このアルバムのリリースに先んじて、数年前のノース・シー・ジャズ・フェスティバルでのこのグループの動画を見た。映画「バードマン」でのドラミングを思わせるアントニオ・サンチェスのソロがイントロになったり、NYのストリートをルンバで煽ってきたペドリート・マルティネスのコンガソロが導入になったりしながらストレートにトリオのラフなアンサブルが楽しめた。このアルバムでは、そうした即興的な力をベースに構築された空間をペドリートの厚みのある声やスナーキー・パピーのマイケル・リーグのベースやシンセが埋める。マーク・ジュリアナとブラッド・メルドーの『メリアナ』とは違うエキゾチックな、汗まみれの異臭が音楽に漂い始めた。