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吉田豪

新作『ひかり』を料理に例えると?

吉田「そろそろ川本さんの新譜の話に移りましょうか」

川本「聴いていただけました?」

吉田「もちろん。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコみたいな空気感だなと思って。もしくはデーモン&ナオミのような感じもあって」

川本「そういう音楽は前から好きなんです。洋楽を聴いてて、そういうのやりたいなと思って作ったのが今回のアルバムです」

吉田「むちゃくちゃよかったですよ!」

『ひかり』収録曲“ワールドエンド・ガールフレンド”

川本「ありがとうございます! 今回のアルバムは海外のミュージシャンの方が演奏してることもあって、いままでと違うサウンドの作り方なんです。

あと自分の曲の作り方も変わりました。例えば1曲目がカツ丼、2曲目がハンバーグ弁当、みたいな感じで作ってくんじゃなくて、1曲目がポテトサラダ、2曲目が……なんでしょうね……え〜っと……焼き鳥とか、そういう感じ?」

吉田「……例え、下手ですよね(笑)」

川本「そうですか!?」

吉田「いままでよりも食べやすそうな順番にしたってことですか?」

川本「違うんです。前までは1曲聴いたら1曲でお腹いっぱいになるような曲を作ってたんです。でも今回はポテトサラダ、焼き鳥と……」

吉田「軽めのものから始まって」

川本「そう! 次がカルパッチョ、みたいな感じで」

吉田「居酒屋のお通しぐらいの感じから」

川本「そう。おばんざい系みたいな。……違うな! 違います! 違うこと言ってる! 全然違う! 違うんですよ〜!」

吉田「ダハハハ! コース料理的な話かと思ったんですけど」

川本「ちょっと待ってください……」

吉田「待ちます!」

川本「例えが悪かった!」

吉田「悪いと思います(笑)」

川本「もうちょっと……ヨーロッパ的なものなんですよ……ポトフとか!」

吉田「ダハハハ! ポトフ?」

川本「え~っと……向こうの料理って何があるんだろう? あっ、違うな〜? 違うかな?」

吉田「たぶん違うと思いますね(笑)」

川本「つまり……聴いてもらったらわかります!」

吉田「フフフ。説明を諦めちゃったけど、統一感はすごくありますよね」

川本「そうそう! だからポトフとかは違います」

吉田「いまの例えに統一感はなかったですからね(笑)」

川本「聴いてみてどうでした?」

吉田「いままでの作品とかなり違ってたので面白いなと思いました」

川本「そのいままでと違うところがどういう風に思われるかな〜?って心配だったんですよね。吉田さんは、音楽はいろんなものを聴かれるんですか?」

吉田「かなり偏ってますけど、川本さんの新譜みたいな路線のものも好きで聴くからツボでしたね」

川本「そうなんですね! 昔はパンクとかを聴いてたんですよね?」

吉田「それ、ボクのウィキペディアで学んだばっかりの情報じゃないですか!」

川本「フフフ。さっきウィキったんです(笑)」

吉田「ちなみに人生でいちばん聴いたのはヴェルヴェット・アンダーグラウンドのサード(69年作『The Velvet Underground』)とニコのファースト(68年作『Chelsea Girl』)なんですよ」

川本「そうなんですか!? じゃあ、私が今回出したアルバムには引っかかるところがあったという感じで大丈夫でしょうか?」

吉田「大丈夫です(笑)。ところで川本さんは、例えは昔から下手なんですか?」

川本「例えですか? 私、結構上手ですよ」

吉田「ほう(笑)! じゃあ、何かいま挑戦してみます?」

川本「いいですよ!」

吉田「それならサブスクを何かに例えてみてください」

川本「サブスクを(笑)!? え〜、何ですかね〜?」

吉田「便利だけど多少問題もあるかも、みたいなものというと……」

川本「……日本で言ったら名古屋みたいな感じですかね?」

吉田「全然わからないです(笑)」

川本「そうですか(笑)? 大阪と東京の間にあるけど、降りたら美味しいものがいっぱいある、みたいな……。フフフ」

吉田「ただの好きな街じゃないですか!」

川本「ただの好きな街ですね(笑)」

吉田「名古屋は地獄に堕ちなくていいですからね(笑)」

川本「そうですね。名古屋、大好きなので」