
時代を超える普遍的なメロディを求めて
──そういう意味で、NEWFOLK的に須藤さんの心が動かされる要素って、わかりやすくいうとどういうものなんでしょう?
「絶対的な共通項は一個あるんですよ。それは曲。つまり、ソングという点での良さ。そして、そこに付随するメロディの良さ。そこは僕が最も大切にしている音楽的な要素ですね。
今はメロディという要素がソングライティングにおいて結構軽視されているなとずっと思ってるんです。わかりやすく〈なんかすごい〉と認識できる要素、例えば派手なキメが多いアレンジや音響的なギミック、そしてソングではなくシング(歌うこと)のほうが重視されている。特徴的な声もそうですし、超ハイトーンとか早口言葉のようなボーカルとか、ある種スポーツ的なスキルを持ってる人が脚光を浴びがちだなと個人的には思っているんですが、僕個人にとってはメロディが最も大切。
誰もが鼻歌で口ずさめて、それが生活の中でふとした瞬間に思い出されて、心が和らいだり、鼓舞されたり、感動したりする。そういう曲には良いメロディが不可欠だし、それは時代を超越する普遍的な魅力があるものだと思っていて。最低限、そこで僕の琴線に触れるものでないと出せない」
家主との衝撃的な出会い
──ラッキーオールドサンとともにNEWFOLKの起点と言える台風クラブは、ココナッツディスク吉祥寺店で自主制作のCD-R『ずる休み』(2016年)を見つけたのがきっかけでしたよね。家主との出会いはどういう経緯だったんですか?
「ラッキーオールドサンのバンド編成でのライブを初めて見たのが2015年かな? 吉祥寺のキチムで、平賀さち枝さんとのツーマン(2015年2月1日)だったと思います。そのときのメンバーがヤコブくん、岡本さん、ベースが牧野ヨシ。
バンド編成でのライブがめちゃめちゃ良いと思ったし、その日のBGMで流れてたのが牧野くんが自主で作っていたアルバム『琺瑯』でした。〈これ誰?〉って聞いたら〈僕です〉と牧野くんが言って。〈ヤコブくんたちもバンドをやってるんですよ。家主っていうんですけど〉という話にもなって、〈家主? すげえ名前だね〉と(笑)。その後、ふとしたときにYouTubeに上がっていた当時のライブ映像を見て、〈すげえ良いじゃん!〉と思った、それが最初ですかね」
──まだ谷江(俊岳)くんが加入する以前の、トリオ時代の家主ですね。
「そうですね。家主のライブを初めて生で見たのは2015年で、ラッキーオールドサンと牧野ヨシの合同レコ発ライブに、牧野ヨシ with 家主として彼らが出演したんです(2015年9月27日)。その日の演奏自体は20分しかなかったんですが(笑)。だけど、とんでもないインパクトを残したライブだったんです。その年いちばん衝撃受けたくらいのすごさでした」
──いつかは自分で世に出したい、と思った?
「うーん、そうなんですけど、当時ヤコブくんはまだサラリーマンとしてしっかり働いていたし、家主のライブの予定も全然決まってないと聞いていて。〈じゃ、やるときあったら見に行くわ〉くらいの会話をしたけど、実際、ライブもほとんどやらなかった(笑)。kiti時代の接点はそんな感じでした」