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Photo by Josh Halling

オアシスと旧知の仲の2組がオープニングアクトで登場

オアシスが再結成ツアーの初日に選んだのは英カーディフ。ロンドンから特急電車で約2時間、ウェールズの首都でもある。会場のプリンシパリティ・スタジアムは駅から徒歩圏内。前日にノエルが特急電車で会場入りした話がニュースになり、我らがアニキはロックンロールな期待を裏切らないとここでも証明していた。

さて、私も初日午後にロンドンから電車でカーディフに着いたわけだが、ブリストルあたりから地元のオアシスファンが酒瓶やビール片手に電車に乗り、大きな声で語り、ガハハと笑い合っている。カーディフの街自体がまさにその拡大バージョン。ものすごい人数のオアシスファンが、バンドTシャツを身につけたり、リアムっぽいハットを被りつつ街中で笑い、飲み、大声で合唱している。

パブやゲームセンターは大音量でオアシス曲を流し、お店のポスターや看板でもギャラガー兄弟の姿があちこちで見られた。平日昼間からこうやってオアシス祭りで町中が盛り上がるとは、さすが国民的バンド。耳を澄ますと、フランス語やドイツ語をはじめ、英語以外の言葉があちこちから聞こえてくる。まさかの再結成ツアーの初日に合わせ、私を含めて全世界からオアシスファンが集まっている様相だ。

トップバッターのキャストから見ようと会場に着くと、意外なほどスムーズにスタジアムに入れた。元ザ・ラーズの、という枕詞も不要なジョン・パワーはオアシスの昔からの盟友。リアムの『Definitely Maybe』の30周年ツアーのオープニングも務めた。若々しくポップな雰囲気を醸し出しつつ、ギターに耳を澄ますと荘厳さすら感じさせるサイケデリックなトーン。バンドとしての技術で会場を魅せつつ、一方で初期の名曲“Alright”で軽やかに踊らせるなど、ベテランならではの巧みな使い分けはさすがだった。

続くオープニングアクトは、リチャード・アシュクロフト。言うまでもなくザ・ヴァーヴのフロントマンであり、オアシスが“Cast No Shadow”で歌ったのがまさしくこの人(この日のオアシスのセットリストには、当然この曲も入っていた)。“Sonnet”に始まり“Bitter Sweet Symphony”で幕を閉じた、と言うだけでもこの日の彼のライブがいかに大サービス、かつオアシスへのリスペクトに満ちていたかわかるだろう。

今回のオープニングアクトは、ジョン・パワーしかり、リチャード・アシュクロフトしかりで、イギリス北部のロックミュージシャンたちへのオアシスの仲間意識と信頼度の高さが伝わってくる。しかも、あのリチャード・アシュクロフトが「僕が今日最初のオアシスコールをやるね、オーウェイシス、オーウェイシス」と真顔でやったのには卒倒しそうになった。最高すぎる。

 

決して計り知れない兄弟の堅い絆を目にして

予定時刻20:15の少し前に、冒頭で書いたようにオアシスのライブが始まった。3曲目の“Acquiesce”ですでに、ただ歌うのではなくマイクにケンカを売るように歌い上げるリアムには目を見張った。4曲目の“Morning Glory”、私のメモには〈マイクと闘いギターと闘う、これぞオアシス〉と記載されている。つまり、そういうことである。“Cigarettes & Alcohol”でリアムは観客に「後ろを向いてみんな隣の人と肩を組めー」と指示。そんなことをするリアムは初めて見た気がする。“Fade Away”ではノエルも嬉しそうに笑いながら弾いている。リアムはステージの上ではラッドなので笑わない一方、この夜はノエルが本当に楽しそうに微笑んでいた。

19曲目の“Live Forever”で、最後に背中が大写しになったのは英プレミアリーグのリバプールに所属し、ポルトガル代表でもある(ディオゴ・)ジョタ選手。7月3日に交通事故死し、イギリスではこの日の朝に大ニュースとして報じられていた。同僚の遠藤航選手の追悼コメントを見た人もいるだろう。ジョタ選手の記憶は、オアシスの再結成ライブを通しても残っていく。 

Photo by Josh Halling

そして本編最後は“Rock ‘N’ Roll Star”。デビューした頃の兄弟の若き日の映像やロゴなどがコラージュされ、彼らがロックンロールスターとして駆け上っていった姿が脳裏に蘇る。そして繰り返される、〈It’s just Rock ‘n’ Roll〉というフレーズ。ただのロックンロール。されど、ロックンロール。胸にまっすぐ伝わる。

アンコールも凄まじかった。ブラス隊とともに演奏された“The Masterplan”や、大写しになった観客たちの様子にオアシスが〈彼らの歌〉ではなく〈私たちみんなの歌〉になっていった様子を改めて体感できた“Don’t Look Back In Anger”など、粒揃いの名曲が紡がれていく。“Wonderwall”も過剰なアレンジは皆無で、ほぼオリジナルに忠実に紡がれた。これが聴きたかったんだよ、というほどに。

そして最後の1曲は、星空をバックにした“Champagne Supernova”だった。歌っているリアムと、ノエルのギターの手元がともにバックに大写しになる。オレの曲とあいつの歌があれば、オアシスだ――アニキのその信念が、視覚的にも表現されているかのようだった。

歌い終えた後、リアムは彼がすごくご機嫌な時によくやっていた、両手をついて頭を下げるような仕草を三回繰り返した。そして、ギターの演奏を終えたノエルと軽く抱き合った。外野には決して計り知れないこの兄弟の堅い絆を、少しだけ目にしたような気持ちになった。

2025年7月5日、午前4:00。カーディフのホテルでこれを書いているこの瞬間にも、深夜の街でオアシスを歌うファンの声がときおり聞こえてくる。今歌われているのは“All Around The World”だ。今夜はやらなかったけど、あなたにとって大切な曲なんだろうな。私たちそれぞれが胸に秘めてきたオアシスの思い出を、再結成したオアシスは全く壊さないでくれた。いい再結成だった。このままケンカせず、世界中の一人でも多くの人の前で、オアシスは天下無敵で今も健在であることを伝えてほしい。

 

 


SETLIST
Oasis〈Live ’25〉
2025年7月4日(金)イギリス・カーディフ プリンシパリティ・スタジアム

1. Fuckin’ in the Bushes
2. Hello
3. Acquiesce
4. Morning Glory
5. Some Might Say
6. Bring It On Down
7. Cigarettes & Alcohol
8. Fade Away
9. Supersonic
10. Roll With It
11. Talk Tonight
12. Half The World Away
13. Little by Little
14. D’You Know What I Mean?
15. Stand By Me
16. Cast No Shadow
17. Slide Away
18. Whatever
19. Live Forever
20. Rock ‘N’ Roll Star

ENCORE
21. The Masterplan
22. Don’t Look Back In Anger
23. Wonderwall
24. Champagne Supernova

カーディフ公演のセットリストをまとめた公式プレイリストはこちら:https://oasisjp.lnk.to/0704Setlis