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私が所属するlyrical schoolの全国ツアーが無事、10月に終了した。春に出したアルバム『DAY 2』の楽曲をより多くの方々に届けるために、5月から全国各地でライヴを行ってきた。
アーティストとして少し情けないけれど、私は何か新しいことに挑戦する時、すぐに自分のモノにできるタイプではない。ほとんどの人がそうかもしれないが、私は短時間でそれなりの結果を出すことがこれまでの人生でも苦手だった。
思い返せば、ツアー初日は散々だった。アルバムの曲を作ってくれた方々がせっかく見届けに来てくれたのに、緊張から初っ端のバースの歌詞を飛ばしてしまった痛い思い出がある。
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そんな私も今回のツアーを経て、次のフェーズに行ける、そう予感できた。フロアにいる皆さんの声援からエネルギーを貰ったメンバーの一挙手一投足は、決め打ちでも何でもなく、その瞬間、その瞬間のためだけに繰り出されていたものだった。それが他のメンバーにも伝播し、ステージの士気をぐんぐんと上げていった。もうあまり覚えていないけれど、私もその場の7人からしか得られない刺激を受け、ライヴを全力で楽しむことができた。セットリストの大きな山に近づくにつれて、ステージからの景色は熱を帯びて白く輝き出した。
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そして何よりも、ライヴの日に家を出る時いつも〈声大きくね!〉〈もっとグイグイいきな!〉などちょいちょい喝を入れてきた両親が、終演後すぐに褒めてくれたことが一番嬉しかった。まだまだ未熟なのは変わりないけれど、アップデートし続けてこれた自分を褒めつつ、もっと急ぎ足で更新していきたい。そう思えるようになったツアーだった。
その公演の直前には、渋谷のSpotify O-nestで、ツアーファイナルへのモチベーションがよりいっそう高まるような対バンライヴがあった。今回紹介したい曲は、そこで共演させていただいたNeibissさんの“BOSSA TIME”。軽快なトラックと流れるような低音ラップが心地よく、自分たちの出番が控えていることを忘れて音に乗っていた。ライヴを終えて家に帰ってからしばらくの間、疲労とまだ冷めない興奮が互いに競い合っていたが、結果的に気持ちよく眠りにつくことができた。こんな夜をもっともっと続けていきたいと思った。
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【写真と文】hana:8人組のHIP HOPユニット、lyrical schoolでMC/ヴォーカルを担当。lyrical schoolでは現体制での初作『DAY 2』(ビクター)に続き、“dance”が配信中。ライヴ盤とminanのソロ新曲もmiim限定でリリースされています! 年末年始の予定など最新情報は〈https://lyricalschool.com/〉にて!