クリアなサステイン・ギターがどこまでも伸びる。パーカッションが激しく躍動する。その瞬間、私たちに恍惚と陶酔と興奮の時間が訪れる──本能の赴くままスピリチュアリティーとセクシャリティーを追求し、旺盛な好奇心でもって時代ごとに音楽スタイルを変えながら、キャリアを築いてきたカルロス・サンタナ。彼のもとにクラシック・メンバーがふたたび顔を揃えた。そして、45年ぶりにあの日の夢が動き出し……
★Pt.1 コラム〈新作『Santana IV』を機に振り返る足跡〉はこちら
DISCOGRAPHIC SANTANA
サンタナを知るための14枚

60年代末期の混沌とした時代に、〈ラテン・ロック〉なるまったくの未知&鮮烈な音楽の誕生を高らかに告げたデビュー作。若きカルロスの血気盛んなギターもさることながら、暴力的なまでのパーカッション・アンサンブルには何度聴いてもブッ飛ばされる。ジャム・セッションを中心とした作りが最高に熱く、最高にエグイ。 *北爪

6週連続で全米チャートの首位を独走した怪物盤だ。初期衝動でゴリ押しした前作の勢いを引き継ぎつつ、より前面に躍り出たギターとグルーヴィーなオルガン、リズム隊の絶妙な均衡によって音の構成力が増している。彼らの代名詞的な一曲となった“Black Magic Woman”ほか、ライヴの定番を多数収録。 *北爪

ニール・ショーンが加入してツイン・ギター体制となった本作では、キャリア屈指の強烈極まりないロック的ダイナミズムが炸裂。また、タワー・オブ・パワーのホーン隊が助力しているだけあってファンク味も濃厚で、フリー・ソウル的な視点からも楽しめそうだ。珍しくカルロスのヴォーカル曲もあり。 *北爪

電化の道を選んだマイルス・デイヴィスの実験性とジョン・コルトレーンの精神性に共鳴し、急激にジャズ色を強めて次のフェイズへ踏み込んだ意欲作。それまでにないアブストラクトなサウンドは美しく、幻想的で、崇高な雰囲気さえ湛えている。新旧メンバーが入り乱れての緻密かつ壮大な演奏も聴きどころ。 *北爪

大幅なメンバー交代と、ジョン・マクラフリンやフローラ・プリムら客演陣をジャズ畑のアーティストで固めたことにより、いよいよフュージョンへの傾倒が顕著になってきた。ブラジリアン風味が洒落ていて、(東洋思想を反映させた歌詞はさておき)音だけで判断するぶんにはイイ意味で軽薄&フロアライク。 *北爪

73年の初来日公演の模様を収めた約2時間の超大作。1分間の瞑想タイム後に始まる尋常ならざるテンションの演奏に襟首を掴まれたと思ったら、あとはもう激スピリチュアルでグルーヴィーな怒涛のサンタナ宇宙に引きずり込まれ、最後まで一気聴きするのみ。横尾忠則による22面体のLPジャケも伝説だ。 *北爪

意表を突いたゾンビーズのカヴァーを筆頭に、AOR的とさえ言えるスタイリッシュなスタジオ録音曲も良いが、初期のナンバーを中心としたライヴ音源の昂揚感がとんでもない。フュージョン時代を脱して、ラテン・ロック特有の熱を取り戻したサンタナの真骨頂! 70年代半ば以降の作品中でも屈指の名盤だ。 *北爪

79年作『Marathon』より推進してきたMOR化の発展型がここに。レゲエのビートを刻んだパワー・バラードなど、ヴァン・ヘイレンの匂いもするアメリカン・ハードな音と南国情緒を組み合わせ、危険なリゾートの夜を演出しています。最大の功労者は、10年ぶりに復帰し、野性的な歌声を披露したグレッグ・ローリー! *山西

ウェイン・ショーター、ボビー・ウォマックらがゲスト参加し、アイズリー・ブラザーズやカーティス・メイフィールドのカヴァーに、初期の名曲“Jingo”のセルフ・リメイクまでを披露した賑やかな作品。ハード・ロック、ファンク、ジャズと曲調は多彩だが、バンドとしての一体感があり、散漫さは微塵も感じられない。 *北爪

