CD世代のミュージシャンでライターでもあるKotetsu Shoichiroの連載〈CD再生委員会〉。今回のテーマは再びCDプレーヤー。ファッションアイテムやインテリアとしても人気が高まっている再生機の最新情報をお届けします。Kotetsuがtofubeats主宰レーベルHIHATTからリリ-スしたJ-CLUBな新曲“She Call It Acieeed”も要チェック! *Mikiki編集部

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100円CD収集家デラの凄まじいDJ

先日、この連載でもインタビューさせていただいたことのある、100円CDディガーのデラさんと、ワタクシ、DJの現場でご一緒させていただく機会がありました。

デラさんのDJは凄まじいです。あらゆる100円CDをBPM 150オーバーのハイスピードでミックスしていくスタイルは、圧倒的にオリジナル!

なおかつ、私が自分の出番の時にDJでかけたラテン系ボーカルハウス大名曲、マンバナ“Libre”に、フロアで誰よりもリアクションしていたのがデラさんでした。そういえば、デラさんはもともとマスターズ・アット・ワークとかを12インチでかけるハウスDJでもあったんだよな、と再認識しました。人に歴史あり、100円CDはたまに中身無しであります。

VARIOUS ARTISTS 『Latin House N’ Breaks Volume Two』 KSR(2004)

デラさん悶絶のラテンハウス大名曲”Libre”収録

 

FiiO × Supremeが象徴するCDプレーヤー最新事情

さて今回は、連載初期でも取り上げたCDプレーヤーの現行品についての、最新情報でございます。

まずは景気がよさそうな所から。NYのストリートブランドSupremeが中国のオーディオメーカーFiiOとコラボしたCDプレーヤーを発表。

かつての〈中華系=安かろう悪かろう〉のイメージも遠い昔、楽器やカメラなど、さまざまな分野で中国企業が台頭しつつあるここ数年の動向を象徴するような、泣く子も黙る天下のSupremeとのコラボレーション。アルミ製ボディでBluetooth対応、CDをwav変換してUSBに保存することも可能とか。

それはいいとして、カタログ画像でプレーヤーに収まってるディスクが、よく見たら故DJスクリューという点がシブ過ぎます! 今シーズンのSupremeがDJスクリューとのコラボアイテムを展開しているからだと思いますが。

それも、チョイスしているのが生前のミックステープをアーカイブした『Diary Of The Originator』シリーズの一枚で、光沢がむき出しの盤面(テキサス州の形でくり抜かれたケースのデザインがまたカッコいい!)ゆえに〈CD!〉を強調させていてナイスですね。

『FIIO Bluetooth ポータブルCDプレーヤー DM15 R2R Black』 FIIO(2026)

『FIIO Bluetooth ポータブルCDプレーヤー FIO-DM13BT Transparent』 FIIO(2025)

Supremeコラボではないですがタワレコで変えるFiiOのCDプレイヤー

 

クリアカラー

そして昨今のCDプレーヤーのデザインで注目すべき傾向、それが〈クリアカラー〉です。BEAMSから発売のこちらのプレイヤー。Bluetoothナシ、電池駆動という、機能性も見た目もレトロでお求めやすい価格が魅力ですが、オレンジとブルーの2パターンで、どちらもクリア仕様。

タワレコからもCDプレイヤーが登場! 黄色いボディにお馴染みの赤いロゴが入った、タワレコカラーのクリア仕様。これを持って渋谷店でCDを買って、帰りにカフェで聴いたりしたいですね。昔、CDを買って帰るまでの間に、ワクワクしながら帰りの道中で歌詞カードを読んだりする時間がなかったですか? そういう、あの頃のピュアネスを取り戻すことで、200円のコンビニおにぎりもあの頃の値段に戻っていくはずです(この文章の文責はAIです)。

『タワレコ Portable CD Player Yellow』 (2026)

続いてこちらはワタクシも愛用しておりますkm5のCPシリーズにも、クリアカラーの新バージョンが。蛍光イエローがシビれます! スピーカーのユニットも見えているのがまたいいですね。

Bluetoothもスピーカーも付いていて、お手頃価格のRELAX PIXEL TUNES。液晶がドット表示なのがイイ味出してます。3種のカラーバリエーションですが、赤クリアが琥珀のようで目を引きます。

『RELAX PIXEL TUNES Bluetooth CDプレーヤー レイオブライト』 HIGHTIDE(2026)

 

スケルトンブームの栄枯盛衰物語

〈クリア、クリアって言ってるけど、スケルトンでしょ?〉と思ったそこの平成1桁世代のあなた! 昨今のリバイバルでは、スケルトンではなくクリアカラーと呼ぶのが通なのですよ。

