単独ピアニスト最多動員数13,000人という快挙を成し遂げた、メモリアル公演が待望の映像化!

 昨年の7月14日、角野隼斗29歳の誕生日に開催した日本武道館公演が、30歳の誕生日に待望の映像化。単独ピアニスト公演では最多となる13,000人のファンが武道館に集まった。

角野隼斗 『ピアノ・リサイタル at 日本武道館』 Sony Classical(2025)

 第1部では自身の所有するスタインウェイのグランドピアノを使用し、幼少の頃より弾き慣れ親しんだショパンを中心にライヴを展開していく。その後のMCでは途中で背中にセミがとまるという微笑ましいハプニングがありつつも、角野隼斗がアレンジしたモーツァルト“24の調によるトルコ行進曲変奏曲”を披露。リストの“ハンガリー狂詩曲”第2番では、繊細さとダイナミックさを兼ね備えた華麗なる演奏や、タオルでミュートしたりマレットを使用した、ピアノの〈内部演奏〉を取り入れていることにも注目したい。最後に昨年リリースしたアルバムから“Human Universe”を披露し、第1部を締めくくる。

 第2部ではトイピアノを抱えて登場し、挨拶代わりに“3分クッキング”のテーマ曲などのメドレーを披露し、場を和ませる。アップライトとシンセサイザーを加えたステージングで、アルバム『Human Universe』の収録曲を中心に、クロスオーバーなプログラムを展開していく。

 中でも角野隼斗が作曲した“3つのノクターン”では、神秘的で静寂な空間を演出、ラヴェル“ボレロ”では、シンセサイザーを使用し、角野隼斗の新たな解釈で楽曲に新たな命が吹き込まれた演奏に観客を魅了した。

 アンコールでは、J. S. バッハ“主よ、人の望みの喜びよ”を披露したあとに、来場者への感謝を述べると「お誕生日おめでとう」の一声に“Happy Birthday To You”を演奏しお祝いムードの中、グリッサンドの流れでショパン“英雄ポロネーズ”を披露、大団円のなか公演は終了した。

 観に行かれた方も、そうでない方も、ぜひご自宅でこのメモリアルな公演の余韻に浸ってみてはいかがだろうか。