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子育てをしながら録音をする、大変だけどかけがえのない経験

――“ポーカーフェイス”は初の顔合わせですね。新境地だけどハマっている、絶妙なポップスだと思いました。

「阿佐ヶ谷ロマンティクスさん! これはすごかったですね。歌えるかなって思いました。一番難しかったですし、ライブで再現するのも一番難しいんじゃないかって3人で話してます」

――“Walk With”が一番難しかったと言ったそばからまた一番難しい曲が(笑)。

「ああ、ごめんなさい(笑)。正直、全部難しいんですけど、どうすんの……と一番なったのが“ポーカーフェイス”です。

家で練習する時は、子供が寝た時間にトイレに籠って自分の歌を録音するんですけど、これは録ってもわからないと思うくらいで。Cメロの〈時折歩いた都会通り 着飾るあなた〉のところなんて、これどういう歌いかた?と悩みました。レコーディングのあとも自信がなくて、完成版を聴いて、やっと〈よかったな〉と思えました」

――素晴らしい仕上がりだと思います。しかし、寝かしつけてから歌の練習をしていると聞いて、やはり大変なんだなと改めて感じました。

「寝てからじゃないとなにもできないので。言い訳になっちゃうんですけど、そのせいで寝坊が増えてしまったんですよね。子供は夜中におしっことかお腹空いたとかでちょこちょこ起きることも多くて、まだぶっ続けでは寝れないんです。波があって、今はまた寝なくなる期間なんですよね。このアルバムの制作中も一度寝坊しちゃって、ゆっきーに怒られたんです。それで怒られたばかりなのに、今日もまた……すみませんでした」

――いやいや、この取材は全然問題ないです(笑)。どの曲の歌録りで寝坊したんですか?

「それが最悪で、“あなたとNegi With You!”なんですよ!」

――元気な曲で(笑)。

「めっちゃポップで、これからの未来は明るい! 一緒に歩いて行こう! イェイ!みたいな曲で、しかも出だしが私で、そういう時に限って寝坊して怒られるという。(メモを見せながら)この時はイラっとしながら〈くそうんちやろう雪田 くそ雪田〉って書いてました(笑)。幸せだけど大変な思いをしながらレコーディングするこの経験もゾクゾクして楽しいんですけどね(笑)」

――なかなか寝れてないんだから、たまに遅刻してしまうのは仕方ないですよ。

「いや、仕事に仕方ないとかはないので。間違いなく私がいけないし、芸能界から消えたかたって、やっぱり寝坊のせいとかもあるんじゃないですか?」

――おもしろすぎる(笑)。

「よく知っているかたとの仕事だからこうやって笑っていただけるけど、他のかただったらどうするのって話なので。Negiccoが21周年なのに芸能界から追放されたとして、その理由がNao☆の寝坊だったらシャレにならないじゃないですか(笑)」

――消えないし、誰も追放しないですよ(笑)。

 

Negiccoはまだまだ前進していくし、これからもよろしくお願いします

――“あなたとNegi With You!”の話が出たので、connieさんの曲のお話も。書き下ろしの新曲としては“終わらないGood Times”と“あなたとNegi With You!”ですね。

「今回、connieさんには特にオーダーしないで好きに作ってもらったとゆっきーから聞きました。connieさんはいつもプラス思考なんですけど、普段とはまだ違う感じで、今回はものすごくいいのができたと言っていたのが嬉しかったですね。connieさんの曲がなかったら今の私たちはなかったと思うので。

今のNegiccoを表すアルバムのなかでも、ちゃんとアイドル性が出ていて、初心を忘れちゃいけないなということを思い出させてくれる曲です」

――勝手知ったるconnieさんのメロディや曲の流れというのはやはり歌いやすいのでしょうか。

「特に“あなたとNegi With You!”はそうですね。勢いがよくて、私の歌の役割は高いキーの曲を歌うことなので歌いやすかったです。

ただ、“終わらないGood Times”はいつもと違って、なかなか進まなかったです。このかっこいい感じが自分には難しい部分もありました。ふたりに聞いたらそんなこともなかったみたいですけど」

――“終わらないGood Times”の〈終わることない〉という歌詞はメンバーに対する願いとかメッセージなのかなと思いました。

「connieさんはいつもNegiccoのプラスな未来を考えて書いてくれているので、歌詞を見て、うちらも励まされることがよくあります。

さっき、好きに作ってもらったと言いましたけど、“あなたとNegi With You!”は、戻ってくるまで待っててねソングみたいなイメージがゆっきーにあったみたいで。オザケンさん感みたいなのをお願いしたようです。この曲を聴くと、ネギ待ちソングというのは納得がいくんですよね。小学校で休んだりすると、次の日に行きにくくなったりするじゃないですか。勉強がどこまで進んでるんだろうとか、友達同士の会話についていくのが恥ずかしいとか」

――わかります。

「かえぽは〈そういう感覚ない〉って言ってたんですけど(笑)。私はそれがあって。多分、ぽんちゃもそう。ぽんちゃはもちろんNegiccoの活動再開を楽しみにしてますけど、これがあると温かい気持ちで戻ってこられるんじゃないかなと思います」

