Photo by Ingo Forsberg
©Authentic Hendrix, LLC

ジミ・ヘンドリックスのアルバム『Bold As Love (Deluxe)』が2025年11月7日(金)にリリースされる。

ジミ・ヘンドリックスが1967年に発表した画期的な2ndアルバム『Axis: Bold As Love』。同作の最新リマスター(ステレオ/モノラル)に40曲のボーナストラック、さらにハイレゾ(ステレオ/モノラル)とDolby Atmosの音源を収録した5枚組ボックスセット『Bold As Love (Deluxe)』がソニーミュージックから発表される。

ジミの妹ジェイニー・ヘンドリックス、エクスペリエンスの初代レコーディング・エンジニアを務めたエディ・クレイマー、ジョン・マクダーモットの3者がプロデュースを手がけたこの壮大なコレクションは、CD 4枚組+Blu-ray Audio(またはLP 5枚組+Blu-ray Audio ※輸入盤のみ)の豪華仕様となっている。

本作は、ジミ、アルバムのプロデュースを担当したチャス・チャンドラー、オリジナル盤のエンジニアを務めたエディ・クレイマーが作り上げた『Axis: Bold As Love』のオリジナルミックスからリマスタリングされたステレオおよびモノラルのミックスを収録。加えて、クレイマーとエンジニアのチャンドラー・ハロッドがイマーシブなDolby Atmosミックスを新たに制作した。

さらにアルバムの着想およびレコーディング期から、別バージョン、未発表スタジオテイク、デモ音源、ライブトラック、テレビ出演時の音源が40曲追加されており、そのうち28曲はこれまで日の目をみることがなかったもの。それらのトラックのなかから、1967年10月の未発表スタジオデモ音源“Stone Free / Up From The Skies (Demo)”が本日配信された。

1967年5月の時点で、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスは革新的なデビューアルバム『Are You Experienced?』を英ロンドンのオリンピック・スタジオで仕上げ、すぐさま次の作品に取り掛かっていた。

ジミは1966年9月下旬にロンドンに到着すると、間もなく本拠地イギリスで3曲のトップ10入りシングルを発表しており、その後も矢継ぎ早にヨーロッパ中で成功を収めたものの、アメリカ制覇にはまだ至っていなかった。1967年6月、グループはアメリカに向かい、〈モンタレー・インターナショナル・ポップ・フェスティバル〉でアメリカデビューを果たす。彼らの同フェスでの見事なデビューは、ジミが演奏の終わりにギターに火を点けるパフォーマンスもあり、1967年夏の全米での快進撃に繋がった。

ロンドンに戻る前にプロデューサーのチャス・チャンドラーは、彼らの4枚目のシングル“Burning Of The Midnight Lamp”(b/w “The Stars That Play With Laughing Sam’s Dice)”を米ニューヨークとロサンゼルスのセッションでレコーディングした。本作では、両曲の未発表バージョンが披露される。

ジ・アニマルズの元ベーシストでエクスペリエンスのプロデューサーを務めたチャンドラーは、エクスペリエンスを率いてロンドンのオリンピック・スタジオに戻ると、のちに『Axis: Bold As Love』となる作品の制作作業を1967年10月1日から再開。チャンドラーは、ジミがクリエイティブ面で非常に重要な飛躍を遂げる手助けをしようと固く決めていた。彼は、ジミがレコーディングするための新曲を本人との密な作業によって進め、ロンドンのオリンピック・スタジオとリージェント・スタジオの両方を同じ日にダブルブッキングするという異例の計らいまでおこなっている。それは、ジミの類まれな新しい素材のストックをアレンジする際の安定した手段を確保するためだった。

そのリージェント録音から現存する2曲のデモのうち、ジミのユニークなハイブリッド曲“Stone Free”は、1966年12月のデビューシングルだった同曲と“Up From The Skies”のアップテンポな演奏を組み合わせたものだ。

『Axis: Bold As Love』は、1967年12月にイギリスとヨーロッパでリリースされ、絶賛と商業的成功を得た。『Are You Experienced?』が8月下旬にリリースされたばかりだったアメリカでは、1968年1月にリプリーズからリリースされ、同じくベストセラーとなった。“Little Wing”“Spanish Castle Magic”“Castles Made Of Sand”といったいつまでも新鮮な人気曲は、世界中の数えきれないほどのアーティストたちによってカバーされてきている。また象徴的な“If 6 Was 9”は、映画「イージー★ライダー」のサウンドトラックの一部として使用され、ドラマティックな効果を発揮した。

本作では、『Are You Experienced?』の決定的な次作を作り上げたジミの努力の成果が網羅されている。リージェント・サウンドで作られたデモ音源に加えて、『Axis: Bold As Love』収録曲の未発表テイクをもとに、ジミのユニークでクリエイティブなレコーディングへのアプローチを紹介。これらの音源には、オリンピックでレコーディングされた未発表オルタネイトテイク(“Spanish Castle Magic”“You Got Me Floatin’”“One Rainy Wish”“Up From The Skies”“Wait Until Tomorrow”など)や、曲の別バージョンが収録されており、逆回転のギタートラックを用いたもっとも特筆すべき“Castles Made Of Sand”も登場する。

