アフロフューチャリズムと潜在するディアスポラの美
潜在するディアスポラの美の結晶。英・ロンドン出身の〈UKジャズ界のキング〉ことジャズ・サックス/クラリネット奏者で、現行UKジャズの最高峰として最前線を更新し続ける存在:シャバカ・ハッチングスのソロ名義3作目。さらに、本作は自身で設立した〈Shabaka Records〉の初作となるエポックメイクな重要作。

アフロフューチャリズムを根幹に、ダンス志向/リズム重視のアプローチ:サンズ・オブ・ケメットやザ・コメット・イズ・カミング名義、自身のルーツへ直結したシャバカ&ジ・アンセスターズ、さらにはメルト・ユアセルフ・ダウンでのプロジェクトなど複数のマザーシップも同時に存在。
エチオピアの重鎮:ムラトゥ・アスタトケ、ジャズ界の重鎮:ファラオ・サンダースやアーチー・シェップ、才媛:エスペランサ・スポルディング、ヒップホップ界ではカルロス・ニーニョ、アンドレ・3000、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、アンビエント界ではフローティング・ポインツ、ララージなど世代も時代も超越した納得の共演や参加作歴が彼の存在を物語る。
新鋭勢や若手の教育にも熱心で、シャバカとの活動や共演後に名を馳せるミュージシャンも枚挙に遑がない。
ジャンルをシームレスに横断し、時代/世代を越え新旧多彩なアーティストと共演し様々なマザーシップでの活動も経て、ジャズの精神世界と潜在する美と響きを〈禅〉と変換できる尺八でのアプローチも彼のアザーサイドではなく1つの側面、輪郭の一部。
さて、本作『Of The Earth』は全編シャバカ自身が作曲・プロデュース・演奏・ミックスまでも手掛けたパーソナル作品であり解放されたパブリック作品。ポータブル機材で制作したビートやループを基盤に、倍音や合唱的なフルートの旋律が乱舞し、リズム・シークエンスとの対話は物語を描く。さらに、シャバカは本作でラップに挑戦。自身を探求し、作品毎に(多様性持つ)ジャズを用いた緻密でテクスチュラルなサウンドは弧を描く如く私達に新たな輪郭を形成していく。(自身或いは物理的)世界と有機的に繋がり、音楽家としての人間シャバカのまた新たな輪郭を明確に提示した傑作。ええやんええやん。