photo: 丸山涼子

バンドネオンとギター。極限から浮かび上がるファンタジー

 バンドネオン奏者、小松亮太の新作は、小松にとって極めつけの意欲作だろう。なにしろ小松とギターの福井浩気の二人というシンプルな編成で、よく知られた定番曲から、知られざる名曲。そしてタンゴ以外の曲までを取り上げているのだが、そのどれもがリラックスした空気を纏っている。まさにタンゴの音楽家同士のセッション=ア・ラ・パリージャそのものだ。そんな本作を小松はギタリストの福井浩気の存在があってこそ実現したと強調する。

 「彼がいなかったらこれは絶対できなかった。ミロンガ(タンゴのダンスイベント)で福井君の生演奏を聞きましたが、その時にびっくりしたんです。こんな人が出てきたんだと思って。それで声をかけて一緒に演るようになって」

小松亮太 『ア・ラ・パリージャ』 ソニー(2026)

 一体どんなところに驚いたのか。

 「タンゴを知ってて好きなのは当然ですが、タンゴのギターはビックリするぐらい他ジャンルのギターとは違います。以前、ショーロやサンバのギタリストと一緒にやったけれど、これがもう全然違う。福井君はクラシックの技術を身につけて、10代の頃に行ったフランスでウルグアイやアルゼンチンのギタリストと知り合うことで、彼ら独特の技やニュアンスを伝授されている。それはとても素晴らしいことですね」

 こうして演奏を重ねてきた二人。だから選曲も活動の中から決まっていった。

 「タンゴ曲は前々から二人でのライブで散々やった曲。もう3年間ぐらいずっとやってきて、そろそろ録りましょうかという感じで取り組んだので、今回は楽にできました」

 そんな二人のスタイルのせいか、今まで余り目立たなかった曲も選ばれている。

「例えば“ディビーナ”。僕等も初めてやりましたが、なんで皆が手がけないのかと思います。“ベティノッティ”もそう。僕ら以外でやってる人見たことないですからね(笑)。でも自分で言うのもなんですが、こういう渋い曲がうまく弾けるようになってきました。こうして二人でのライヴを一生懸命やってたからね」

 タンゴ以外からだと“アルゼンチンよ泣かないで”“ランバダ”“イル・ポスティーノ”とよく知られたメロディーを選んでいるが、こうした曲も二人なりの解釈で、表現しているのが興味深い。

 「昔だったらこういう演奏できなかったなって思いました。単純な伴奏と単純に僕がメロディーを弾くだけでなんかこうふわーっと浮かび上がってくるファンタジー。 そういうものが今回はとても出てきたなという気がしました」

 


LIVE INFORMATION
【川口リリア リオープン記念公演】 小松亮太 タンゴ・オペリータ「ブエノスアイレスのマリア」

2026年9月12日(土)埼玉・川口総合文化センター リリア
2026年9月13日(日)埼玉・川口総合文化センター リリア

CDリリース記念ライブ「A LA PARRILLA」
2026年9月21日(月)茨城・水戸 GIRL TALK

「小松亮太の音楽世界旅行」スペシャルライブ 石川公演
2026年9月27日(日)石川・金沢21世紀美術館 シアター21

ゴールドリボン・小児がんチャリティー 小松亮太 タンゴ五重奏
2026年10月17日(土)新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール

小松亮太&国府弘子“Jazz♡Loves♡Tango”スペシャル・コラボレーション
2026年11月7日(土)東京・東大和市民会館ハミングホール 大ホール

各公演の詳細ページ:https://ryotakomatsu.net/liveinfo