8年ぶりのニュー・アルバム! 近作2タイトルも高音質リイシュー!
セックス・ピストルズを解散したジョン・ライドンが78年に結成したパブリック・イメージ・リミテッド(PiL)。昨年に亡くなったキース・レヴィンのフリーキーなギター、ジャー・ウォブルによる圧の強いベースを軸に、レゲエ/ダブ、ヒップホップなどを貪欲に採り入れた音楽性は、ポスト・パンクにおけるランドマークとして、現在まで影響を与え続けています。代表作としては、レヴィン&ウォブルが在籍していた79年作『Metal Box』を挙げられることが多いですが、80年代前半に2人が脱退して以降もライドンは断続的に活動を継続。93年から2009年までの活動休止期間を挟みつつも、これまでに10枚のアルバムを発表しています。そして、『This Is PiL』(2012年)、『What The World Needs Now...』(2015年)という直近2作のSHM-CDリイシューと併せて、このたび8年ぶりのニュー・アルバム『End Of World』がリリースされました!
本作は再結成以降、不動の編成であるライドン、ルー・エドモンズ(ギター)、スコット・ファース(ベース)、ブルース・スミス(ドラムス)の4人での録音。ソリッドなパンク・ダブ“End Of The World”、ヘヴィーなグルーヴに巻き舌ヴォーカルが絡む“North West Passage”などは、〈これぞPiL〉な楽曲で、老いてなお丸くならない尖り方に痺れます。
一方で、“Being Stupid Again”での〈意識の高い若者〉批判や、トランプ支持者としての一面を思い出させる“Walls”の歌詞にはうーん……となる点もありますが、演奏や音作りの面では、バンドの現役感を印象付ける一枚であることは間違いなし。ライドンの妻であり、彼が長年看病しながらも今年4月にアルツハイマー病で逝去したノラ・フォスターの生前中に、彼女へと捧げる楽曲としてリリースされた先行曲“Hawaii”には、やはり涙を禁じ得ません。老害、逆張り……いろいろと批判を受けがちな人も、当たり前に優しさと愛を持っている。そんなことを思わせる、ある意味でライドンらしさに溢れたアルバム。とてもチャーミングな一枚です。
同時リイシューされたPiLの作品。
左から、2012年作『This Is PiL』、2015年作『What The World Needs Now...』(共にPiL Official/ユニバーサル)