前年に他界したマイルス・デイヴィスとビル・グレアムへの追悼盤。マーヴィン・ゲイのカヴァー(キング牧師の演説も挿入)やボブ・マーリーのオマージュ、ジョン・コルトレーンのフレーズを拝借した最終曲など、2人の死をきっかけに自身のサウンドを形作ってきたものを見つめ直した、いわば成分表みたいな内容です。 *山西

エリック・クラプトンやデイヴ・マシューズとの灼熱ギター・バトル、ロブ・トーマスやイーグル・アイ・チェリーを迎えたコンテンポラリーなラテン歌謡などなど、多彩なコラボレーターを迎えて超ポップに振り切れ、来るべき21世紀への活路を見い出した……どころの話じゃ済まされないモンスター・ヒット作! *山西

スティーヴン・タイラー客演のモロにエアロスミスな曲やウィル・アイ・アム製の電気ソカ、2作連続の参加となるミシェル・ブランチとのカントリー・ポップほか、このコラボ企画第3弾ではゲストに合わせて七変化。ただし、泣きのギターはどう聴いてもカルロス節で、誰を相手取ろうと決して埋もれないクセの強さに感服。 *山西

『Supernatural』以降に貼り付いた〈コラボの人〉というレッテルと、ギター・ヒーローとしての往年のイメージの溝を埋めるべく、ロック名曲をクリス・コーネルやナズ、ドートリーらとカヴァー。お馴染みのフレーズを完コピしたうえで、淫靡なサステインを滑り込ませる技は、カルロスにしか出せない! ライヴ盤化も熱望! *山西

初のスペイン語盤はコラボ企画の中南米(+カリブ)編といった趣で、W杯の公式曲にも選ばれたピットブルとのラテン・アーバン、フアネスの歌うセルタネージョほか、サルサやボサノヴァなど音もそっち系です。指揮官はシャキーラやエンリケ仕事で当てたレスター・メンデス。ボブ・マーリー曲(歌うはジギー)での直球さが清々しい! *山西
OTHERDISCOGRAPHIC
Borboletta(1974)
Amigos(1976)
Festival(1977)
Inner Secrets(1978)
Marathon(1979)
Zebop!(1981)
Beyond Appearances(1985)
Freedom(1987)
Sacred Fire: Live In South America(1993)
Shaman(2002)
Shape Shifter(2012)
Corazon: Live From Mexico(2014)
Santana IV(2016)
...and more

FEELS LIKE FIRE!!
耳で聴いたピープル・トゥリー
サンタナをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ

カルロスの実弟、ホルヘが率いるこのラテン・ロック・バンドは、サンタナよりも軽やかでソウル色濃厚。特にコーク・エスコヴェードの助力も光る本作は、極上のチカーノ・メロウ“Suavecito”ほか、DJ諸氏から大人気だ。なお、ホルヘが78年に発表したソロ作もライト&メロウなAORテイストの名品につき、併せてぜひ。 *北爪

本作収録の“Whatever Happens”で主役の物憂げな色気を、ラテンの哀愁で引き立てたカルロス。2003年にはMJ主導のチャリティー曲にも招かれ、「次は俺の作品でプリンスとMJを共演させるぞ!」と宣言。同年にカルロスはオリアンティと会い、彼女は数年後……と接点も多かっただけに、みんなの長年の夢を叶えてほしかったな。 *山西
ベイエリアの不良たちによる雑食バンドという共通項もあるが、実際に本作で聴ける“フジヤマ・キャラバン”はモロに“Black Magic Woman”調。また、過去には“Corazon Espinado”をネタ使いしたり、名曲“秋になっちゃった”でサンタナ・マナーを踏襲したり。小野瀬の官能的なギターもカルロスを思わせる。 *北爪

