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まともなデパートで買える商品ではない

――続いて、次の作品について少し。いまある新曲をどういうふうに録りたいとか、どういう作品を作りたいとか、考えていることはありますか?

石塚「ビリー・チャイルディッシュの……なんやったっけ? ヘッドコーツの前の……あっ、マイティ・シーザーズや。マイティ・シーザーズがめっちゃかっこよくて。一発で録りたい、っていうのはある。開放弦が鳴る感じ」

伊奈「絶対いいね」

山本「石塚はギズモスが好きよね」

石塚「ギズモスは最高。ギズモスとビリー・チャイルディッシュ。……ギズモスとビリー・チャイルディッシュ」

――2回言いましたね(笑)。

山本「ギズモスもさ、絶対真面目にやってるよね」

石塚「だから、おれらが真面目にやってないと受け取られても非常に困る。大真面目、大必死やし。アーティストらしいインタビューの言葉とかバンド界隈の言語とかを否定するのも、おれらなりの真摯さやから」

山本「たまに、お客さんに〈ちゃんとやってください!〉って言われるけどな。その日のライブがよくなかったんだろうけど」

石塚「そんな手厳しい……いいお客さんがいるの?」

――適当にやってるわけではないですからね。

石塚「おれらはマジで必死やけど、たまにマジで下手な日もある」

山本「だからずっと言ってるんやけど、スタジオ見に来いって」

石塚「むちゃくちゃうまいときあるからね!」

伊奈「スタジオは上手よ、ライブより。それは毎回そう」

山本「だから、ほんまに台風クラブを好きなんやったらスタジオ見に来いと。見に来てええって前から言うてる」

石塚「台風クラブは、まともなデパートで買える商品ではないんです。手作りやから、ほつれがあるときはある。……ないときもある」

山本「時代には合わんけどな。おれはその感じのまま続けたいな」

石塚「続けるのが目的ですらないけどね」

山本「ないない」

石塚「次のアルバムが2036年でもええと思ってる」

山本「いまってSNSとかになんでもすぐ上げよるやん。おれは映像も撮ってるけど、死んでから、終わってからどっかで見てほしくて。そういうのがええなって思ってる」

 

拾得も台風クラブも営み

――2月9日に京都の拾得でワンマンをやるじゃないですか。地元というか、台風クラブにとって所縁があり、由緒もある場所でライブをやることに関して襟を正す部分はありますか?

石塚「拾得はうれしい。ぜんぜんできへんかったし」

――台風クラブは、自分たちがワンマンライブを行うことに対してのアレルギーがあったじゃないですか。それについては和らいだ部分はあります?

石塚「それに関しては吾妻(光良)さんのトリオが拾得で2部制でやっとって、それを見て〈あっ、ぜんぜんいける〉と思って。1部と2部の合間に酒頼んで、料理頼んで、で2部が始まって……結局5,000円ぐらい使ったもん」

山本「1日で1万は消える計算やな」

石塚「2部制最高!」

――ワンマンは悪いもんじゃない、それはそれで楽しみ方はあると。

石塚「2部制にすればね」

――2人はどうですか?

山本「むっちゃ楽やで。時間もあるし、リハもちゃんとやれるし」

伊奈「たしかに細やかな気遣いはいらんもんね」

山本「おれもワンマンはそんなにやったけど、ツーマンとかスリーマンとかやっても結局ほかのバンドをぜんぜん見れへんし、じゃあもうええやんって」

伊奈「拾得で〈イナ祭り!〉(2015年)っておれが全組に出るイベントをやったときは4組出たんですけど、そのとき拾得の方は〈多くて2組、できたらワンマンをやりたい〉って言ってて。なぜワンマンがいいかというと、お客さんがその雰囲気に浸れると。なるほどって思ったな」

石塚「どこ行っても思うけど、ライブハウスで座って飯食える文化って京都だけやんな」

山本「おれ、あれは好きだな」

伊奈「あと須藤さんが言ってたけど、台風クラブはワンマンを求められるフェーズに入ってるよね。だから、それをご提供する時期ではあるかなと思ってる」

山本「台風クラブは趣味で始まったけど、流されつつやってきて、お客さんが〈ワンマン見たい〉って求めてくれるなら……」

伊奈「はい、やりますって」

石塚「頑固はよくないな。(店員に)すみませーん!」

――生ビール1つください。

石塚「黒霧のソーダ割りください」

伊奈「2つで。〈ワンマンやってください〉って言われるのは照れるよね」

山本「当初はひねくれてて、他人に言われてやるのは嫌やなと思ってた」

石塚「誰かに言われてバンドをやってるわけじゃないしな」

伊奈「石塚が〈ワンマンやるのはいいね〉って繋がったことが、いちばん説得力があると思った。石塚が繋がったんなら、じゃあやろうと」

山本「それはそうやな」

石塚「前売り予約、大変でしたよ。いまおれ、Xまったく見てないんですけど、〈1日で3万稼げる〉とか〈セックスしたい人妻〉とかのDMがすごい来てて。そのDMに紛れた前売りの人に返信する作業、マジで気い狂うかと思った」

伊奈「ちなみにワンマンの告知から売り切れまでの間、おれぜんぜん知らんくて。シェアハウスのみんなとスイパラに行ってケーキの写真を上げてて、〈なんでこいつ宣伝しないでケーキの写真上げてんだろ?〉みたいな雰囲気だったと思うんだけど(笑)」

石塚「大丈夫だよ」

伊奈「でも、それがめっちゃいいと思った(笑)」

山本「それが台風クラブ(笑)?」

石塚「ほんまそうや」

山本「おれは拾得がほんま好きで。ミーハーかもしれんけど外道とか、京都のバンドのライブといったら拾得だから。おれらはもう京都に住んでへんけど、京都のバンドの拾得のライブ盤は欲しい。だから使う使わへんはわからんけど、その日は撮影もして一応記録を残しときたいなと」

伊奈「日本最古のライブハウスとかとは別に、普通に先輩のライブを見に行ってたところだからね」

石塚「拾得も台風クラブもね、営みですよ」