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ゴスペラーズ
©石阪大輔

クロスオーバーの先へ見える芸術

 これまで、クラシックとポップスの架橋的な存在として、billboard classicsのステージに臨む多くのアーティストにインタヴューしてきた。それぞれの言葉からは、フルオーケストラと共演することで出会える〈何か〉や〈気づき〉にワクワクしていることが伝わってきた。

 5月に2回目のbillboard classics(全6公演)を終えたばかりのゴスペラーズの北山陽一は公演前のインタヴューで「豪華なだけでも、なにかの置き換えでもない。そこにしかないゴスペラーズの音楽とクラシック音楽の間の〈なにか〉を作り出そうと全員でもがきます」と語ってくれた。違うフィールドの音楽と音楽をただクロスオーバーさせるのではなく、アーティストとして〈その先〉にある琴線に触れる芸術に出会いたいと願っていた。そしてそれをオーディエンスにも感じて欲しい、と。

 ゴスペラーズと共にステージを作り上げたマエストロ・田中祐子も、5人と60人を超えるオーケストラ、ポップスとクラシックの架け橋となって、メンバーと共に最適解を探る旅に出た。個性的な声を持つ5人の集合体であるメンバーとディスカッションする中で「オーケストラも、アンサンブルは同じに統一することではなく、個々の集まりで個性が全部集結して、倍音も増えるということを最近すごく感じている」と語っていた。そして2回目のbillboard classicsのステージでは1回目よりさらに豊潤な世界を生み出していた。

 ちなみにゴスペラーズのファンは田中の演奏会にも足を運ぶ人が増え、まさに双方の架け橋になった。

 フルオーケストラという集合体には演奏家一人ひとりの感情が存在している。音符から感じたものを一人ひとりが咀嚼して音にしていく。それが表情豊かな音になって繊細でダイナミックなオーケストレーションになり、アーティストが歌に込めた感情と相まり、迸り、大きな感動を生む。それが田中が語る「個性が全部集結する」ということだ。

中村雅俊
©石阪大輔

 今年2月に行われた中村雅俊のbillboard classics〈WHAT’S NEXT〉で印象的なシーンがあった。それは中村が新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバー一人ひとり名前を読み上げ紹介したシーンだ。クラシックコンサートではあまり見たことがない。楽団メンバーへの感謝を込めた中村の人柄が滲み出た感動的なシーンだった。

宮野真守

 15周年を迎えた宮野真守は、その締めくくりであり〈次〉のキャリアのスタートになるステージにbillboard classicsでの初のオーケストラコンサート〈AUTHENTICA〉を選んだ。6月8日東京・有明ガーデンシアターで宮野は「こういうコンサートができるようになりたかった」と万感の思いで一曲一曲を大切そうに、全身全霊を込めて歌い、客席と感動を分かち合っていた。