
ありのままでいてよ、あなたのいいところを私は知ってるよ
――4曲目は5月に配信された“Hora Hora”。R&B色の強い曲です。
「これは初め、ピアノで作っていて。ワンコーラスのメロディを鼻歌で作って松下さんに送ったら、〈これ、もうできてるじゃないですか?!〉って言われたんです。歌も最初からあの感じで歌いたいと思っていました」
――メロディに対しての言葉のハマり方も気持ちいい。
「うまくハマると嬉しいんですよ。〈よし、ハマった!!〉みたいな。最初のEP(2022年作『XinU EP #01』)のときにはうまくできなかったことのひとつですね。いまはもっと細かく言葉をハメられるようになりました」
――歌詞は、自己肯定感の低い相手に対して、そのままでいいんだよ、そのままでいてよと言っているのかな。
「私より下の世代に知り合いがいるんですけど、そのコの世代って、高校のときからSNSを普通にやって、見た目主義のところがあるからアプリを使いこなして顔を加工して写真撮ったりとか、少し心配になってしまうところがあって。まあ本人が幸せならそれでいいし、私がとやかく言うことではないんですけど、そういうのって止まらないじゃないですか。飾りをつけすぎたり塗り重ねたりしているうちに本当の自分を見失うようなことがあったら辛いなって思って。
だから、ありのままでいてよ、そのままでいてよって。あなたのいいところを私は知ってるよって言いたかった、勝手に」
――そのコにも届いているといいですね。
「はい」
未完成な私たちをクラップで讃えよう
――5曲目“Clap! Clap!”。このEPのなかで、とりわけインパクトがあったのがこれでした。ニューXinU感がある。曲調もサウンドもすごく新鮮ですよね。トロピカルな感触もあるし。
「よかったぁ。私的には新しすぎて、聴く人がどう感じるのかちょっと心配だったんです。
これは初めにベースのところと自分のコーラス部分のアイデアだけ松下さんに送って。デモを5曲くらい作ったときに、これは採用されないだろうけど、せっかくできたから一緒に送っておこうくらいの気持ちで送ったんですよ。そうしたら松下さんが〈新しい面が出ているので、これを完成させましょう〉と言ってくれて。送っておいて言うのも変ですけど、これを完成させるのは私には無理だとそのときは思ったんです」
――どうしてそう思ったんですか?
「いままでやったことのないジャンルだったから、ここにどんな歌詞をのっけたらいいのかわからなくて。楽しい感じだけど、そのまま楽しい言葉をここに乗せるとアホみたいな感じになるんじゃないかと(笑)」
――はははは。
「でもそんなときにデビューの頃から写真を撮ってくれているSakiho Kawakuboさんと話していたら、〈XinUはいつも私にとって必要な言葉、ポジティブな言葉をくれる。ジャンヌ・ダルクみたいな人だよ〉って言われて。そんなふうに思っていたの?って驚いたのと同時に、私は彼女に対して何かいいことを言おうと喋っていたのかな、それって本当の私なのかなって、あとで考えちゃったんです。自分には嫌な面もたくさんあるのに、いい顔見せたいって思っていたのかな、とか。でもそのとき話したことは嘘じゃない。本当のことだし、本当の自分であったらいいなって。そう考えて、じゃあそれをテーマにしてみようと思って書き始めたのがこれなんです。
で、書いている途中、仲良しのシンガーの友達やサックスの海野あゆみさんと話をしていて、〈私たちってどこまで行ったら完成なんだろうね?〉なんて会話もして」
――それは人間としてってこと?
「人間としてもミュージャンとしても、どこまで行っても未完成なままだよねって。だけどもっとよくなりたいと思っているから進もうとするんだし、頑張ろうって思えるんだよねって、そんな話をしたんです。
そういう友達との会話から自分を見つめ直すことにもなったし、それを曲のなかにも入れ込みたいなと思って、こうなりました。ずっと未完成だし、四六時中悩んでばかりいるけど、考えようによってはそれは前向きなことでもあるんだから、そんな私たちを私たちが認めよう、クラップで讃えよう、っていう」