いろんな角度から音楽シーンに広く定着したアヴィーチー作法のサウンド
カルヴィン・ハリスの新曲“Smoke The Pain Away”が本人の歌唱するバンジョー系のEDMだったことに時代が一周したことを感じつつも違和感がまるでないのは、マムフォード&サンズを参考にニュー・フォークを取り込んだアヴィーチー“Wake Me Up”の作法が、カントリー的な意匠のピットブル&ケシャ“Timber”やカイゴ&セレーナ・ゴメスの“It Ain't Me”、ゼッド+グレイ&マレン・モリスの“The Middle”といったヒットも相まって、広くスタイルとして定着したからだろう。イマジン・ドラゴンズやワンリパブリックのようなEDM以降のバンド・サウンドも、アレッソやギャランティスらのカントリー系EDMも、ザック・ブラウン・バンドのようなカントリー/フォーク勢によるEDM系トラックへの取り組みも、アコースティック楽器の音色とアッパーなダンス・ビートをポップに合体させる図式の面では変わりなく、すでに特筆する必要もないくらいマイルドなものとして浸透しているのだ。それとは別の話で、“Wake Me Up”をはじめとするアヴィーチー曲のカヴァーがクラシックやジャズ/フュージョンといったいわゆる〈音楽的〉な分野においてより盛んなのは、彼の楽曲が備えたメロディーの良さやアレンジの汎用性の高さを物語るかのようで興味深い。なお、直近ではアヴィーチーと縁深いムーによるトリビュート的な“Wake Me Up”も印象的だった。 *轟ひろみ
左から、マムフォード&サンズの2012年作『Babel』(Island)、ピットブルのベスト盤『Greatest Hits』(RCA)、ワンリパブリックの2016年作『Oh My My』(Mosley/Interscope)、ギャランティスの2020年作『Church』(Atlantic)、ダーティー・ループスの2014年作『Loopified』(Verve)、2チェロズの2015年作『Celloverse』(Sony Classical)、POLYPLUSの2018年作『debut』(Playwright)、TSUKEMENの2019年作『時を超える絆』(キング)、ステイト・カウズの2020年作『Challenges』(Pヴァイン)、デヴィッド・ギャレットの2024年作『Millennium Symphony』(DG Deutsche Grammophon)、ムーのニュー・アルバム『Plaeygirl』(Chess Club/RCA)