飛べない豚はただの豚だが、不器用な魂はそれでも灰の中から立ち上がった――激動の日々を乗り越えていく5人が再生と反撃を刻んだニュー・アルバム!
創設メンバーにしてプロデューサー/所属事務所の社長でもあるプー・ルイが脱退するという、予想外の出来事に見舞われた2025年のPIGGS。それでも続けることを選んだ5人は立ち止まりません。いままで関わってこなかったグループの運営面にもメンバー個々がタッチしながら、今年1月には新曲“ファイヤーダンス・サーガ”を配信。2月からは新体制で最初の全国ツアーとなる〈PIGGS 太陽を超えろ!SUPER NOVASH TOUR〉をスタートしています。そして、引き続きRyan.B(ブライアン新世界)のサウンド・プロデュースによって生まれたニュー・アルバム『ピグス・リベリオン』について、5人に話を訊きました。
一人じゃない
――現体制になって数か月が経って、6周年に向かうなかで新体制で初のアルバム『ピグス・リベリオン』が完成しました。既存曲の新録ヴァージョンと新曲で構成されていますが、まず新曲は、MVも公開されているリード曲“HALLO ALIEN”から強力な仕上がりですね。
KINCHAN「めっちゃカッコイイ曲です。アルバムの新曲はブライアンさんがいまのPIGGSに合うと思うものを選んでくださったんですけど、“HALLO ALIEN”は〈生まれつき星が違ってる〉ってサビで歌っていて、個性バラバラの5人がひとつのグループに集まったPIGGSの再出発に凄く合ってる曲です。歌い方もみんな強くてカッコイイので、聴きどころも多いなって。それと、SHELLさんとSUが作ってくれた振付けが凄く好きです。私が歌う落ちサビでみんなの手を引っ張り上げる振付けがあるんですけど、PIGGSが聴いてくれる人の手を引いて、引っ張っていける存在でありたいなと思いながらそこを踊ってます。〈生まれつき人は一人じゃない〉っていう歌詞にもリンクしていて、聴いた人がそういう気持ちになってくれたらいいなって」
SU-RING「“HALLO ALIEN”で私がいちばん好きな部分は、最後に〈一人じゃない〉って何度も繰り返すところです。同じ世界で生きていても、どこか疎外感みたいなものを感じて馴染めないなかで、最後はそれも全部ひっくるめて受け入れて、みんなに〈私たちもそうかもしれないけど、うちら一人じゃないじゃん〉みたいなことを伝えてるのが凄く好きです。そこは振付けでも5人で肩を組んで歌うんですけど、自分も人生の中で一人じゃない場所に出会えて、みんなと歌えてるのが凄く嬉しいし、ライヴでは目の前にいるぶーちゃんズ(PIGGSファンの総称)に熱く伝えようと思って歌っています」
――一方で“蒸発都市バブルシティ”は80年代テイストというか、ブライアンさんらしいニューウェイヴ調のポップな曲ですね。
BAN-BAN「聴けば聴くほど好きになっていく曲で、聴いてると〈バブルシティ〉の世界にどんどん行っちゃうのが凄いところです。泡って儚いものでもあるし、可愛くて楽しいものでもあるし、だからこそ過去や未来ではなく、〈いま、私たちがライヴでこの曲をやってる瞬間〉が他の曲とは違う輝き方をするんじゃないかと思っています。やっぱりPIGGSは聴く人の人生や心に届けたい曲が多いからこそ、そのなかで〈この瞬間だけはマジで何もかも忘れて泡々になっちゃおう!〉みたいなこの曲が凄く輝きそうだなって思ってます」
SU「振付けは私が考えてるんですけど、聴いてるうちにだんだんワクワクしてくるというか、聴かないとソワソワしはじめる中毒性みたいなものを感じたので、自分が聴いてて感じるワクワク感を振付けからもみんなに感じてもらえたらいいなって意識しながら、いま振付けを作っているところです」
――続く“FANCY 2 FANCY”もポップでダンサブルな曲調ですね。
