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植野隆司(テニスコーツ)

“1/2”を俺らがやるの!?

――アルバムへの参加のオファーは?

植野「比較的すぐ言ったような……。そのことを話した時、僕は一緒にいたので、〈どんな人?〉って訊かれて、YouTubeを見せたんですよ、“1/2”を。そしたら〈コレを俺らがやるの!?〉って(笑)」

川本「アハハ!」

植野「今回はこういう曲じゃないよ、と説明しました」

――アルバム収録曲の10曲のデモは、植野さんも一緒に聴いたんですか?

植野「聴いてなかったです……。色んなバージョンの寄せ集めっぽかったですよね?」

――具体的な作業は植野さんがドイツに行ってからなんですね。デモが全曲届いた時、バンドメンバーの反応はどうでしたか?

植野「それぞれのアレンジには思うところがあったようだけど、全体的に川本さんの曲については絶賛してましたね、〈曲いいねー!〉って。安心もしてました、“1/2”みたいじゃなくて」

川本「うわぁ、嬉しい!」

植野「歌に入る前に既に、〈このインストの状態でも既に良い曲ばっかりだ〉って、自画自賛的なことを言っていました。彼らはデモを前もって聴いていて、リハもやっていたようです」

川本「インストだけでもほんとに素敵です」

 

なるべく川本さんっぽく歌いました

――ミュンヘンでのレコーディングはどんな感じだったのですか?

植野「録音が始まった時に、そのリハ音源を聴いたら全体的に妙にディキシージャズっぽくて、あれ?って。(曲を)絶賛していたのに何でディキシーになってたのかは謎だけど」

川本「そこからよく私の曲に上手く融合できましたね」

植野「そうですね、かなーり説明した記憶が……。そこで、俺が川本さんの代わりに歌ったりして」

川本「植野さんが歌えたってことが、かなり重要だったのかも」

――植野さんが仮歌を歌って録音が進んだんですね。

川本「植野さんの歌い方次第だったんですね!」

植野「そうです。譜面はあっても、やっぱり歌が分かるのが一番重要でしたね。だから、なるべく川本さんっぽく歌いましたよ。でも、2曲ぐらい俺も知らない曲があって、それは歌えなかったけど。そしたら、それがレゲエになった」

川本「レゲエになって返ってきた時はびっくりしました」

植野「デモのアレンジが、〈ど〉が付くくらいのジャズだったんですけど、彼らがめちゃくちゃそれを嫌がって。“転校生になれたら”ですね。血塗られた歴史があるんじゃないかっていうぐらい嫌がって(笑)」

川本「たしか送られてきた演奏のデータを聴いて、金野さん(インタビュアー/本作のA&R)が〈このアレンジはいい!〉って言ったんですよね」

――川本さん、演奏データが届いた時に、全部OKなんだけど、どうしてもこの1曲だけ分からないって言うから。レゲエとは思わなかったんです。ゲルマン民族の考える妄想レゲエかなと。8曲目、このポジションにジャストだなって思いました。

植野「ドイツの人たちはレゲエ、特にダブは好きだし詳しいですね。ポールとかも、彼の音楽はダブ解釈の音楽だし」

※編集部注 Pole。ダブ、ミニマル、グリッチ、エレクトロニカなどのジャンルで知られるプロデューサー、ステファン・ベトケ(Stefan Betke)のステージネーム