の子の声も加わったうえに、こういう曲の上でマイクリレーすると、いままでリリスクが武器にしてきた声が小刻みに変わるおもしろみもより味わえると思います」(minan)との言葉通り、ライヴの現場ではすでに話題騒然となっているそうだ。

 この夏にはワンマンやツアーを開催、そしてアイドルの祭典〈TIF〉出演も決定しているリリスク。前人未到の地に足を踏み出した8人だが、“NEW WORLD”で〈I won't let you down〉と繰り返し歌っているように、いまのリリスクについていけば失望とは無縁の新世界に辿り着けるはずだ。

malik「よく〈アイドルじゃないじゃん〉とか〈ヒップホップじゃないじゃん〉とか言われるんですけど、別に何かになりたいわけじゃないし、うちらはリリスクだから、それでいいじゃんっていう。いまはそれをみんなの中の共通認識として広めていきたくて」

mana「めっちゃわかる! いま、すごく〈◯◯っぽい〉と言われることが多いんですよね」

minan「きっと新しいものを見ているから、そういう反応になると思うんですけど、それは逆にラッキーなことでもあると思っていて。このままこのオリジナリティーを磨いて……」

malik「ブチ突き進んでいきたいです」

左から、minanの2021年のソロEP『ttyl』(ビクター)、キムヤスヒロがプロデュースしたMeguの2021年のシングル“So good”(T-Palette)

左から、BBY NABEが客演したbanvoxの2020年作『DIFFERENCE』(bpm tokyo)、アナの2019年作『時間旅行』(SECOND ROYAL)、chelmicoの2022年作『gokigen』(ワーナー)