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前半のハイライトはJairoのビートボックスとの共演

武藤によるピアノ演奏が“ア・ラレイ”からの余韻を浸透させきったところで場面転換。バンドメンバーたちがステージをはけた代わりに、Jairoのふたりが登場した。

Jairoは昨年のXinUの渋谷WWW Xワンマンなどにもゲスト出演したビートボクサーのYAMORIが盟友John-Tと結成したビートボックスチームで、11月に開催された世界最高峰のビートボックスの大会〈Grand Beatbox Battle 2024 TOKYO〉では見事日本人として初優勝。その実力をここでも遺憾なく発揮し、迫力の低音ボイス、息の合ったリズムと動きで観客を魅了した。

そしてふたりのビートボックスがまた別の曲のビートを奏でると、そこにXinUがジョイン。R&B曲“罠”をふたりのビートボックスに乗せて歌った。オリジナルとは雰囲気が大きく変わるも、サビのメロの強さはかえって際立ち、観客たちは驚きを覚えながら聴き入っているようだった。これがライブ前半のハイライトと言っていい。

 

冬レゲエメドレーで生まれ変わった名曲たち

ここから後半戦。バンドメンバーたちをひとりひとり呼び込み、「冬だけど、みんな、このリズム好き?」と観客に呼び掛けて始めたのは、オリジナル曲をレゲエにアレンジしてのメドレーだ。7月の〈XinU EP #03 RELEASE LIVE!〉では山下達郎、久保田利伸、ニール・セダカの曲をラヴァーズロックアレンジでカバーしていたが、今回はオリジナル曲の“揺らせ”“ありがとうさよなら”“オモイオモワレ”をメドレーで。“ありがとうさよなら”はラヴァーズというよりオーセンティックレゲエの趣で完全に生まれ変わっていたし、“オモイオモワレ”では大津がダブ的要素も取り込むなど彼のドラムの凄さが際立っていた。〈XinU EP #03 RELEASE LIVE!〉のレポートにも書いたことだが、XinUのボーカルとラヴァーズロック/レゲエの相性は実にいい。今夏あたりにはラヴァーズロックリミックスでEPでも出してほしいものだ。

夏をイメージさせるメドレーが終わると、一転、この季節に相応しい“ロマンス”をアカペラで。プリセットされた多重コーラスが美しく響き、クリスマスの香りが立ちのぼった。それに続いてはバンドセットの“昼夜酩酊”。スタイル・カウンシル“Shout To The Top”を想起させる始まり方とある種の疾走感が魅力のこの曲が始まった途端、胸が躍った。間奏の庄司のギターソロにも引き込まれたし、この曲がこんなにもライブ映えする曲だったとは、今回ナマで聴いて初めてわかったことだ。

先に記した少し長めのMCから、次に歌われたのは『A.O.R - Adult Oriented Romance』のなかでとりわけXinUにとって思い入れの深い“つながっていて”。夏のワンマンのときにはこの曲のトラックを流してポエトリーリーディングしていたことも思い出される。「“信じること”を ただ信じてみたいもっと」。思いのこもった歌唱が心に沁み渡った。

 

シンガロングで盛り上がり、熱気は増すばかり

ここからは軽やかな曲が続いていく。“とけてゆく”、松下昇平(M-Swift)と組んで作った最初の曲“鼓動”、それに“いつのまにか”。どの曲もシンガロングが起こり、その嬉しさもあってか“いつのまにか”の歌い出しでXinUが歌詞を飛ばしたりもしたが、かえってそれも観客の盛り上がりにつながり、熱気は増すばかりだった。

次のミディアムスロー曲“ただ見つめ合っても”でクールダウン。武藤のジャジーなピアノの音色がとてもよく、間奏のピアノソロも絶品。XinUのボーカル表現力もこういったミディアムスローで非常に際立つ。彼女はとても丁寧にこの曲を歌っていた。

そして再び軽快かつ楽しいノリの曲を。「一緒に踊りましょう!」と言ってGANMIの4人をステージに呼び、“触れる唇”を5人揃っての振り付きで。夏のワンマンからこの曲はXinUのライブに欠かせない1曲となり、明らかにライブで育っていった。2024年のXinUを振り返ったときにパっと頭のなかに流れるのがこの曲、というくらいに。

先述した通り本編の最後は、これも重要曲。「みんなと一緒にこの曲が歌いたくて、みんなのこと思い浮かべながら書いた曲をやります。また会いましょう」と言って歌われた“また会いに行くから”だ。「境界線なんて はじめからないから」。XinUとバンドメンバーと観客が共に「ラ~ラ・ララララ~」と歌っている様を見ながら、まったくこの歌詞の通りだなとそう思った。