『結晶』という名のニュー・アルバムを完成させたスクービーのメンバーが、各々の〈いま〉をクリスタライズさせている作品を紹介!
コヤマシュウ(ヴォーカル)
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モノラル盤のレコード(あるいはCD)のなかにはオーティス・レディングが住んでいて、いつでもスタンバイ中。あとはでっかい音で再生するだけだ。今日も歌ってる。生きてる。
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WIPERS 『Is This Real?』 Park Avenue(1980)
焦っている。いらだっている。悔しがっている。怒っている。怒ってんのに、スゲェ怒ってんのに、メロウが煌めく。煌めいている。誰かをぶん殴る代わりに、俺はワイパーズを聴く。
※単体CDは現在廃盤。『Wipers Box Set』(Zeno)にて入手可
マツキタイジロウ(ギター)
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レコーディング・スタジオへの行き帰りの車のなかでずっと聴いていた一枚。ローファイでガレージっぽいグループというイメージを抱いていましたが、ギター・サウンドをシンフォニックに重ねることでザックリとした楽曲をドラマティックに聴かせているところには影響を受けました。
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そのブラック・キーズのギタリスト、ダン・オーバックのプロデュースによるアルバム。ブルースに根差したファンキーなビートと生楽器の響きを重視したようなヴィンテージ感溢れるサウンドが重過ぎず軽過ぎず、実にいまの気分にぴったりで心地良い。並べて聴いて違和感がないようなアルバム作りをめざしました。
ナガイケジョー(ベース)
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過去の名盤を聴き込むこととはひと味もふた味も違う、届けられた最新の音を聴くことの感動。そして、ピクシーズはこちらの想像をいとも簡単に飛び越えてしまった。そんなの当たり前だぜ、坊や――ブラック・フランシスからそう諭されているかのような大名盤。やっぱロックンロールはいまが最高!
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ギターがギャンギャン鳴って、ドラムがバカスカやかましくて、その間をノラリクラリ動き回るベース・ライン。巡り巡って帰ってきました。オイラやっぱりこれが好き。どう考えたってかっこいい。歌、ギター、ベース&ドラムスで作り上げられた最強にして美しすぎる結晶。
オカモト“MOBY”タクヤ(ドラムス)
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シュガー・ベイブに憧れた当時の学生たちが、卒業記念に録音して200枚だけプレスした〈思い出〉アルバム。時代の先を行き過ぎてたのか、30年以上を経てCD化。やれることは何でも詰め込んでしまえ!――という潔い向こう見ずな音たちの〈結晶〉は、今回のレコーディングに向けてのボクの指針となりました。
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今回のレコーディングに際し、ボクは希代の名セッション・ドラマー、ハル・ブレインが参加している楽曲を聴きまくりました。そのなかでも特にオススメが、ソウルのパイオニア、サム・クックの“Another Saturday Night”。〈歌う〉ドラミングの極致といっても過言ではありません。サム・クックの入門編としても最適なベスト盤です。