幻の作品の復活演奏と和楽器や合唱とのコラボを含む華やかな演奏陣で贈るN響大河ドラマコンサート
NHK大河ドラマの音楽は、日本が誇る劇音楽の堂々たる一ジャンルだ。放映一年に及ぶ日本舞台の歴史ドラマとして、日本の音楽史を彩る錚々たる巨匠たちが続々と名を連ね、〈日本〉と向かい合う。テーマ曲には2分半~3分半ほどの間にドラマのエッセンスが凝縮されている。そのテーマ曲をほぼすべて演奏してきたNHK交響楽団が今年もこの3月に行った〈大河ドラマコンサート2026〉が、さっそくディスク化される。指揮は大活躍中の沖澤のどかだ。
今年の目玉はまず武満徹の“源義経”(1966)だろう。残存する断片的なスケッチを基に、“春日局”を担当した坂田晃一が再現版を作成。映画音楽諸作での実験的書法は控え、悲劇の英雄にふさわしい武満流の〈歌〉の魅力が輝く。薩摩琵琶や龍笛など邦楽器も組み合わされ、同時期の“ノヴェンバー・ステップス”との関連も感じさせる。大河ではないが“夢千代日記”(1981)のテーマが聴けるのも嬉しい。そして一昨年逝去した間宮芳生の“竜馬がゆく”(1968)も楽譜が所在不明だったが作曲者の書斎から発見され、復活蘇演された。気宇壮大で快活な歩みはまさに〈竜馬がゆく〉。この他にも大河ドラマの顔・池辺晋一郎の“独眼竜正宗”(1987)はじめ4作品が演奏され、また大河にちなんでスメタナ“モルダウ”など川にちなむ名曲が演奏されるのも楽しい。オンド・マルトノの大矢素子らゲスト陣も豪華絢爛だ。
そのコンサートでテーマ曲のコンサート・ヴァージョンが演奏された「豊臣兄弟!」のオリジナル・サウンドトラック第2集も発売される。羽柴兄弟が織田信長の元で成り上がってゆく成功の道のりと比例して、ロックやワールド・ミュージック色は保ちつつオーケストラ・サウンドが重厚さを増してきている。決して悪い意味ではなく少年マンガ的な熱血ノリの本編だが、ラスト“化け猿”の不穏さは、今後描かれるかもしれない兄・秀吉の〈闇〉と弟・秀長の〈光〉の葛藤を予告しているのだろうか。