――オザケン感というのは“ぼくらが旅に出る理由”ですよね。つまり、しばしの別れだと。そして〈またここで会おうよ〉としっかり歌っているのが、本作のラストを飾るのにふさわしい曲だと思いました。メロディもアレンジも見事で、きっとライブで盛り上がるんだろうなというのが想像できます。

「ライブでやっているのをイメージしながらレコーディングしました。銀テープがバーンと飛んでいるのが想像できる曲ですよね。私自身、このアルバムを聴くのが楽しいし、Negiccoはまだまだ前進していくし、〈これからもよろしくお願いします〉という形になったと思います」

――まだまだ前進するというのが頼もしいです。未来を予測するのが難しいとは思いますが、この先はどんな展望を持っていますか?

「私自身、〈ここらへんまでかな〉という線はあるんですけど、できるだけ続けたいんですよね。土岐(麻子)さんや一十三十一さんを見ているとすごく素敵な大人の女性だなと思いますし、ああいうふうなNegiccoを自分でも見てみたいなと思ったりします。

でも、以前よりもNegiccoの完成度を上げるのが難しくなってはいるんですよね。例えば、前までは何回も練習ができていたけど、今は一回で集中しなきゃいけなかったりするんです。子供を迎えに行かなきゃいけないとか、それぞれの生活があるので。

それでも私が将来、一番楽しみにしているのは、自分たちの子供に野音でのライブを見てもらうことです。ファンのかたたちは、ちょっと子供見ててね、ってお願いできるような人しかないので、ちゃんとご挨拶させたいという気持ちなんですよ。お母さんがお世話になってる人たちだよ、あなたが存在しているのも、この人たちがいるからだよ、というのを伝えたいと思います。私は家族って、血の繋がりだけじゃなくて、ファンの人もそうだと思うんです。あなたの家族はこれだけいるんだよ、というのを子供にも見てもらいたいですね」

 


RELEASE INFORMATION

Negicco 『What A Wonderful World』 Fall Wait(2024)

リリース日:2024年8月14日(水)
品番:FAWA-0025
形態:CD
価格:2,530円(税込)

配信リンク:https://nex-tone.link/A00158501

TRACKLIST
1. まるばつさんかくしかくとわたし 作詞・作曲 山本きゅーり(ノンブラリ) 編曲 ノンブラリ
2. I LOVE YOUR LOVE 作詞・作曲 西寺郷太(NONA REEVES) 編曲 西寺郷太&奥田健介(NONA REEVES)
3. 眩しくて可愛い! 作詞・作曲 オオニシレイジ(Nagakumo) 編曲 Nagakumo
4. 私をネギーに連れてってII 作詞・作曲・編曲 connie
5. 午前0時のシンパシー 作詞 一十三十一 作曲 一十三十一、PARKGOLF 編曲 PARKGOLF
6. 終わらないGood Times 作詞・作曲・編曲 connie
7. ポーカーフェイス 作詞 Tomoya Kishi(阿佐ヶ谷ロマンティクス) 作曲 Satoshi Hori、Tomoya Kishi(阿佐ヶ谷ロマンティクス) 編曲 阿佐ヶ谷ロマンティクス
8. Walk With 作詞・作曲・編曲 辻林美穂
9. あなたとNegi With You! 作詞・作曲 connie 編曲 sugarbeans
10. あなたとNegi With You!(reprise) 作曲・編曲 connie

■タワーレコード特典
全国のタワーレコード店頭、タワーレコード オンラインでの購入特典:ジャケット柄ステッカー

 


PROFILE: Negicco
2003年に結成された新潟発アイドルユニット。メンバーはNao☆、Megu、Kaede。にいがた観光特使を務める。2024年7月20日で結成21周年を迎えた。

PROFILE: ノンブラリ

2012年活動開始。人懐っこさ溢れ、透明でイノセントな光を放つボーカル・山本きゅーりの歌と、色彩豊かで映像を喚起させるセンチメンタルな歌詞とメロディ、人柄が滲み出る暖かな音色のアンサンブルが世代・ジャンルを問わず早耳リスナーを中心に活動間もない頃から注目を集める。2013年9月にリリースした初の全国流通盤『Lily yarn』がウェブを中心に〈インディ/シティポップへの2010年代からの回答〉と手放しの賛辞を受けて話題になり、現在もロングセールスを続けている。その後、2014年に良質な野外フェスとして名を馳せる〈りんご音楽祭〉が企画したイベント〈RINGOOO A GO-GO 2014〉でグランプリを獲得、〈Shimokitazawa SOUND CRUISING〉に3年連続出場を果たすなど、心地よさの中にエモーショナルを感じるライブと遊び心溢れる演奏スタイルによって着実に全国各地にその名を届けてきた。2015年に各地のフェス・イベントへの出演を経てより深化を遂げ、新たな一歩を踏み出すバンドの今を詰め込んだ2ndアルバム『HOMETOWN』を発表。2016年にNHK徳島「ぶら★キャン」への書き下ろし曲“FANFARE”をリリースし、2017年6月に1年8か月ぶりの新作にして3rdアルバム『SOUND TRACK』を発表。2019年、“凪”“美しい日々”を配信限定で2か月連続発表。2020年にケンドーコバヤシ主演のドラマ「桃色探訪~伝説の風俗~」のオープニングテーマ曲に書き下ろした“ミモザとコーヒー”を発表。2023年にもケンドーコバヤシ主演のドラマ「転生みそ五郎どん~ここは異世界?南島原~」の挿入歌として書き下ろした“なにを見ても、どこに居ても”を発表。

