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ギースからソンバーまで、ロックシーンを席巻したアルバム

小田「ロックについても話しておきましょう。去年、もっとも高く評価されたロックアルバムは間違いなくギース『Getting Killed』ですよね。正直、再生した瞬間に〈聴く作品を間違えたかな?〉と思ったぐらい前作からの振り幅がすさまじかったですね。彼らはニューヨーク出身だからか、これまでよくザ・ストロークスと並べて語られていたと思うんですけど、前作と今作の間にフロントマンのキャメロン・ウィンターのソロワークを挟んだことが功を奏したというか、実際発声や歌い回しはソロの延長線上にありますよね。

サウンドとしては大枠ではロックに分類されそうですが、カントリー、ジャズ、クラウトロックの要素も入ってて。それこそロザリア『LUX』のようにあえて分類させないようなサウンドデザインを採用しているあたり、まさに2025年を象徴する一枚だと思います。来日公演のチケットを取れなかったのが悔しい……」

GEESE 『Getting Killed』 PIAS(2025)

天野「ギースのアルバムは個人的にも年間ベストですね。ナイジェル・ゴッドリッチが制作しているライブ映像シリーズ〈From The Basement〉に出演したので、彼が長く携わっているレディオヘッドの進化の過程がギースに重なりました」

小田「ジャンル的にはハードコアですが、ターンスタイル『NEVER ENOUGH』も革新的な作品だったと思うんですよ。このアルバムでバンドは今年のグラミー賞の5部門にノミネートされていて、同じ年にロック、メタル、オルタナティブの各部門でノミネートを果たしたバンドってこれまでいなかったそうなんです。

パワーコードを多用したラウドなギターリフを聴くとハードコア味を強く感じますが、曲によってはニューウェーブやインディロック、エレクトロニカなんかもマッシュしてる。じゃあ統一感がないかと言われたら、コンセプト作として一枚を通して聴けるような設計になっている。ギースとはまた違う進化の仕方ですが、彼らにもロックの新たな可能性を感じています」

TURNSTILE 『NEVER ENOUGH』 Roadrunner(2025)

天野「ターンスタイルは初期の頃から好きなのですが、音楽的な進化がすさまじくて驚いています。〈FUJI ROCK FESTIVAL ’24〉や来日公演でのパフォーマンスで、日本での人気も高まってますよね」

小田「それと、ポップアクトではありますが、サマソニに出演したソンバーのデビューアルバム『I Barely Know Her』はインディロック調の作品で、ヒットシングル“back to friends”ともども話題になりました」

SOMBR 『I Barely Know Her』 Warner/ワーナー(2025)

天野「ええ。彼はハリー・スタイルズや、コーチェラでのパフォーマンスや新作『American Heart』でも注目されたベンソン・ブーンに並ぶ男性ソロアーティストになっていきそうですよね」