かつてジミヘン“Spanish Castle Magic”をカヴァーし……などと直接的な例を挙げずとも、カルロスがこの人から影響を受けているのは明白。人の声帯を模写したような奏法なんてどうだ。それにしても、ジャズやブルースをはじめ、幾多のジャンルを跨ぐことが〈ウッドストック〉世代にとってはあたりまえだったみたいで。 *北爪
メキシコはグアダラハラ出身のロック・バンド、マナを知ったきっかけは『Supernatural』だという方が圧倒的に多いのでは? かつて師匠も絡んだシャキーラを招いての牧歌的なバラードなど、この最新作でも伝統とモダンが絶妙に調和した味わい深いポップ・ナンバーを聴かせてくれる。サンタナの正しき後継者たち。 *桑原
カルロスによる“A Love Supreme”のカヴァーは、〈あなたにもっと近付きたい〉という切なる思いが滲みまくりで胸が熱くなる。アリス・コルトレーンとカルロスの共演作『Illuminations』にもそんな至上の尊敬の念が浮かんでいたっけ。そうそう、ご夫婦の三男坊=オランは90年代にサンタナ入りしていたことも。 *桑原

ピート・エスコヴェードの愛娘で、幼い頃から父や叔父の舞台に立ってきたシーラ。カルロスからの信頼も厚く、サンタナがケネディ・センター名誉賞を受賞した際の祝賀公演ではオリアンティとオープニングを任されたり。この最新作で聴ける泣き濡れラテン歌謡は、アステカというよりサンタナっぽいです。 *山西

VARIOUS ARTISTS Re-Machined: A Tribute To Deep Purple's Machine Head Eagle Vision(2012)
サンダースとBBの両キングに憧れてブルースを演奏していたカルロス少年が、デカイ音でアグレッシヴにロック化していく途中、ハード・ロックへ接近したのは自然な流れ。本作では“Smoke On The Water”を披露し、ギター初心者の練習用として親しまれてきたあのリフにド級のアドリブを加え、弾きまくり泣きまくり。 *山西
プリンスのツアーに同行し、2010年作『El Existential』でグラミーも獲っているオースティンのラテン・ファンク楽団。本作では、カルロスの手引きでブレイクへの糸口を掴んだロス・ロボスのメンバーに指揮を委ね、ロック度がグンと上昇。サンタナの初作を愛する人なら、ジャム・バンド風情の“Solo Un Sueno”で踊るしかない! *山西

本作からシングル・カットされたカルロス客演曲“To Zion”が、『Supernatural』での大復活の布石に。母になった喜びを力いっぱい歌に込めるローリン、そんな彼女をいつになく控えめ&優しいギターが祝福しているかのよう。ボブ・マーリーを介して結ばれたこの縁がワイクリフへと続き、99年以降、両者は幾度となく共演を重ねていきます。 *山西

野口五郎 45th Anniversary & The 60th birthday Goro Noguchi Concert 渋谷105 avex trax(2015)
ひろみや秀樹によるラテン・ポップのカヴァーに対抗すべく、五郎が選んだのはサンタナ“Smooth”。これがネタ的な感じに終止しなかったのは、本家への愛でメラメラ燃えていたから。歌よりもギター・ソロに力を注ぐ姿は本DVDでも確認可能です。ちなみに、2014年にインストで披露した久保田早紀“異邦人”もサンタナ度バリ高。 *山西
カルロスはこのハンガリー生まれのジャズ・ギタリストから、ギター表現の可能性について学んだことを公言。サンタナもカヴァーした恩師の代表曲“Gypsy Queen”ほか、本作にはラテンやインドのスパイスを効かせた無国籍感満点のナンバーが多く並んでいる。どうにもカテゴライズし難い、不思議な顔をした一枚だ。 *桑原

チカーノとアフリカン・アメリカンの対立が西海岸で激化している状況を、2006年の“Vato”にて嘆いていたスヌープ。殺人容疑とかギャングがどうとか物騒な話題の多い本作でも、サンタナ“Fried Neckbones”をネタ使いして隣人に敬意を表明(!?)。余談ですが、MCレンも“Bangin' In L.A.”で同曲をサンプリングしています。 *山西
NY生まれのマンボ・キング。〈僕のリズムを聞いとくれ〉との邦題でも知られる本作収録の“Oye Como Va”は、サンタナがカヴァーして世界中に広まった一曲だ。ティトはそのことをずっと感謝し続け、ライヴで演るたびにサンタナの名を出していたそう。なお、『Santana III』の最終曲も御大の書いたもの。 *桑原





