〈Midnight Jazz〉の参加アーティストが奏でる、刺激的な音の連なり
NHKの放送100年を記念して2025年に制作・放送されたSFドラマはyuma yamaguchiと坂東祐大が劇伴を担当。クラシックと電子音楽を融合させた“困惑”あたりは、yumaの作家性が色濃く出たものだろう。主題歌“記憶と引力”には君島大空がヴォーカリストで参加。
君島が編曲した“月なきみそらの道化師たち”には、彼の合奏形態に名を連ねるドラマーの石若駿、オーストラリア出身のベーシストであるマーティ・ホロベックが参加。このEPの“WEYK”などでも聴ける、ジャズ・ロック~プログレ的な演奏を堪能できる一曲だ。

〈Midnight Jazz〉で現代ジャズの横断性や先鋭性に興味を持った人は、首謀者の石若を筆頭にホロベックや馬場智章、若井優也らプレイヤーが連なる本バンドのセカンド・アルバムを聴くといいはず。緊迫感と自由さの狭間に醸されるエレガンスも両作の共通点だ。

“独りじゃない”をアレンジし、2分20秒ものソロを披露した馬場は、アニメ映画「BLUE GIANT」で主人公パートを演奏したことで注目を集めたサックス奏者。このメジャー初作はBIGYUKIを共同プロデュースに迎え、未来的なフォルムのジャズを提示している。

BIGYUKI編曲の“Melodies Of Life”に招かれたグレッチェン・パーラトは今世紀のNYジャズ・シーンを代表するヴォーカリスト。西アフリカはベニン出身のギタリスト、リオーネル・ルエケとコラボした本作は、平熱で軽妙なグルーヴが心地良い。
フルート奏者の片山士駿が手掛けたブライトフルな“あの丘を越えて”で、ホーリーな歌を響かせた自作自演家の初作。野田洋次郎が大半の楽曲に関わるなか、yumaは“蜘蛛の糸”をアレンジ。妖しくも艶やかなキャバレー・ジャズ調の旋律に惹き込まれる。
石若、君島など〈Midnight Jazz〉参加の音楽家たちと親交の深いシンガー・ソングライターは、編曲を担った若井優也によるピアノと彼女の歌のみで“ハンターチャンス”を構築。ポスト・クラシカル的な美しさは、生演奏と電子音で厳かな世界を描いた本EPと重なる。

ピアニストの若井はmimikoのスキャットが華麗に舞う“永遠の豊穣”もアレンジ。Answer to Rememberでも共に演奏する石若、ベーシストの楠井五月と組んだトリオ名義でのこの2作目は、スタンダードの“For Heaven's Sake”など緻密なプレイが光る。
マルチな俊才が昨年11月に発表し、賛辞を集めている初アルバム。〈Midnight Jazz〉で手掛けた“最後の闘い”と同様、ジャズやクラシックへの素養を落とし込んだレフトフィールドな電子音楽を組み上げている。ダンス・ミュージックとしてのフロア鳴りが抜群。 *田中亮太