BIBI「いつも曲をいただいたら歌詞を見て〈どういう意味なんだろう〉とか考えるんですけど、“FANCY 2 FANCY”は意味とかを考える前に〈めっちゃ楽しい!〉って感じました。めっちゃリズムがあって、楽しく踊れる曲っていう印象で、タイトルも〈FANCY〉だし、いまみんなでこの曲で弾けたらめっちゃ楽しいだろうなって感じた曲です。私は〈いま神様止めて〉っていう歌い出しを担当してるんですけど、前の“されど、夜は明ける”でも〈神様、世界を止めてくれ〉の歌詞を歌ってるんです。同じ人間が歌ってるけど意味合いも違うし、気持ちの込め方も違うので、もうちょっと前向きな、大人っぽい感じで歌えたらいいなって思うし、PIGGSも体制が変わって、自分もいままでなかった歌割を貰ったりしたこともあって、そういうのを経た成長みたいなものも見せたいなって。で、振付けはSHELLさんにちょうど振入れしてもらったところで、めちゃくちゃ超カッコ良くて超楽しい振付けになっています。最初にSHELLさんが踊ってるのを見て〈やばい、カッコイイ! めっちゃ楽しそう! やりたい!〉みたいに思ったんですけど、自分がやったらまだ必死な感じになっちゃうので、お客さんが観ても一緒に楽しいって思ってもらえるように、振付けも歌詞と同じように自分の中に落とし込んで、ちゃんと盛り上げ要員として成り立つところに到達したいです」
――盛り上げ要員(笑)。振付けはどういうテーマですか。
SHELLME「聴いた時に、〈もうこれは絶対に振付けやりた~い〉って思って。で、すぐに出来たんですよ。頭の中で〈ここはこう〉〈あれはこう〉みたいな組み立てのイメージができて、それでホントすぐ出来ました。歌詞に〈The final party Last party〉ってあって、私は〈ポンコツパリピ担当〉なんですけど、〈私のfinal partyってどんな感じだろう〉みたいな感じで思って付けた振付けって感じ。だから、いろんなパーティーを経てきた私だからこそわかるワビサビというか(笑)。パーティーってただ楽しいだけじゃなくて、酔っ払い同士で喧嘩起きたりするじゃないですか。〈でも、やっぱいろいろあったけど最高だったよね〉っていうか、〈これが今日のパーティーのラスソンになってもいい〉みたいなことを意識して振りを作りました。曲調もキラキラした感じなんで、みんな気持ちが沈んでる時に聴いてくれたらいいなって思います」
――はい。そして4つ目の新曲が先行でMVも出た“ファイヤーダンス・サーガ”ですね。
KIN「年末のカウントダウンで5人最初のワンマンをやった日に初披露したんですけど、〈それでも5人でここからやっていくぞ!〉っていう覚悟がこもった曲ですね。これもSHELLさんが振りを付けてくれて、サビで“PIGGS -モナ・リザ-(PHOENIX ver.)”から〈不死鳥〉のポーズを引き継いでるところがあったり、曲調は凄い80sっぽくてカッコイイですけど、歌詞にも〈うちら覚悟決めてやってます!〉っていう感じがこもってるなって」
BAN「いまの5人のテーマソングっていうか、ライヴでも〈これがいまのPIGGSです〉みたいな感じでやっています。あと、サビはユニゾンで歌うんですけど、そこも好きなポイントです。私はラスサビでSHELLMEと歌うんですけど、そこで目を合わせて歌うっていう構成なので、それが凄く熱い気持ちになります」
SHELL「みんながそういうのを観て喜ぶかなと思って。そんなに深い意味はありません(笑)」
KIN「でも、私は知っています。その時に私は後ろにいるんですけど、2人は凄く良い顔で目を合わせてます(笑)」
SHELL「そういう顔も演技できます」
BAN「演技なの?」
――(笑)いまは振付けも基本はメンバーの分担でやられているんですね。
SHELL「そうなんすよ。そこはもう私がPIGGSに入ってからず~っと抱えていた永遠の課題で。この体制になって責任とか覚悟ができた時に、他の人にお願いしても良かったんですけど、やっぱり5人でやる最初の曲は自分たちでやったほうが説得力も変わってくるのかなと思って、戦いました、この曲と(笑)。マジで何回も何回も聴いたし、メンバーのこともいっぱい考えたし。だから、逆に、いままでできなかったのは普通に足りてなかったんだなって納得できたし、もっと早くこうやって考えるべきだったなって思えた時間でした。自分の作り方みたいなものを見つけられた曲でもあったし、プーちゃんも〈振付け、めっちゃ良かったよ〉って言ってくれて嬉しかったし、そういう意味でも、この先の自分に自信をつけてくれた曲ですね」
