ユニークな切り口で子どもの好奇心や感性を刺激する新しい絵本の体験
フジテレビの「ポンキッキ」シリーズのように、かつては民放でも子ども番組が人気だったが現在では、来年30周年を迎える「おはスタ」ぐらいになってしまった。そんな時代にテレビ東京が「民放初の赤ちゃん向け番組」をうたって2020年にレギュラー放送を開始したのが「シナぷしゅ」である。タイトルの由来は脳の神経細胞をつなぐ〈シナプス〉。0〜2歳を主たるターゲットにしながら、結果として一緒に観ている保護者まで引き込んでしまう非常に尖った番組なのだ。
初めて見ると内容の多様さに驚かされるはず。1~2分ほどで切り替わっていく短いコーナーは、実写/アニメ、アナログ/デジタル、コントラスト/グラデーションなどと全く異なるテイストの映像と、子ども番組風だけでなくラップ、ジャズ、演歌、現代音楽のような音楽が組み合わされたりするので、まだ言葉を十分に理解しない乳幼児も、その変化に自然と目を向ける。既に定評のある絵本を映像化したり、番組オリジナルの内容を絵本化したりするのも面白い。知識や正解を教え込むというよりも、未知の音や色、動きとの出会いを通じて、幼い子どもの感覚や好奇心を刺激するという発想が番組全体に貫かれている。だからこそ子どもの反応を眺めながら、大人も思いがけず見入ってしまう懐の深い番組である。

今年新しく発売された絵本もユニークだ。超有名な西洋絵画を乳幼児視点で楽しむ「シナぷしゅとみるはじめてのアート」は、ダ・ヴィンチ研究で著名な池上英洋が監修。大人も既成観念を取り払い、子どもと同じ視点で絵画を共有できたら素敵な体験になるに違いない。

一方、喋りはじめたばかりの幼児に、自分の言葉が相手にどう届くかを感じてもらう「シナぷしゅでおぼえるふわふわことば」は日本語教育の第一人者・齋藤孝が監修。番組のメインキャラクターぷしゅぷしゅをうまく活かした魅力的な内容に仕上がっている。子どもが生まれた友人知人へのプレゼントにもうってつけだろう。