そもそも、スケルト……クリアカラーはなぜ昔、あんなに流行っていたのでしょうか? 80年代末~90年代には、ポリカーボネート素材の技術の発展により、プロダクトデザインにスケルトンが導入され始めました。カセットテープやウォークマンといったガジェット〜ホビー、電話機などの家電製品もスケルトン化していきます。

そして極めつきは、1998年に発売されたAppleのiMac G3でしょう。コンピューター=くすんだグレーの筐体が当たり前だった時代に、キュートな曲線と鮮やかなスケルトンのデザインのG3は、業界に衝撃を与え、またたく間に人気を得ました。以降、ゲーム機やカメラ、スニーカーに腕時計、世界的なスケルトンブームが訪れます。私もスケルトンの携帯ゲーム「デジモン」がお気に入りでした。

スケルトンブームはDJ機材にも波及しており、パイオニアは当時DJミキサーやエフェクターなど、一部の製品でスケルトンバリエーションを展開していたようです。ちなみに2019年にはヴァージル・アブローとPioneer DJのコラボレートで、スケルトン仕様のCDJというのも制作されています(非売品)。

しかし、2000年代以降、世のデザインの本流はミニマルへと移り変わります。G3を生み出したAppleも〈中身を見せる〉デザインではなく〈継ぎ目を消す〉方向に進んだのは、皆さんもご存知の通り。

スマートフォンは、バッテリーが日光に弱く、耐久性などの問題からも、スケルトンには向かないそうです。かくしてスケルトンブームは去り、リサイクルショップに行くと、当時のスケルトンの腕時計なんかが、黄ばんだ状態でホコリをかぶってる様子に出くわします。私のグレイモンもとっくに死にました。

そして現在、スケルトン=クリアカラーが流行しているのは、単なるY2Kリバイバルによるものという意味合いだけでなく、ミニマルからの揺り戻し(当連載過去回でKMIさんがデザイナーの立場から、質感のあるデザインがまた求められつつあると語っていたのを思い出します)という側面があるのではないでしょうか。

ついでに言えば、AIを始めとしたテクノロジーの急速な進化によって、デジタルデバイスがますます〈ブラックボックス〉となっていくことに対する反発として〈透明感〉を求めているのかも……? イギリスのメーカーNothingのスマートフォンが注目を集めているのも、あの疑似スケルトンとでも言うような、半導体がむき出しでメカニック〈風〉のデザインに依る部分が大きいのではないでしょうか。

 

石油危機時代にCDはどうなる?

と、つらつらと文化論っぽく書いてしまいましたが、再生環境がなければディスクあってもプレイなし。CDプレーヤーがいろんなメーカーから、オシャレなカタチで発売されることは、CD再生の野望の実現にとってはプラスしかありません。ガンガンいろんなデザインのCDプレーヤーを各メーカー出してほしいものです。

しかし、ポテトチップも五木田チック(←韻。智央)に色彩を失う、世界的な石油危機が進行しつつある昨今。ディスク本体からケースに至るまで、化石燃料時代の工業製品そのものであるCDが今後どうなっていくかというと、甚だ不安ではあります。CD再生への道も、スケルトンのようにスッキリ透けて先が見えればいいのですが……!

VARIOUS ARTISTS 『HOSONO HOUSE COVERS』 KAKUBARHYTHM/Bayon Production/medium(2024)

METAFIVE 『META』 ワーナー(2016)

TOWA TEI 『EMO』 huginc.(2017)

いずれも五木田智央がジャケットをデザインしたアルバム

 


RELEASE INFORMATION
Kotetsu Shoichiro “She Call It Acieeed”

レーベル:HIHATT
リリース日:2026年5月1日(金)
Bandcamp:https://hihattjp.bandcamp.com/album/she-call-it-acieeed
配信各社リンク:https://orcd.co/scia

TRACKLIST
1. She Call It Acieeed
2. She Call It Acieeed (QPLO Remix)
3. She Call It Acieeed (ACIDA MANNERS Remix)

 


PROFILE: Kotetsu Shoichiro

ミュージシャン(トラックメイカー/DJ)。90年生まれ、香川県出身。ダンスミュージック全般を手がけ、ラッパーやゲーム音楽、CMなどに楽曲提供の実績多数。2021年にはラッパー・T-STONEへの提供曲“Let’s Get Eat”がBillboard JAPANのTikTok Weekly Top 20で1位を獲得。また2022年にはtofubeatsのアルバム『REFLECTION』収録の“Vibration feat. Kotetsu Shoichiro”へラップで客演し話題を呼んだ。ライター/インタビュアーとしてはミュージック・マガジン、Quick Japan、CINRA、関西ソーカルなど数々の媒体に寄稿。ほか、さとうもか“Lukewarm”“Loop”をはじめ他アーティストのMVなど映像/アニメーションの編集も手がけるなどジャンル/形式に囚われない幅広いスタイルで活動をおこなっている。
オフィシャルサイト:https://kotetsu-shoichiro.com/
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