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信頼するエンジニアとの録音や制作

――レコーディングはDays of Delightのホームとも言うべきニラジ・カジャンチさんのNK SOUND TOKYOで行われています。

須川「僕にとってニラジくんはいわば〈戦友〉です。僕がバークリー音楽大学の学生だったときに彼もバークリーでエンジニアリングを学んでいて、それ以来のつきあいなんですよ。もちろんその頃に比べればお互いに技量は上がっているけれど、人間としてはちっとも変わっていない。信頼しているエンジニアです」

――NK SOUND TOKYOにはファツィオリとスタインウェイのピアノがありますが、栗林さんはどちらのピアノで演奏しましたか?

栗林「スタインウェイです。自分の中の表現力というか、幅を出しやすい感じがして選んだんですが、そうして良かったなと思っています」

――アコースティックギターの収録に関してはどうですか?

藤本「レコーディングの時に何か指定したマイクとかもなく、スタジオでプレイバックを聴いてすでにとてもいい感じの音色だったので、録り音に関してはこちらからは何も注文を出していません」

――藤本さんが「ギターのチューニングを変えるのが好きだ」とおっしゃっている記事を拝見したことがありますが、今回のレコーディングに関しては?

藤本「今回は全部レギュラーチューニングです。チューニングを変えると、とても面白いハーモニーを出せるけれど、今回は3人の演奏が一緒になった瞬間に何が起こるかということを考えた曲が中心なので、レギュラーチューニングでフレキシブルに弾けるようにしたいと思いました。楽器も1本です」

 

伐採された森林への思いから生まれた曲

――藤本さんの提供曲のひとつである“Dew”は、家の近所にあった森林が伐採されたことがきっかけで生まれたそうですね。

藤本「湘南に海と山が接している場所があったんですが、あるとき、そこに行ったら、山がなくなっていたんです。何かが建つ予定になったようで、森林がバサッと切られていた。僕はその森に癒されていたんだけど、急にそれがなくなると空気が変わるんですよね。その寂しい気持ちを埋めるかのように、自分の中からメロディが生まれてきて。それが“Dew”のメロディです」

須川「その気持ち、メッチャわかる!」

藤本「森林がなくなってぽっかり穴があいた気持ちと、その森林があったときに感じていた温かさみたいなものが自分の中に同居し始めて。この曲は前半が〈森林のない気持ち〉、後半が〈森林があった頃の記憶〉みたいな心の動きが出ている気がします」

須川「最初にストーリーがあって、そこから曲作りをしたの?」

藤本「これに関してはそうだね」

――この“Dew”の冒頭で、木を叩くような音が出てきます。あの部分は、須川さんが出している音ですか?

須川「そうです。その場の思いつきでベースを叩いています。もちろんまったくの偶然で、伐採を表現したわけではないです(笑)」

藤本「今回のレコーディングはセルフカバーですが、もともとベースは入っていなかった曲なんです。崇志くんがベースで曲の世界を拡げてくれました」

――栗林さんの“Road”は、藤本さんとのデュオ演奏がYouTubeで公開されていますが、ベースが入ったことによって、より豊かに世界が広がっています。

栗林「“Road”は一馬さんとデュオを始めた頃に書いた曲で、一緒に録音を残したいなという気持ちがあって。出来上がった音を聴いて、やって良かったと心から思います」