
中南米研究会の楽しさと居心地のよさ
――それで中南に行き着くんですね。ラテンミュージックを専門にしているという点で特殊なサークルに見えますが、東京出身のお2人はなぜ中南に入ったんですか?
河上「僕は入るつもりじゃなかったんです。ソウルとかファンク寄りの軽音と、お笑いサークルに入ろうと思ってて。でもお笑いの方は一瞬で入会が締め切られて、もう一個の軽音も元気がなくて……それで高校の先輩が入っていた中南を選びました」
――なるほど。
河上「中南って、入る前からレゲエやラテンが好きな人が全員ではないんです。 僕もボブ(・マーリー)ぐらいしか聴いてなかったし。でも居心地がよかったし、新入生歓迎会のジャムでOBのSouth Penguinの磯部(拓見)さんが叩いていたり、初めてのフィールに触れられて、楽しかったんですよね」
秋田「野口(文)さんもいたよね」
河上「そうそう、一緒に“Black Cinderella”演ったわ」
――中南に入る前はその辺りも知らなかった?
河上「そうです、中3〜高1くらいはオルタナ小僧ですよ。ライドをマジで聴いてました」
――ライドを、マジで。
河上「いや、今も本気で好きですよ(笑)。ただ当時も並行して、スタイル・カウンシルとかは聴いていて。あとは幼少期からソウルミュージックは好きでした。スタカンの音楽にはボサノバの要素も入ってるし、その後に繋がっているはず」
――野﨑さんはなぜ中南に入ったんですか?
野﨑「早稲田に入学して軽音サークルを探していた時、中南のOBにSummer EyeとかCHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINがいると聞き、Instagramを見たらめっちゃ楽しそうで。
私自身、高校の頃はゆらゆら帝国とかを聴いていたんですけど、軽音学部にそういうのを好きな人が誰もいなくて。コンパクトエフェクターを持っているギタリストが1人しかいなかった」
河上「え、全員アン直※?」
野﨑「そう、全員アン直」
秋田「ウィルコ・ジョンソンだ。ピックは持ってた?」
野﨑「持ってた。NUMBER GIRLみたいな音でVaundyのカバーをやってた」
(一同爆笑)
――カッコいいじゃないですか(笑)。
野﨑「そう、ある意味、尖った人ばっか……。それで〈大学に入ったら面白いサークルに入りたいなー〉と思ってて、中南を見つけました」
何が好きかより何が嫌いかで自分を語れよ!
――そもそも、みなさんの趣味って重なってるんですか?
金子「割と合ってはいるかと」
河上「お寺とか好きだよね」
野﨑「うん、好き」
秋田「そうね。まぁ音楽の趣味は近いと思う。居酒屋でもずっと音楽の話をしてますし。あとは……ラーメン?」
河上「僕、ラーメン二郎の直系はあまり食べられてないけど、それに関してはどう? マジで……〈もう何でもいいや〉みたいな日に資本系のラーメンを結構食べちゃうんだよね。〈中村とうよう:0点〉みたいなラーメンよ? 〈2026年という時代にこんなにも安っぽいラーメンが作られたことを後世の歴史家のための資料として永久保存しておくべき一杯〉的なさ」
秋田「『Thriller』ラーメンね※」
河上「うん。というか、ラーメンよりカレーかも。カレーはみんな好きだよね」
秋田「恥ずかしいけどね、カレーが好きなインディーバンドって、今となってはちょっとステレオタイプすぎる気もするよね(笑) 」
河上「確かに! やめた! カットで!」
――その自意識は何なんですか(笑)。
河上「すみません、自意識過剰なもんで……」
――もしかして、過去にステレオタイプな扱われ方をして嫌な思いをしたんですか?
河上「いや、そういうわけではなく。自意識が無さすぎる人を見て〈うわぁ……〉って思うことが多くて。表現活動をなさっている方々が、果たしてどれくらい自分の作品を客観視しているのだろうかって、いつも疑問で。自分に対してもそう思ってしまうだけなんです」
秋田「僕らは性格が悪いのかもしれないけど、〈同じ時代を生きているバンドとしてどうなんだろう〉とか考え込んじゃうタイプで、自分たちの振る舞いも意識しちゃうんですよね。2026年にギターを天に掲げて轟音のシューゲイザーをやっているバンドを始める人とか考えられないじゃないですか」
――そんな超常現象みたいな言い方で……(笑)。
秋田「いや、意味があることが全てではないし、意味のないことも素晴らしい。自己実現も大事です。でも、独自性や同時代性を加味すると、何も考えていないようにも見えてしまって、楽しいのかなって」
河上「AI生成のレポートと一緒だよね」
秋田「〈単位は取れるけどさぁ〉みたいな……」
――めっちゃ大学生っぽい喩え(笑)。好きなものじゃなく、嫌いなもので目線を合わせるタイプなんですか?
河上「めっちゃそうです」
秋田「〈何が好きかより何が嫌いかで自分を語れよ!〉みたいな」
河上「逆・偽ルフィ!」