曲が意味を増してくる
――その他の収録曲は、去年の配信曲も含めた既存曲を〈PHOENIX ver.〉として5人で再録したものです。それぞれ特に注目してほしい曲を教えてください。
SHELL「私はやっぱり“PIGGS -モナ・リザ-”ですね。そもそもこの曲が、ホントに最初のメンバーからここに至るまでPIGGSの全部をずっと見てきた凄い曲だなって思うんです。月日が経てば経つほど、どんどん意味を増してくる曲だなって改めて思うし、何回歌っても大事なことを思い出させてくれる曲なんですよね、やっぱり。で、歌詞も歌割も変わって、プーちゃんが最後に歌ってた〈それでも〉というところが5人分あって」
――ちょっとビックリしました。
SHELL「そうですよね(笑)。イントロが長くなったり、落ちサビが変わったり、〈それでも〉が増えたりして、変化にはみんなビックリすると思うんですけど、これはプーちゃんが抜けたっていう変化だけが乗ってるんじゃなくて、もう最初から最後までが乗っかってる変化だと思うんですよね。そういう歴史というか重みを届けられる曲だと思うので、そこを感じてもらえたらなって思ってますね」
――歌詞が変わったことで、よりプー・ルイさんの曲みたいなところから解き放たれた感じもしますね。
SHELL「そうですね。曲が変わるっていうよりは、うちらが変わっていくことで、もっと説得力のあるように変わり続けていければと思います」
KIN「私は“背中で語るDreamer”です。これは6人で最後に出した曲で。プーちゃんが脱退して、本でいうと1つの章が終わったけど、PIGGSが別物になったわけではなくて、同じ本の中のまた新しい章が始まったっていう感じで、PIGGSのこれまでの歴史とこれからが一冊の本で続いていくみたいな……ちょっと抽象的なんですけど、自分の中ではこの曲にそういうイメージが凄くあります。5人だからこそ伝わる“背中で語るDreamer”があるなって思うので、いっぱい聴いてほしいです」
SU「私は“とらえる”です。6人の時はサビの〈夢はもう夢ではない〉っていうところを歌ってて、アイドルをずっとめざしてきてPIGGSになれた自分に向けて歌ってたと思うんですけど、5人になって、プーちゃんが歌ってた部分の歌割ももらった時に、これはみんなに伝えたいことだなって。そこを歌うにはもっと説得力のある人にならなきゃいけないなって思う部分の歌割を任せてもらえたのも特に嬉しいし、5人になっても凄く好きな曲です」
BAN「“ワイルドサイドを歩け”がお気に入りです。歌割がけっこう変わって、プーちゃんが歌ってたラスサビ前の〈やってきて良かったって抱きしめたい〉の部分を歌わせてもらうことになって。5人でPIGGSの連れて行った先で、やっぱりPIGGSがあって良かったと思えるものにたくさん出会いたいし、前もそうだったんですけど、5人でやるとより〈ワイルドサイドを歩いていこうぜ!〉っていう気持ちで歌えていて、お気に入りです」
BIBI「私は“KICKS”です。PIGGSが結成した時からあった〈始まるぜ!〉みたいな曲で、私は最初の〈Wham Bam Thank You Ma’am!〉のところをKINCHANと一緒に歌うんですけど、KINCHANが〈ここでめっちゃブチかまそう〉って言ってくれて、ここは最初の一声目から行き切れるぐらいの気持ちで歌いました。そうやってPIGGSの始まりの曲の始まりの部分を歌えるのは凄く嬉しいし、自分が入る前からみんながやってきた曲を新しく5人でやるので、〈新たな始まりの地点をここで作るぞ!〉みたいな気持ちです。どの曲もですけど、〈いままでの積み重ねも新鮮さもどっちもあり!〉みたいな爆発力を込めたいし、そうやって〈いまのPIGGS、勢いヤバいな〉っていっぱい感じてもらいたいなって思います」
――そうやって録音や振りの制作を進めて、新しい5人の形を作ってきたプロセスが、まさにこのアルバムになったわけですね。
SHELL「そういうことです。カッコ良くまとめてもらった(笑)」
