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リンゴの〈歌声〉は聴く者を幸せな気分にさせる

もう1曲のカバーは、ベニー・ベンジャミンとジョージ・デイヴィッド・ワイスが作曲し、ゴードン・ジェンキンスが1949年に録音したのがオリジナルで、チャーリー・リッチやペリー・コモらがヒットさせた“I Don’t See Me In Your Eyes Anymore”である。T・ボーンは1959年のカール・パーキンスのバージョンに着目し、リンゴに勧めたという。これについてリンゴは、「ビートルズでもカール・パーキンスの曲を2曲録音したことがあった。それで今回もT・ボーンと話して、ぜひ1曲取り上げようって話になった。そうして彼が見つけてきてくれたのが、俺の知らなかった美しい楽曲だった」と明かしている。

好評だった『Look Up』でもハーモニーを添えていたダニエル・タシアン、美しい歌声を聴かせていたモリー・タトルをはじめ、そのモリーとともにリードトラックの“It’s Been Too Long”に参加したサラ・ジャローズ、“Baby Don’t Go”と“My Baby Don’t Want Nothing”で相手を務めたビリー・ストリングスらがリンゴのボーカルを支える。

さらに、ビーチ・ボーイズのようなコーラスで幕が開き、リンゴの台詞も入るラストの“Long Long Road”では、2025年1月にナッシュビルで開催された公演〈リンゴ&フレンズ・アット・ザ・ライマン〉にも出演していたシェリル・クロウがデュエットしている。リンゴとそれぞれのシンガーたちとの相性もよく、アルバムの完成度を高めているが、ここであらためて浮かび上がってくるのが、リンゴの〈歌声〉だ。彼が歌えば〈LOVE & PEACE〉、誰もが幸せな気分にさせられてしまう。ドラマーとしてはともかく、ボーカリストとしては見過ごされがちなリンゴだが、この持ち味は彼にしか出せないものだと思う。

『Look Up』からはじまった好調な流れは、1990年代にマーク・ハドソンとコラボレーションしていたころを彷彿させるものがある。長い間、ずっと肩肘張らずに歩みを続け、ここまできたリンゴ。彼は今、また何度目かのピークを迎えようとしているのかもしれない。

 


RELEASE INFORMATION

RINGO STARR 『Long Long Road』 UMG/ユニバーサル.(2025)

リリース日:2026年4月24日(金)
品番:UICY-16423
価格:3,300円(税込)
仕様(日本盤のみ):解説付/歌詞対訳付、SHM-CD仕様

TRACKLIST
1. Returning Without Tears
2. Baby Don’t Go
3. I Don’t See Me In Your Eyes Anymore
4. It’s Been Too Long
5. Why
6. You And I (Wave Of Love)
7. My Baby Don’t Want Nothing
8. Choose Love
9. She's Gone
10. Long Long Road