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予測不能だった80年代以降

 ヤン・ハマーのキーボードと壮絶なバトルを繰り広げる『Jeff Beck With The Jan Hammer Group Live』(77年)収録の“Freeway Jam”で幕が開くDisc-2は、主に80年代以降の足跡を駆け足で辿っていく内容となる。スティーヴ・ルカサーが人生の一枚に選んでいる89年作『Jeff Beck’s Guitar Shop』からの楽曲ではギターの限界めざして果敢にチャレンジする姿を見せたかと思えば、アッパーなデジタル・ビートと戯れ合う“Psycho Sam”(99年)、インド風のメロディーにアプローチしたニティン・ソーニーのカヴァー“Nadia”(2000年)などさまざまなジャンルを吸収しながらクリエイターとしてより進歩しようと邁進する〈音の冒険家〉としての側面が色濃く現れ出している。

 ジャンル融合の刺激性の点ではDisc-1の収録曲に少々引けは取るものの、ギター・プレイのみならず彼の頭の中自体が常に予測不能なのだ、と理解を促してくれる意味ではこの時期のほうがユニークに思えなくもない(時代と添い寝しているようで絶妙にズレているあたりも愛すべき部分だ)。ここでの究極の一曲を挙げるならば、彼の音楽人生における最高のスパーリング・パートナーであり続けたロッド・スチュワートをヴォーカルに迎えて、インプレッションズの名曲をカヴァーした85年のヒット・シングル“People Get Ready”となろうか。

 有意義な実験も派手な失敗も含めてさまざまな試みのすべてがやっぱりおもしろい。ロック界に名高い正真正銘の変わり者、ジェフ・ベック。そんな彼の音楽人生を紐解くためにこのうえなく有益な古典が並べられた本作。なんと贅沢なベスト盤であることよ。

2016年のデビュー50周年公演の模様を収めたジェフ・ベックのライヴBD「Live At The Hollywood Bowl」(Eagle Rock/YAMAHA)

ジェフ・ベックが参加した20年代の作品を一部紹介。
左から、ディオンの2020年作『Blues With Friends』(Keeping The Blues Alive)、オジー・オズボーンの2022年作『Patient Number 9』(Epic)、ヴァン・モリソンの2023年作『Accentuate The Positive』(Exile)、エリック・クラプトンの2024年作『Meanwhile』(Bushbranch/Surfdog)、イアン・ハンターの2024年作『Defiance Part 2: Fiction』(Sun)