本当の5人のスタート
――アルバム収録曲に限らず、どの曲も歌割の変更があるわけですよね。
SHELL「そうです。歌割は全曲、ところどころ変わったし、最近のライヴではいままであまりメインでやってこなかった曲もやっていて。アルバム収録曲だと“余すことない全霊で(PHOENIX ver.)”はまた違った雰囲気に仕上がったのでやってますし、他には“街underworld”とか“SPIN”、あと“ヴェルヴェット思想家”“PIPEFICTION”とか、わかりやすく言うとカッコイイ系に寄ってて。そういう“HALLO ALIEN”の世界観に近い雰囲気の曲がいまのPIGGSの良さを引き出せるんじゃないかなってアドバイスをいただいて、ブライアンさんと相談したりしながらセットリストを組んでます」
――この記事が出る頃には、ツアーの残り数か所とファイナルの6周年記念ワンマン〈来たぜ6周年!豚デモネバーダイ!〉を控えた状態になります。
BIBI「6周年のライヴは〈NEVER DIE〉みたいなタイトルがいいなと思って、みんなで〈豚デモネバーダイ!〉って付けました。いまのPIGGSは不死鳥が新しいキーワードにあるんですけど、〈不死身〉っていう言い方だと自分たちっぽくないっていうか、〈死なないぞ!〉よりは〈死なねえぜ!〉みたいな感じで〈ネバーダイ!〉って言ったほうがいまのうちらには合うと思って。やっぱり、いまのPIGGSはとんでもないものを見せられると思うし、とんでもないものをずっと見せていきたい。そのとんでもなさをとんでもなくデカくしていきたいって思うから、まずはこのタイトルを付けた6周年の日に、みんなが想像もしないぐらいとんでもないものを見せてやるぞ!っていう気持ちです。〈いまのPIGGSは飛べない豚どころじゃない、めっちゃ飛ぶ豚だな〉みたいなのをぶーちゃんズに見せつけて、その先のために、また観たいって思うお客さんを増やしていけるような日にしたいなって」
――そのファイナルはソールドアウトしているので、その先が勝負ですよね。
SHELL「はい。ツアーの初日にファイナルのチケットが完売した時に思ったし、ツアー中にも話したんですけど、6周年に来てくれるのは、プーちゃんがいてくれて、いままでのPIGGSがあったから周年をお祝いしようって思ってくれてる人たちなんですよね。やっぱりそこを忘れたらダメだし、その気持ちを大事にしつつ、この5人の今後を提示する日にしたいです。ある意味、この2026年4月19日が本当の5人のスタートだというか。このソールドはプーちゃんがいてくれて、いままでのPIGGSがあってできたこと。この先のソールドはホントに5人にかかってると思うので。もちろん、スタッフさんやいろんな方の助けがあるのは変わらず、いまもプーちゃんは相談に乗ってくれてるし、METTYさんやブライアンさんもいてくださるけど、この先ってホントに5人が試されると思うんですよ。その第一歩目の日になるので、楽しみたいと同時にそういう気持ちがあります。この先のPIGGSは……言い方がちょっと難しいんですけど、7周年目には倍ぐらいのキャパでライヴできるようになっていたいっていう目標があるので」
――そうするためにここから1年かけてちゃんと考えていくという。
SHELL「そうです。いままではいろんなものを用意していただいて、メンバーが活動に対して受け身すぎたので、そこは甘えずに考えながら動いているところです。同じぐらいのキャリアのグループが何倍もの規模で周年やってるの観た時に、自分もやりたいって思ったし、ぶーちゃんズもデカい会場でやるPIGGSをそろそろ観たいよなって思ったから、その〈そろそろ〉を本気で叶えていける一年にしたいです」
PIGGSの近作。
左から、2023年のアルバム『RAWPIG』、2024年のシングル“街underworld”(共にARIOLA JAPAN)、2024年のEP『1ミリでも』、2024年のシングル“SUPERBAD”、2025年のシングル『生きて帰る、ばっか。』(すべてプープーランド)
ブライアン新世界の2025年作『靴下片っぽヒーロー』(DOBEATU)