さらにイギリスのテレビ番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」や「ディー・タイム」、オランダのテレビ番組「ホエプラ」、1967年9月のスウェーデン・ストックホルム公演からの8曲がボーナストラック群を締めくくる。

また音楽ジャーナリストのデヴィッド・フリックとエクスペリエンス・ヘンドリックスL.L.C.のジョン・マクダーモットが総括的なライナーノーツを提供し、バンドにとってエキサイティングだったこの時期の歴史を完全な形で語っている。

エクスペリエンス・ヘンドリックスL.L.C.の社長兼CEOジェイニー・ヘンドリックスは次のコメントを寄せている。

「ジミのアーティスティックな表現は恐れ知らずでした。ひとつひとつの歌、ひとつひとつの作詞・作曲は、聴き手が自由にものを感じることへのいざないであり続けています。彼の音楽は、彼の世の中に対する理解や、それが喚起したあらゆる感情を堂々と表明していました。『Bold As Love』はそれらの感情をクリエイティブな形で体現しています。『Bold As Love』のボックスセットはジミの音楽的な深みを改めて巧みに紹介し、彼のキャリアのみならず人生においても重要な時期に光を当てているのです」。

ジャケットのアートワークはジミが5歳の頃に描いた絵であり、妹のジェイニーが自ら選んだもの。それを父親が取っておいたということが、さらに特別な意味を加える。「このプロジェクトにぴったりだと思いました。カラフルな竜は、虹の各色がくれる力という、“Bold As Love”の曲の内容そのものを表現しています。曲のメッセージをこれ以上にいい形で反映しているものがあるとは思えません」。

 


RELEASE INFORMATION

THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE 『Bold As Love (Deluxe)』 Legacy/ソニー(2025)

■完全生産限定盤
リリース日:2025年11月7日(金)世界同時発売
品番:SICP 6616~20
価格:11,000円(税込)
・4 CD+Blu-ray Audio
・英文ライナーノーツ対訳付
・全105曲収録

TRACKLIST
CD 1<リマスター・ステレオ・ミックス>
1. 放送局EXP
2. 空より高く
3. スパニッシュ・キャッスル・マジック
4. 明日まで待って
5. エイント・ノー・テリング
6. リトル・ウィング
7. もしも もしも
8. フローティング
9. 砂のお城
10. シーズ・ソー・ファイン
11. 雨を望めば
12. 可愛い恋人
13. ボールド・アズ・ラヴ

CD 2<リマスター・モノラル・ミックス>
1. 放送局EXP
2. 空より高く
3. スパニッシュ・キャッスル・マジック
4. 明日まで待って
5. エイント・ノー・テリング
6. リトル・ウィング
7. もしも もしも
8. フローティング
9. 砂のお城
10. シーズ・ソー・ファイン
11. 雨を望めば
12. 可愛い恋人
13. ボールド・アズ・ラヴ

CD 3
1. ミスター・バッド・ラック(テイク6)
2. シーズ・ソー・ファイン(テイク4)
3. 真夜中のランプ(テイク30)
4. スターズ・ザット・プレイ・ウィズ・ラフィング・サムズ・ダイス(パラマウント・スタジオ)
5. 真夜中のランプ(ノー・ヴォーカル)
6. スターズ・ザット・プレイ・ウィズ・ラフィング・サムズ・ダイス(ノー・ヴォーカル)
7. ストーン・フリー/空より高く(デモ)
8. 空より高く(テイク2)
9. エイント・ノー・テリング(デモ)
10. エイント・ノー・テリング(テイク12)
11. 可愛い恋人(デモ)
12. 雨を望めば(テイク1)
13. フローティング(テイク1)
14. 無題ギター・エクスペリエンス
15. ボールド・アズ・ラヴ(テイク19)
16. 砂のお城(テイク16)
17. 明日まで待って(テイク2)
18. スパニッシュ・キャッスル・マジック(テイク2)
19. リトル・ウィング(テイク2)
20. 無題インストゥルメンタル #1(テイク3)
21. 真夜中のランプ(オリジナル・モノ・ミックス)
22. スターズ・ザット・プレイ・ウィズ・ラフィング・サムズ・ダイス(オリジナル・モノ・ミックス)

CD 4
1. 可愛い恋人(オルタネイト・ヴァージョン)
2. スパニッシュ・キャッスル・マジック(テイク4)
3. 明日まで待って(テイク14)
4. 砂のお城(バックワーズ・ギター)
5. 雨を望めば(オルタネイト・ヴァージョン)
6. 無題インストゥルメンタル #2(テイク1)
7. 真夜中のランプ(ディー・タイム 8/22/67)
8. サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スウェーデン 9/5/67)
9. ファイア(スウェーデン 9/5/67)
10. 風の中のマリー(スウェーデン 9/5/67)
11. フォクシー・レディ(スウェーデン 9/5/67)
12. ヘイ・ジョー(スウェーデン 9/5/67)
13. 今日を生きられない(スウェーデン 9/5/67)
14. 真夜中のランプ(スウェーデン 9/5/67)
15. 紫のけむり(スウェーデン 9/5/67)
16. 真夜中のランプ(BBCセッションズ)
17. 紫のけむり(ホエプラ)
18. フォクシー・レディ(ホエプラ)