プログレ・メタルの覇者から、泣く子も黙らす最強ラインナップでのライヴ作品が到着! 来たる来日公演に先駆け、超絶技巧とハイテク演出が導くレガシーを体感せよ!!!!!
創設メンバーであるマイク・ポートノイ(ドラムス)が2023年に電撃復帰し、今年2月にはクラシック・ラインナップとして16年ぶりの新作『Parasomnia』を発表したドリーム・シアター。2026年2月に来日公演も控えている彼らが、ポートノイの復帰後初となる3枚組のライヴ盤『Quarantième: Live À Paris』をリリースする。なお、初回限定盤は映像を収めたBlu-ray 2枚も同梱した超豪華仕様だ。

メンバーそれぞれが卓越した演奏技術を持つライヴ・バンドとしても知られ、プログレ・メタルの枠に収まらない人気を博すドリーム・シアターは、その圧倒的なステージをこれまで数多くの作品に記録してきた。この最新作は、昨秋から開催されているバンド結成40周年ツアーより、2024年11月23日に開催されたフランス・パリでのソールド・アウト公演の模様を収めたもので、ヘヴィーな楽曲からバラードまで、キャリアも音楽性も俯瞰したセットリストは、そのままベスト・アルバムと呼んでも差し支えないほどの充実度を誇っている。
代表作『Images And Words』(92年)に収録された“Metropolis Pt. 1”でスタートし、同曲の続編である99年作『Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory』から“Overture 1928”“Strange Déjà Vu”へと続く第一幕は、冒頭からまさに圧巻の一言。前任ドラマーであるマイク・マンジーニの精緻なプレイも見事だったが、ポートノイの豪快なドラミングと〈魅せる〉パフォーマンスはやはり唯一無二と言うべき存在感だ。 “Panic Attack”(2005年作『Octavarium』収録)では真骨頂である変拍子を自在に操るパワフルな演奏を展開、ジョン・マイアングの強烈なベースラインも相まって緊迫感に溢れたサウンドを作り上げている。一方でマンジーニ在籍時に制作された2019年作『Distance Over Time』収録曲“Barstool Warrior”では原曲に寄り添ったプレイを見せていて、バンドの存続を支えた名手へのリスペクトも感じられるのが嬉しいポイントだ。
第二幕では歴代楽曲のフレーズをオーケストラ・アレンジした“Orchestral Overture”を経て、『Parasomnia』のリード・シングル“Night Terror”をプレイ。過去と現在を接続する構成が実に秀逸だ。ここでは代表曲の“Under A Glass Moon”(『Images And Words』収録)のみならず、本ツアーで2004年以来にセットリストへ組み込まれたインスト・ナンバーの“Stream Of Consciousness”(2003年作『Train Of Thought』収録)、同じく2006年以来となった約24分の超大作“Octavarium”(2005年作『Octavarium』収録)と、ファン垂涎の楽曲を立て続けに披露。超絶技巧によって壮大でドラマティックな情景を次々と描き出すパフォーマンスは、まさにバンドの神髄と呼べるものだろう。
そしてアンコールに演奏された珠玉のバラード“The Spirit Carries On”(『Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory』収録)では、ジェイムズ・ラブリエの渾身のヴォーカルと、ジョン・ペトルーシの情感に満ちたギター・ソロが実に感動的。会場が一体となっての大合唱を生み出した“Pull Me Under”(『Images And Words』収録)まで、熱狂の一夜が余すところなく収められた。
ここまでは主に演奏にフォーカスしてきたが、彼らのライヴの魅力はヴィジュアル面にも詰まっている。変拍子と見事にシンクロした照明やレーザーはもちろん、スクリーンに映し出される映像、ジョーダン・ルーデスが演奏している鍵盤やシンセの波形がLEDモニターでリアルタイムに表示される演出なども、楽曲の世界観を増幅させ、ライヴ体験をより豊かで奥行きのあるものにしているのだ。
MCでラブリエはポートノイを〈ライヴを重ねるごとにその存在感を増していく、俺たちの兄弟のような存在〉と評していたが、本作はその言葉の通り、現ラインナップの良好な関係性と、ポジティヴな空気感が伝わってくるのも印象的。単なる楽曲の再現にとどまらず、5人が一体となって即興も交えながら演奏を楽しみ、観客とその喜びを分かち合っている祝祭的な雰囲気があり、往年のファンにとっても感慨深い仕上がりとなっている。旧友たちが一堂に会し、みずからのレガシーを再訪するこのツアーは、来たる日本公演でもきっと素晴らしいステージを見せてくれるはずだ。
『Quarantième: Live À Paris』で演奏されている楽曲を収録した作品を一部紹介。
左から、92年作『Images And Words』(ATCO)、99年作『Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory』、2003年作『Train Of Thought』(共にElektra)、2007年作『Systematic Chaos』(Roadrunner)、2019年作『Distance Over Time』、2025年作『Parasomnia』(共にInside Out)