
ウキウキモヤモヤな恋愛
──2曲目の“気になる週末”からしてまず。情熱的だけど内気な男子……男子の心情ですよね? それとポップなソウルアレンジとの違和感というか、こういうアレンジだからこそ言葉が際立ってくるというか。
「久しぶりにこういうライトソウルっていうか、ソウルっぽいものを作ってみたので、なんか恋愛の歌がいいなと思っていろいろ考えたんですけど、はじめはウキウキする恋愛の歌にしようと思って。でも、自分自身、そんなに恋愛でウキウキしないなと思って(笑)。
それで、いままであまりやったことないけど、作詞家の方に頼んでみようかなと思ってお声がけもしたんですが。今回はタイミングが合わず、じゃあ自分で書くかって」
──これは、高樹さんのリアルな部分だったりするんですか。学生時代とかの。
「リアルな部分が出てるのかわからないけど(笑)、ちょっとどうなってんのかなコレ、みたいな感じでモヤモヤしてる恋愛。ウキウキモヤモヤな感じですね」
──リアルだったかはさておき、高樹さんの学生時代だったらあり得そうって思われる情景ですね(笑)。
「まあ、楽しく書きました(笑)」
──高樹さんらしい曲だなと思って、よい曲がいっぱいある今回のアルバムのなかでも、個人的にはこの曲がいちばん好きだったりします。これは昔から知ってる堀込高樹だ!……みたいな。
「そうですね、結構得意なパターン。弦楽のアレンジは、冨田恵一さんにお願いしてて。それもあって初期キリンジみたいな感じのテイストもありますし、そういえば最近こういうのやってないな、みたいなところもあります」
日本のトイレは綺麗、だけどインフラはぐずぐず
──そんな“気になる週末”があって、V6に提供していた“素敵な夜”。またこうやってセルフカバーしたのはどういう流れで?
「“どうして髭を?”※っていう、LAGHEADSの曲に参加して、あれがとてもおもしろかったんです。で、あのテンポ感のものが欲しいな、ああいうファンキーな感じが……あっ、V6のあの曲、あれをああいう感じでやったらいいんじゃないかと思って。それで、レコーディングもLAGHEADSのメンバー、山本連くんと伊吹文裕くんと宮川純くんにお願いして」
──おもしろいと言えば、次の“flush! flush! flush!”。トイレのことを歌ってるので、ヴィム・ヴェンダースの映画「PERFECT DAYS」からインスパイアされた曲なのかなと。
「そういうわけじゃないんだけど(笑)。よく言われてるじゃないですか、日本のトイレはクールだって。それをモチーフにして作ろうと思って、側はすごく綺麗だけど、インフラはぐずぐずなんです、みたいなところを盛り込んで。
はじめは、日本のトイレはクールだっていうことだけで1曲作ろうと思ったんですけど、そんなに歌うことないなぁってなって(笑)。じゃあ、ちょっとインフラにも突っ込んでいこうと思って、こういう感じになりました」
──途中のジャズコーラス的なハーモニーが、トイレの水がサーッと流れるときみたいに、さわやかな印象を受けます(笑)。こういう、ちょっと遊んだような歌詞に、ジャズっぽいコーラスとか、澄んだ印象のアレンジをつけたりするあたり、KIRINJIのひとつの真骨頂ですよね。
「こういう曲って、どんな歌詞を乗せたらいいのかなって。なんかユーモラスなもの以外思い浮かばなくて。こういったファンキーでニューウェーブ的なサウンドの場合、みんな何を歌ってるのかなって」
──たしかに、ファンキーな音楽をやってる方たちって、ユーモラスな日本語の歌詞を乗せる方が多い気がします。
「そうなりますよね。でも、本場(海外)の人たちはどういうことを歌ってるんだろうね」
──もっとどうでもいいことを歌ってそうですけど。
「そんな気がしますよね」
──サウンドだけで変態性を出してるから、歌詞にメッセージを持たせる必要もないってことなのかも知れません。