PROFILE: 西寺郷太(NONA REEVES)

1973年、東京生まれ、京都育ち。早稲田大学在学時に結成したバンド・NONA REEVESのシンガー、メインソングライターとして1997年にデビュー。以後、音楽プロデューサー、作詞・作曲家としても少年隊、SMAP、V6、YUKI、鈴木雅之、岡村靖幸、私立恵比寿中学などの多くのアーティストの作品に携わる。日本屈指の音楽研究家としても知られ、近年は特に1980年代の音楽の伝承者としてテレビ・ラジオへの出演、雑誌での連載執筆などで精力的に活動。マイケル・ジャクソン、プリンスなどの公式ライナーノーツを手がけるほか、執筆した書籍の数々はベストセラーに。代表作に小説「噂のメロディー・メイカー」(扶桑社)、「プリンス論」(新潮新書)などがあり、2023年1月に初の自伝的小説「90s ナインティーズ」(文藝春秋)を出版。ソロ活動では2023年3月に日本の名曲をカバーした3枚目のアルバム『Sunset Rain』をリリース。2024年6月、YouTubeチャンネル〈NGC〉を開設。

PROFILE: Nagakumo

2021年1月1日活動開始のネオネオアコバンド。1999年〜2001年生まれの4人のメンバーが独自の感性で鳴らす渋谷系・ネオアコギターポップサウンドを〈ネオネオアコ〉と名づける。2021年2月17日に『PLAN e.p.』をリリース。初作のハンドメイドCDでありながらオンラインショップを中心に話題を呼び売り切れの店舗が続出した(現在は廃盤)。2022年3月9日に2作目となるミニアルバム『EXPO』をリリース。東京・大阪でおこなったリリースパーティはコロナ禍の中、ともにソールドアウトした。2023年8月9日、待望の3rdワーク『JUNE e.p.』をリリース。前作同様リリースパーティは東京・大阪ともにソールドアウト。結成以来、関西を中心にマイペースに活動中。

PROFILE: 一十三十一

〈媚薬系〉とも評されるエアリーでコケティッシュなボーカルでアーバンなポップスを展開。国内外問わずラブコールが多くコラボレーションも多数。劇伴制作や小沢健二のコーラス、ネオドゥーワップバンド・JINATANA & EMERALDSのリードボーカルを担当するなど様々なフィールドで活躍中。

PROFILE: PARKGOLF

札幌出身のトラックメイカー・プロデューサー。自身の作品のほかにもゲスの極み乙女。、eill、にしな、chelmico、Jvcki Wai、唾奇、SUSHIBOYS、おかもとえみなど様々なアーティストのリミックスや楽曲提供、CM音楽などの楽曲制作をおこなっている2021年に3rdアルバム『Totem』をリリース。

PROFILE: 阿佐ヶ谷ロマンティクス

有坂朋恵(ボーカル)、貴志朋矢(ギター)、堀智史(キーボード)、古谷理恵(ドラムス)、本間玲(ベース)の5人組。2014年春に結成。ロックステディやレゲエといった中南米音楽の要素をニューミュージックやティン・パン・アレーといった日本語ポップスへと落とし込んだバンド名の通りロマンティックなナンバーを奏でるグループ。

PROFILE: 辻林美穂

静岡県三島市出身。2014年に「RADIO SAKAMOTO」オーディション、tofubeatsのラジオなどで作品がオンエアされたことをきっかけにアーティスト活動を開始。ソロ活動の他に2017年にバンド・ふたりの文学にも参加。作詞編曲家・ボーカリストとして楽曲提供やクライアントワークも盛んにおこなう。

PROFILE: sugarbeans

サウンドプロデューサー、コンポーザー、キーボーディスト、ドラマーとして変幻自在に音を操る類稀なる音楽センスとバランス力を活かし、様々なアーティストのレコーディングやライブサポートをおこなっている。シンガーソングライターとしても2022年1月19日に『つぶあんこしあん』をリリースし好評を博している。伊沢麻未と結成した楽曲制作ユニット・Tommy & Sammyでも活動中。

PROFILE: connie

新潟のダンスポップユニット・Negiccoのプロデュースのほか、アニメ作品や他アイドルへの楽曲提供をおこなう。現在も地元・新潟でサラリーマンをしながらアイドルファンとして制作活動を続けており、アイドルが幸せになることを第一義とするスタンスが一部で好評を得ている。