〈ドラムスの神様〉スティーヴ・ガッドがミューザ川崎シンフォニーホールに降臨

 秋のミューザ川崎に、世界最高峰のドラマー、スティーヴ・ガッドがやってくる。自身が率いるスティーヴ・ガッド・バンドはもちろん、エリック・クラプトンやジェームス・テイラーなどジャンルを超えたスターたちとの共演でその名を轟かせるレジェンド、スティーヴ・ガッドがミューザ川崎シンフォニーホールに初出演。今回披露するのは、再来日が待ち望まれていたBHG(Blicher Hemmer Gadd)プロジェクトだ。2度のデンマーク音楽大賞(Danish Music Award)に輝くサックス奏者ミカエル・ブリチャー、天才オルガン奏者として注目を集める、ダン・ヘマー、そして〈ドラムスの神様〉、スティーヴ・ガッドの3人がつくりだす圧倒的なグルーヴは世界各地で熱狂を持って迎えられており、ここ日本でのステージに期待が高まるばかりだ。

 今回BHGとして2度目、5年ぶりの来日を前にスティーヴに〈BHGプロジェクト〉について話を聞いた。

 はじめにこのBHGプロジェクトについて。一般的にはトリオといえば、ピアノとドラムス、ベースを想像するだろうが、今回はドラムスとサックスとハモンド・オルガンのトリオだ。この変則的なトリオならではの魅力をスティーヴに聞いてみた。

 「このフォーマットが大好き。ミカエルとダンがふたりでつくりだすグルーヴが凄いしとてもユニーク。彼らが実に色々な音楽が好きだっていうことがよく分かるよね。オールドスタイルの音楽の要素もあるけど、その要素を取り入れながら自分のオリジナルの音楽へと発展させているところが素晴らしい。さらに彼らがつくる楽曲も素晴らしいんだ。ミカエルとダンに僕が加わり、3人で音楽をつくると本当にとてもいい感じのグルーヴが生み出せるんだ」

©Bente Jaeger

 そのようにスティーヴが厚い信頼を寄せるふたりとの出会いについて、語ってもらった。世界中のミュージシャンから共演のオファーをひっきりなしに受けているスティーヴを魅了したミカエルとダンの魅力とは。

 「初めてミカエルに出会ったのは、14年前くらいだったと思う。コペンハーゲンの郊外でおこなわれたプロのミュージシャン向けのワークショップに呼ばれていったときだ。ミカエルは受講生だったんだよ。その後、ダンを紹介してもらったんだ。ミカエルもダンも、とにかくとても人間的にも音楽的にも素晴らしいんだよ。最初に、ふたりが一緒に演奏しているのを聴いたんだけど、すでにふたりの間で素晴らしい音楽をつくりあげていた。ふたりがつくりだすグルーヴが好きだし、音楽への献身的な姿勢も素晴らしかった。そして彼らが好んで聴いている音楽も好きだったんで、一緒にやってみることにしたんだよ。彼らはありとあらゆる音楽をとても良く知っている。アフリカの音楽から、アメリカの初期のジャズまで。彼らのおかげでいままで聞いたことのない音楽も聞くようになったんだよね」

 ミカエルによると、当初スティーヴと共演し始めた際に、スティーヴと一緒によく聴いたのはナイジェリア出身のフェラ・クティの音楽だったそうだ。フェラ・クティが盟友のドラマー、トニー・アレンとともに創出したアフロビートの特別な響きにスティーヴはすっかり魅了されたそうだ。

 スティーヴは昨年8月フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2022での〈チック・コリア トリビュートコンサート〉を聴きに、ミューザ川崎を訪れている。客席でコンサートを楽しんだスティーヴは「とてもいいサウンドの素晴らしいホールだった」と語った。ジャズクラブ、コンサートホールからドームまで世界中の様々な場所で演奏をしているスティーヴだが、そのなかでも特にコンサートホールでの演奏が大好きだそうだ。そこでコンサートホールで演奏する際に、心がけていることを尋ねてみた。

 「いつも、コンサートホールではナチュラルでオーガニックなサウンドを届けられるよう心がけているよ。ホールが大きいとスピーカーを使わなければならないこともあるんだけれども、機材を使って音を大きく増幅させるようなことは実はあまりやりたくないんだ。機材はあくまでも良い音をオーディエンスに届けられるように、調整するためのもの。決して音を大きくするためのものではない。なおさら、コンサートホールではそうだ。なるべくアコースティックに自分の音を届けたいと思っているよ。どんな会場でも僕はできるだけ、バンドがステージで出す音をそのまま直接届けたいんだ。ドラムの音を大きく響かせたいわけじゃない。自分自身がバランスをコントロールしたサウンドをそのまま届けたいんだ」

 そんなスティーヴがミューザのホールで届ける〈そのままのサウンド〉が楽しみだ。

 最後にミューザ川崎でのコンサートにいらっしゃるみなさんへメッセージをもらった。

 「みなさん、こんにちは、スティーヴ・ガッドです。昨年訪れましたが、ミューザ川崎のコンサートホールは本当に素晴らしい会場ですね。今回BHGのメンバーと、この美しいホールで、みなさんの前で演奏することをとても楽しみにしています。コンサート会場でお会いしましょう!」

 


LIVE INFORMATION
かわさきジャズ2023
MUZA スペシャル・ナイトコンサート
スティーヴ・ガッド BHG プロジェクト

2023年10月26日(木)ミューザ川崎シンフォニーホール
開場/開演:18:30/19:00

■チケット(税込)
全席指定:4,000円[3,600円]
U25(小学生~25歳):1,500円
※[]内は友の会会員料金
※U25の友の会会員割引はありません

会場・主催・お問い合わせ:ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市文化財団グループ)
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/calendar/detail.php?id=3323