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“革命道中”というタイトルはキャリアのフェーズを指す言葉

楽曲冒頭の〈唸るぜ〉という歌詞(「ダンダダン」に登場する台詞〈萎えるぜ〉のオマージュである)を、まさしく唸りを上げるかのごとく歌唱するアイナの声には、人の心を一瞬で掴む強さがある。そしてこの〈唸るぜ〉は、楽曲終盤で〈怖くたって唸るぜ〉と変化する。ここで初めて、強さの裏側にあるものが言語化される。それまで聴き手は、アイナの声から言葉にならない〈何か〉を感じ取っていた。そして〈怖くたって〉という言葉が現れた瞬間、その〈何か〉に名前がつく。傷、葛藤、恐怖、それでも前に踏み出す覚悟――楽曲の心理的ドラマが、このアウフタクトに集約されている。

1人では抱えきれないものも、隣に誰かがいれば向き合える。楽曲で歌われている内容は、「ダンダダン」の主人公2人の心情とも重なるし、スタッフやファンと共に歩んできたアイナ自身の姿とも重なって聴こえる。

彼女はインタビューで、ソロになってから〈自分にはヒット曲がない〉と気づき、〈売れるという目標を掲げてやらないと意味がない〉と覚悟を決めたことを語っている。メインストリームで闘うことへの葛藤を経て、代表曲を作ると決め、実際に作り上げた。“革命道中”というタイトルは、「ダンダダン」に寄り添うワードであると同時に、アイナ自身のキャリアのフェーズを指す言葉でもあるのだ。

アニメのファンはキャラクターの来歴を、アイナのファンは彼女自身の道のりを、同じ声に重ねて聴くことができる。もちろん自分自身の人生と重ねながら聴き、勇気をもらっている人も多いだろう。多展開型の構成、底の見えない転調、作品の世界観を体現した歌詞――“革命道中”の魅力を構成する要素は多く、その多層性がこの曲の射程を広げている。それらを一つの楽曲として成立させているのは、アイナ・ジ・エンドの存在に他ならない。

あらゆる感情を同時に響かせる声を持つシンガーが、〈稀代の歌い手〉的なポジションでの安住を望まず、自らメロディを紡ぎ、言葉を選び、〈ヒット曲を作る〉という覚悟を持って作品を世に送り出した。“革命道中”は、アイナ・ジ・エンドというアーティストの総体が生んだ勝利だ。

 


参考文献
<インタビュー>売れるという目標を掲げたほうが楽しい――アイナ・ジ・エンド「革命道中 - On The Way」国内外でロングヒット、メインストリームで闘う葛藤と覚悟 https://www.billboard-japan.com/special/detail/5025