2021年のクリスマス盤で好相性を示したリオン・ミシェルズとふたたび組み、演奏も分け合って共演と言えるほどの親密さで完成させた新作。本人のノスタルジックなアメリカーナ感とエル・ミシェルズ・アフェアを率いるリオンのアーシーなガレージ・ファンク感が破綻なく溶け合い、ホーマー・スタインワイスがドラムを叩いた南部風ソウル“I Just Wanna Dance”などでダップトーン系の流儀も纏うノラが新鮮だ。現代的な軽やかさもある先行曲“Running”のほか、60~70年代のガールズ・ポップやブルース・ロックに通じる曲も上々で、素朴ながら巧みに声色を使い分けた歌の吸引力は今回も見事というほかない。