地元の沖縄から、揺るがぬ思いと力強いメッセージを届け続けて16年――奢ることなく、マイペースに我が道を歩む3人の傍らにはいつも、悲しみを吹き飛ばす〈ヨロコビノウタ〉があり、満面の笑顔で踊る人の輪があった!
上江洌清作(ヴォーカル/ベース)、儀間崇(ギター/ヴォーカル)、髙里悟(ドラムス)の3人で、98年に沖縄で結成されたMONGOL800は、当初THE BLUE HEARTSやHi-STANDARDのコピー・バンドをやっていた。筆者が彼らと出会ったのは、いまから14年前のこと。99年に沖縄限定でリリースされたファースト・アルバム『GO ON AS YOU ARE』の全国流通盤が出るタイミングで、関東に初上陸した際に取材した。当時、メンバーは3人とも大学生で、容貌も発言もごく普通のお兄ちゃんたちという印象だったが、その認識がガラッと一変したのは、2001年のセカンド・アルバム『MESSAGE』だ。前作にあった陽気な明るさは控えめに、ピュアなラヴソング、平和や地元愛を大切にするメッセージ性を帯びた曲が浮上した。代表曲となった“あなたに”“小さな恋のうた”がごく普通に有線放送でも流れるようになると、アルバムもジワジワと売り上げを伸ばし、280万枚以上の大ヒットを記録。その後もマイペースに活動を続け、湿り気を増したサード・アルバム『百々』(2004年)を経て、2006年の4作目『Daniel』で作風に変化が訪れる。髙里だけ四国の大学に通っていたため、モンパチはデビュー以来ずっと〈遠距離バンド〉としての活動を余儀なくされていた。彼が無事に大学を卒業し、沖縄に戻ったことで、ごく普通のバンド活動ができるようになったのだ。メンバー3人が沖縄のスタジオでじっくり制作したこのアルバムでは、全13曲中5曲の作詞/作曲を儀間が手掛けることになる。ゆえに曲調の振り幅が大きくなってユーモラスな歌詞も増え、開放的なムードが漂っていた。
それからバンドはトリビュート盤やコラボなど外部作品への参加も多くなり、結成10周年の節目となった2008年にそれらの課外活動を1枚にまとめた企画盤『etc.works』を発表。翌年にはある意味セルフ・タイトルと言える5作目『eight-hundreds』を制作。また、数年前から話はあったようだが、同年に初の日本武道館ワンマンを決行する。メンバーも口にしていたが、バンドに自信が付いてきたからこそできたことであり、ライヴ自体も感動的な素晴らしさだった。さらにこの年からは、バンド主催の野外フェス〈MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!!〉を2年に1回というペースで、地元沖縄の読谷村にて開催。出演アーティストの幅広い人選からもモンパチのオープンな音楽趣味が窺える。
そして昨年は結成15周年ということもあり、ファン投票によって収録内容を決めた初のベスト盤『800BEST -simple is the BEST!!-』を発表。この頃になると、外から自分たちがどう見られているのか、それも逆に楽しんでいるようなムードもあった。いい意味でバンドに余裕が出てきた証拠だろう。同年には初めて地元の名前を表題に入れた6作目『GOOD MORNING OKINAWA』を完成。改めて故郷の沖縄を冷静に見つめたメッセージに加え、遊び心も散りばめた傑作だった。
そしてこのたび、これまでの活動のなかで関係を育んできた彼らと交流の深いアーティストが集って、モンパチの曲をカヴァーしたキャリア初のトリビュート盤『800TRIBUTE -champloo is the BEST!!-』がリリースされる運びとなった。彼らがいかに多くのミュージシャンたちに愛されているかがよくわかる好盤となっている。
▼MONGOL800の作品
左から、99年作『GO ON AS YOU ARE』、2001年作『MESSAGE』、2004年作『百々』、2006年作『Daniel』、2008年の編集盤『etc.works』、2009年作『eight-hundreds』、2011年の編集盤『etc. works2』、2013年作『GOOD MORNING OKINAWA 』(すべてTISSUE FREAK)
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