受け継がれているハングリー・ハート
〈ボスの魂〉を感じさせる音楽家はいつの時代にも存在するが、ここでは(比較的)若いアーティストをピックアップ。まず、いまや稀代の売れっ子となったジャック・アントノフが率いるバンド、ブリーチャーズ。スプリングスティーンと同じニュージャージー出身で、以前よりボスへの敬愛を公言していたアントノフだが、2021年の最新作『Take The Sadness Out Of Saturday Night』は地元をテーマに、“Chinatown”ではボス本人をゲストに召喚。ブルージーかつロック色の強い同アルバムは、〈ニュージャージー・サウンド〉に新ページを加えた作品だ。
イギリスからはサム・フェンダーが近年、鮮烈な印象を残した。2021年の2作目『Seventeen Going Under』は、ソリッドでタイトな音作りこそUKロックの王道をいくものだが、ままならない生活のリアリティーを苦く描きつつ、アンセミックな高揚感を付与する手腕は、実にスプリングスティーン的。また、2022年に3作目『Angel In Realtime』をリリースしたオーストラリア出身のギャング・オブ・ユースも、音の隅々にボスを感じさせるバンドだ。
少し上の世代では、キラーズがボスの『Nebraska』をヒントにした『Pressure Machine』(2021年)を発表。また配信限定ではあるが、ライアン・アダムスが『Nebraska』を全編カヴァーした同名作を今年発表している。 *田中亮太
左から、ブリーチャーズの2021年作『Take The Sadness Out Of Saturday Night』(RCA)、サム・フェンダーの2021年作『Seventeen Going Under』(Polydor)、ギャング・オブ・ユースの2022年作『Angel In Realtime』(Warner UK)、キラーズの2021年作『Pressure Machine』(Island)