クリアなサステイン・ギターがどこまでも伸びる。パーカッションが激しく躍動する。その瞬間、私たちに恍惚と陶酔と興奮の時間が訪れる──本能の赴くままスピリチュアリティーとセクシャリティーを追求し、旺盛な好奇心でもって時代ごとに音楽スタイルを変えながら、キャリアを築いてきたカルロス・サンタナ。彼のもとにクラシック・メンバーがふたたび顔を揃えた。そして、45年ぶりにあの日の夢が動き出し……

★Pt.1 コラム〈新作『Santana IV』を機に振り返る足跡〉はこちら

 


DISCOGRAPHIC SANTANA
サンタナを知るための14枚

SANTANA Santana Columbia(1969)

60年代末期の混沌とした時代に、〈ラテン・ロック〉なるまったくの未知&鮮烈な音楽の誕生を高らかに告げたデビュー作。若きカルロスの血気盛んなギターもさることながら、暴力的なまでのパーカッション・アンサンブルには何度聴いてもブッ飛ばされる。ジャム・セッションを中心とした作りが最高に熱く、最高にエグイ。 *北爪

 

SANTANA Abraxas Columbia(1970)

6週連続で全米チャートの首位を独走した怪物盤だ。初期衝動でゴリ押しした前作の勢いを引き継ぎつつ、より前面に躍り出たギターとグルーヴィーなオルガン、リズム隊の絶妙な均衡によって音の構成力が増している。彼らの代名詞的な一曲となった“Black Magic Woman”ほか、ライヴの定番を多数収録。 *北爪

 

SANTANA Santana III Columbia(1971)

ニール・ショーンが加入してツイン・ギター体制となった本作では、キャリア屈指の強烈極まりないロック的ダイナミズムが炸裂。また、タワー・オブ・パワーのホーン隊が助力しているだけあってファンク味も濃厚で、フリー・ソウル的な視点からも楽しめそうだ。珍しくカルロスのヴォーカル曲もあり。 *北爪

 

SANTANA Caravanserai Columbia(1972)

電化の道を選んだマイルス・デイヴィスの実験性とジョン・コルトレーンの精神性に共鳴し、急激にジャズ色を強めて次のフェイズへ踏み込んだ意欲作。それまでにないアブストラクトなサウンドは美しく、幻想的で、崇高な雰囲気さえ湛えている。新旧メンバーが入り乱れての緻密かつ壮大な演奏も聴きどころ。 *北爪

 

SANTANA Welcome Columbia(1973)

大幅なメンバー交代と、ジョン・マクラフリンフローラ・プリムら客演陣をジャズ畑のアーティストで固めたことにより、いよいよフュージョンへの傾倒が顕著になってきた。ブラジリアン風味が洒落ていて、(東洋思想を反映させた歌詞はさておき)音だけで判断するぶんにはイイ意味で軽薄&フロアライク。 *北爪

 

SANTANA Lotus Columbia(1974)

73年の初来日公演の模様を収めた約2時間の超大作。1分間の瞑想タイム後に始まる尋常ならざるテンションの演奏に襟首を掴まれたと思ったら、あとはもう激スピリチュアルでグルーヴィーな怒涛のサンタナ宇宙に引きずり込まれ、最後まで一気聴きするのみ。横尾忠則による22面体のLPジャケも伝説だ。 *北爪

※試聴はこちら

 

SANTANA Moonflower Columbia(1977)

意表を突いたゾンビーズのカヴァーを筆頭に、AOR的とさえ言えるスタイリッシュなスタジオ録音曲も良いが、初期のナンバーを中心としたライヴ音源の昂揚感がとんでもない。フュージョン時代を脱して、ラテン・ロック特有の熱を取り戻したサンタナの真骨頂! 70年代半ば以降の作品中でも屈指の名盤だ。 *北爪

 

SANTANA Shango Columbia(1982)

79年作『Marathon』より推進してきたMOR化の発展型がここに。レゲエのビートを刻んだパワー・バラードなど、ヴァン・ヘイレンの匂いもするアメリカン・ハードな音と南国情緒を組み合わせ、危険なリゾートの夜を演出しています。最大の功労者は、10年ぶりに復帰し、野性的な歌声を披露したグレッグ・ローリー! *山西

 

SANTANA Spirits Dancing In The Flesh Columbia(1990)

ウェイン・ショーターボビー・ウォマックらがゲスト参加し、アイズリー・ブラザーズカーティス・メイフィールドのカヴァーに、初期の名曲“Jingo”のセルフ・リメイクまでを披露した賑やかな作品。ハード・ロック、ファンク、ジャズと曲調は多彩だが、バンドとしての一体感があり、散漫さは微塵も感じられない。 *北爪

 

SANTANA Milagro Polydor(1992)

前年に他界したマイルス・デイヴィスとビル・グレアムへの追悼盤。マーヴィン・ゲイのカヴァー(キング牧師の演説も挿入)やボブ・マーリーのオマージュ、ジョン・コルトレーンのフレーズを拝借した最終曲など、2人の死をきっかけに自身のサウンドを形作ってきたものを見つめ直した、いわば成分表みたいな内容です。 *山西

 

SANTANA Supernatural Arista(1999)

エリック・クラプトンデイヴ・マシューズとの灼熱ギター・バトル、ロブ・トーマスイーグル・アイ・チェリーを迎えたコンテンポラリーなラテン歌謡などなど、多彩なコラボレーターを迎えて超ポップに振り切れ、来るべき21世紀への活路を見い出した……どころの話じゃ済まされないモンスター・ヒット作! *山西

 

SANTANA All That I Am Arista(2005)

スティーヴン・タイラー客演のモロにエアロスミスな曲やウィル・アイ・アム製の電気ソカ、2作連続の参加となるミシェル・ブランチとのカントリー・ポップほか、このコラボ企画第3弾ではゲストに合わせて七変化。ただし、泣きのギターはどう聴いてもカルロス節で、誰を相手取ろうと決して埋もれないクセの強さに感服。 *山西

 

SANTANA Guitar Heaven Columbia(2010)

『Supernatural』以降に貼り付いた〈コラボの人〉というレッテルと、ギター・ヒーローとしての往年のイメージの溝を埋めるべく、ロック名曲をクリス・コーネルナズドートリーらとカヴァー。お馴染みのフレーズを完コピしたうえで、淫靡なサステインを滑り込ませる技は、カルロスにしか出せない! ライヴ盤化も熱望! *山西

 

SANTANA Corazon RCA/ソニー(2014)

初のスペイン語盤はコラボ企画の中南米(+カリブ)編といった趣で、W杯の公式曲にも選ばれたピットブルとのラテン・アーバン、フアネスの歌うセルタネージョほか、サルサボサノヴァなど音もそっち系です。指揮官はシャキーラエンリケ仕事で当てたレスター・メンデスボブ・マーリー曲(歌うはジギー)での直球さが清々しい! *山西


OTHERDISCOGRAPHIC

Borboletta(1974)
Amigos(1976)
Festival(1977)
Inner Secrets(1978)
Marathon(1979)
Zebop!(1981)
Beyond Appearances(1985)
Freedom(1987)
Sacred Fire: Live In South America(1993)
Shaman(2002)
Shape Shifter(2012)
Corazon: Live From Mexico(2014)
Santana IV(2016)
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