「サムライチャンプルー」の音楽が生まれた時代性、そして後年への影響
時代劇×ヒップホップをチャンプルーしたサムライ活劇として2004年5月に始まったTVアニメ「サムライチャンプルー」は、当時「カウボーイビバップ」(98年)が音楽面でも評価された監督の渡辺信一郎がより自身のヒップホップ趣味を前に出し、殺陣でブレイクダンスを用いるなど本編と劇伴の関係をより密にした作品だった。音楽担当は「カウボーイビバップ」で縁のあったTsutchieも含めて4組。まだ謎めいた存在として初作『Metaphorical Music』(2003年)が店頭発信でヒットしていたNujabes、ファイヴ・ディーズとソロを並行してコア層に支持されていたオハイオ出身のファット・ジョン(もともと『マクロスプラス』を観て渡辺作品のファンだったという)、フロア志向へ移行した傑作『II』(2004年)を発表したばかりだったFORCE OF NATURE(KZA+DJ KENT)……という3組はいずれもDIMID~Libyus経由で作品を発表していたのもポイントで、監督の絶妙な好みも窺い知れるところだろう。
日本での評価は局地的だったものの、米カートゥーン・ネットワークの〈Adult Swim〉枠で全米上陸した「サムライチャンプルー」は、そこから音楽を伴って世界各地へ広がっていった。岡崎能士のマンガを原作にRZAがサントラを手掛けた「AFRO SAMURAI」(2007年)やフライング・ロータスの劇伴による「Yasuke」(2021年)といった〈サムライ活劇×ヒップホップ〉作品の源泉が何であるかは言うまでもない。さらに、そこからNujabesを知ったというNYのニンジョイなど、10年代後半から活況を呈した〈ローファイ・ヒップホップ〉勢のリスニング志向な作風にも「サムライチャンプルー」の影響は美しく息づいている。 *轟ひろみ