ジョヴァンニ・ソッリマと2人の〈ザッパ〉、時空を超えたセッション
ジョヴァンニ・ソッリマの勢いが止まらない。チェリスト/作曲家/プロデューサーとして、あり余るエネルギーで日本の音楽界を席巻していった来日ツアーから1年半。その時のインタヴューで言及されていたアルバム『ワイルド・ラヴ~フランク・ザッパとフランチェスコ・ザッパ』が登場する。

前作『アル・ブンドゥキーヤ』(エラート)でヴィヴァルディと地中海の民族音楽、自作を溶け合わせていたソッリマだが、今回のテーマはなんとフランク・ザッパ(以下FZ)だ。説明するまでもなく、20世紀後半のロック・フィールドであらゆる音楽的実験を繰り広げてきた鬼才。ソッリマは少年期からFZの熱烈なファン。そういえばソッリマの多方向に開かれた音楽性はFZ的とも言える。
そして本盤は単なるトリビュート盤ではない。背景にはFZが1984年にリリースしたアルバム『フランチェスコ・ザッパ』がある。これは18世紀に実在した同名のチェリスト兼作曲家(以下FcoZ)の作品をシンクラヴィアで演奏したもの。FZからFcoZへのトリビュートだが、古楽にも精通するソッリマはこのエピソードを下敷きに、FcoZの作品も同居させる荒業に出た。自作も含め、ソッリマ/FZ/FcoZが響き合う。
具体的には、FZの現代音楽作品、“ワイルド・ラヴ”の編曲、FcoZのオリジナル作品(協奏交響曲など)、ソッリマ自作、さらにFZ作品をヴァンニ・モレットが18世紀風に仕立て直したシンフォニア、ソッリマがFcoZ作品を〈ビ・バップ風〉に編曲した作品など、異なる時代様式を行き来し時に重ね合わせた作品群で構成される。共演のイル・ポモ・ドーロはイタリア気鋭のピリオド楽器アンサンブル。ソッリマと同団の、モダン・オーケストラと異なる“ワイルド”な音色とアンサンブルが全体に一本の太い線を通し、あらゆる音楽を混淆させ凄まじいエネルギーでたたき出し続けたFZへの、真のトリビュートとなっている。間違いなく、ソッリマはFZの後継者なのだ。