永遠の名曲たち
そうした志向を反映したのが2015年のセカンド・アルバム『Stories』だ。当初はジョン・ボン・ジョヴィやサージ・タンキアン(システム・オブ・ア・ダウン)とのコラボ構想が語られ、ビリー・ジョー・アームストロング(グリーン・デイ)を迎えた“No Pleasing A Woman”もツアーで披露されるが、結果的にそれらは収録されず、ヴォーカル面ではクリス・マーティン(コールドプレイ)やワイクリフ&マティスヤフ、セレステ、馴染みのサンドロ・カヴァッツァらを迎えている。よりメロディアスな作風でソングライターとしての成長を見せつつ時流にも目配せしたアルバムからは、マーティン・ギャリックスと共作した“Waiting For Love”(チェリー・ゴーストのサイモン・アルドレッドが歌唱)やザック・ブラウンを招いた“Broken Arrows”がヒット。同年にはマドンナ『Rebel Heart』で制作陣に抜擢されていたのも忘れ難い。
そのように揺るぎなくキャリアを積み上げた代償に心身は疲弊していったのかもしれない。2016年3月にアヴィーチーは健康上の理由からDJ/パフォーマンス活動からの引退を発表し、2016年8月にイビザのビーチ・ホテルで最後の公演を行った(この間の6月には唯一の来日公演も実現)。ただ、並行してサード・アルバムが制作中であることが伝えられ、2017年8月にはその序章となるEP『Avīci(01)』もリリース。リタ・オラとのタッグ曲“Lonely Together”もヒットしている。同年9月にはツアー引退を記録したドキュメンタリー作品「Avicii: True Stories」が公開。2018年に入り、3月には身近な面々と制作した次なる作品のプレビュー動画を投稿していたが、翌月の20日、訪れていたオマーンのマスカットで急逝したことが発表された。
今回のベスト盤『Avicii Forever』には、本文中でも挙げた一連のヒットを軸に死後作『Tim』(2019年)からの“SOS”や“Heaven”も収録。日本盤ボートラでは“Tough Love (Tiësto Remix)”と“Fades Away (Tribute Concert Version)”も楽しめる。色褪せない名曲の数々は2010年代という近過去の光景を鮮明に蘇らせると同時に、そのタイムレスな輝きを永遠に放ち続けてくれることだろう。 *出嶌孝次
アヴィーチーの参加作品を一部紹介。
左から、ダフト・パンクの2011年作『Tron Legacy : Reconfigured』(Disney)、デヴィッド・ゲッタの2014年作『Listen』(Parlophone)、コールドプレイの2014年作『Ghost Stories』(Parlophone)、フェイスレスの2015年作『2.0』(Cheeky)、マドンナの2015年作『Rebel Heart』(Interscope)、アンダーソン・イーストの2018年作『Encore』(Elektra)、キャムの2020年作『The Otherside』(RCA)
『Avicii Forever』収録曲に参加したアーティストの近作を紹介。
左から、エル・キングの2023年作『Come Get Your Wife』(RCA)、アロー・ブラックの2025年作『Stay Together』(Grand Scheme)、インキュバスの2024年作『Morning View XXIII』(Virgin)、ロビー・ウィリアムスの2022年作『XXV』(Columbia)、ザック・ブラウン・バンドの2021年作『The Comeback』(Warner Nashville)、イマジン・ドラゴンズの2024年作『Loom』(Interscope)、リタ・オラの2023年作『You & I』(BMG)、ティエストの2023年作『Drive』(Atlantic)