INTERVIEW

BECCA STEVENS 『Perfect Animal』

ブルックリンに咲くマルチ・ジャンルの歌姫、日本初登場

Photo:Shervin Lainez

 

 名前を見てピンとこない人も、ホセ・ジェイムスエスペランサ・スポルディングらのアルバムで客演していた女性、と聞けば大きく頷く人も多いのではないだろうか。それがニューヨークはブルックリン在住の女性シンガー・ソングライター、ベッカ・スティーヴンス。ジャズ、アメリカーナフォーク英国トラッドなどの要素を自在に取り入れた作風と、豊かなヴォーカル力が高い評価を得ているが、それもそのはず、彼女はノース・キャロライナ州の音楽一家に生まれ、2歳の頃からファミリー・バンドの一員としてステージに立ってきたというからその“芸歴”は長い。

 「両親からの影響は今の自分に欠かすことができないものよ。さらに、家から近かった『ノースキャロライナ芸術学校』でクラシック・ギターを専攻し、真剣に芸術に取り組めたのも大きかった。体を痛めない演奏テクニックと滑らかな楽器の使い方を学べたの。今、私のアコースティック・ギター、ウクレレ、チャランゴに対するアプローチは、学生時代のクラシックのアプローチに影響を受けていると言えるわ」(ベッカ・スティーヴンス。以下全ての発言同じ)

BECCA STEVENS BAND Perfect Animal Becca Stevens/コアポート(2014)

 そして、その後ニューヨークにある音楽学校に進みジャズ・ヴォーカルや作曲を学んだ成果が生かされたのがファースト『Weightless』(2011年)だった。そして、そこでも発揮されていた様々なジャンルの音楽を同一目線で捉えていこうとする開かれた感覚が、さらに洒脱でウィット溢れる仕上がりへと昇華させたのがニュー・アルバム『パーフェクト・アニマル』だと言っていい。オルタナ・ロック畑のスコット・ソルターをプロデューサーに迎え、フランク・オーシャンスティーヴ・ウィンウッドのカヴァーも含む…というだけでも、彼女がいかにシームレスなところにいるかがわかるだろうし、親密な仲間ミュージシャンとともに演奏された曲自体実に優美かつ技巧的だが、一方で愛らしい“隙”もチラリと覗かせるくだけた人間味こそが魅力なのだということにも気づかされる。

 「今作のテーマは、成長と変化への強い願いと、それが到達できるかどうかの自分の可能性について。“完全な動物”なんてありえないわよね。完璧さを求める本能はあれど、同時にその完璧さに到達することは人間には到底不可能だもの。でも、そんな状況を理解しながら存在することの意味を考えてみたい。自分の人生の中で、またアーティスティックなプロセスの中で、このテーマは私の前に繰り返し現われているわ。だからタイトルを『パーフェクト・アニマル』にしたの。この作品の制作自体が、そのような自らの欲求と受け入れることのパーフェクトな例だったからなのよ」

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