『People People』へと繋がるヒントがあちこちに――キヨサクのアザー・ワークスをおさらいしておきましょう!
キヨサクによる近年のアザー・ワークスをおさらい――というのも、それらはバンド活動が煮詰まったあげくの、いわゆる〈ガス抜き〉的な目的でもなく、自身のパーソナルをさらに押すといったよくある類のソロ活動ではなく、MONGOL800に、さらには新作『People People』にも還元されていたりする、意味深いものばかりなわけで……。
2012年、この年は東日本大震災の復興支援を目的とした単発ユニットとして、Mummy-D(ライムスター)、箭内道彦、亀田誠治らとTHE HUMAN BEATSを結成したほか、レゲエ・セレクターのThe BK Soundと組んだ〈上江洌.清作とThe BK Sounds!!〉でレゲエから昭和歌謡、沖縄民謡まで取り上げたアルバム『アイランド』を発表(2014年に続編をリリース)。ジャマイカでのレコーディングでは、ボブ・マーリーのコーラスも務めたマーシャ・グリフィスら現地ミュージシャンとも共演している。
「ジャマイカに行ったら、音楽に対する瞬発力というのがより求められましたね。マーシャ・グリフィスやチナ・スミスとかといっしょにセッションしてもちゃんと渡り合えたっていう、そういう成果ももらえましたし。アルバムを出した流れで、それを気に入ってくれたMIGHTY CROWNやPUSHIMと組むことにもなって、より楽しく音楽をさせてもらいました」。
モンパチの2013年作『GOOD MORNING OKINAWA』をリリースした前後には、怒髪天、NaotoHiroki & Karatesystems(ORANGE RANGEのNAOTOとHIROKIによるユニット)とのコラボ楽曲を残したほか、〈若大将〉こと加山雄三のもと、屈強のプレイヤーたちが集まったスーパー・バンド、THE King ALL STARSにも参加。
「これはできないかもな……っていうことは考えませんね。加山さんとやれてることもすごいですけど、それまでにも小田和正さんや加藤登紀子さん、鈴木雅之さんっていう、大先輩の方々とやらせてもらったり、そこで勝負してきて培ったものが肥やしになってるというか、それを経てのいまなので、だいぶ逞しくなりました。あとは、自分に求められてるものは何かっていうのが、よその現場に行くことで正解を引き出してもらえる。だからコラボレーションはやめられないんですよね」。
最近では、ウクレレジプシーの名で単身ウクレレを手に弾き語りツアーにも出かけている彼。
「やってみるととっても奥が深くて。ウクレレっていうのは、目線が下がるんですよ。ウクレレで歌を作ると、すごく生活寄りになっていく、そういう楽器なのかなって思います」。
生活寄りの歌――彼がウクレレを手にしたことは、自身の日常を見渡して、いま言いたいこと、言っておくべきこと、警告するべきことが思惑以上に溢れ出た『People People』に繋がっていると言っても間違いないでしょう。