劇伴仕事をやりきって再びジャズプレイヤーへ
大野はルパン以外にも多くのアニメ音楽を手掛けているが、なかでも1978年にNHKで放送されたSFアニメ「キャプテン・フューチャー」は、スペースエイジフュージョンとでも呼ぶべきサウンドが素晴らしい傑作。海外のマニアからも人気が高く、今年サントラがアナログ盤で再発されたことも記憶に新しい。
加えて、初期の「24時間テレビ 愛は地球を救う」内でオンエアされた一連の長編スペシャルアニメも忘れるわけにはいかない。1978年の第1回で放送された手塚治虫制作のアニメ「100万年地球の旅 バンダーブック」を筆頭に計5作の音楽を担当したが、大野本人もとくにお気に入りだったのが1979年の手塚アニメ「海底超特急マリン・エクスプレス」。主題歌はゴダイゴのトミー・スナイダーを歌唱に迎えたグルーヴィーなディスコチューンで、近年ではアニソンDJの定番曲としても名高い。
なお、第14回(1991年)まで同番組のテーマ曲として使用されていた“LOVE SAVES THE EARTH”も大野の楽曲。フィリーソウル調の華麗なあの旋律を記憶されている方も多いだろう。
1980年代後半になると、大野はCMや劇伴の仕事に対して〈やりきった〉という感覚を抱くようになっていたという。そんな折、旧知のジャズ仲間からライブへの誘いを受け、20年近いブランクを経てステージへ立った彼は、観客の前で演奏する楽しみを思い出す。こうして大野は再びジャズプレイヤーへと立ち返り、ライブハウスを主戦場とするようになっていった。
一方で1990年代以降、クラブシーンの隆盛とともに大野サウンドはレアグルーヴやフリーソウル的な視点でも国内外から再評価されるようになっていく。小西康陽らがルパン楽曲をリミックスした『PUNCH THE MONKEY!』シリーズをはじめ、多くのDJやアーティストがリミックスやサンプリング、カバーで大野の音楽をリスペクトしたのだ。
そうした流れに対して、大野はトリオ編成によるオーセンティックなジャズアルバム『LUPIN THE THIRD「JAZZ」』(1999年)を発表。クラブカルチャーへの本家からの返答とも取れるクールなジャズ作品として大きな支持を集めたことで、その後も10作以上続く人気シリーズとなっていった。


