2013年10月にDIR EN GREYの京を中心とするプロジェクトとして始動したsukekiyo。DIRのマニピュレーターでもある匠、匠と同じく元はRENTRER EN SOIのメンバーだった未架、kannivalismのYUCHIの順に合流し、最後にUTAが参入して5人編成に。初作『IMMORTALIS』リリース時の京の発言によると、4人の共通点は〈変態〉らしい。だが、例えばUTAがかつて在籍していた9GOATS BLACK OUTの音世界が内包する、ある種の柔らかさを湛えたダークなリリシズムを思うと、〈変態〉というワードは〈美意識〉とも置き換えられるのでは。現にUTAの加入は、9GOATSの楽曲を京が耳にしたことに端を発しているとのことだ。
そうしていまの体制となったsukekiyoがリスナーの前に初めて登場したのは、2013年12月29日。のちに『IMMORTALIS』でリミックスを手掛けることになるSUGIZOのSHIBUYA-AX公演のオープニング・アクトとしてだったが、同年末の〈COUNTDOWN JAPAN 13/14〉と共にバンドの全貌は明かされず。神秘的な爪痕を残したまま2014年に入ると、1月1日に先行曲“aftermath”を発表。4月には鬼束ちひろを共演者に指名した“in all weathers”のMVで話題をさらうと、いよいよファースト・アルバム『IMMORTALIS』が到着する。全16曲の本編に加えて初回盤は2枚組となり、コラボを果たしたキリト(Angelo)をはじめ、リミックス陣としてコーンのジョナサン・デイヴィスによるデヴィルスラッグ、TK(凛として時雨)、PABLO(Pay money To my Pain)、HISASHI(GLAY)、人時(黒夢)、石井秀仁(cali≠gari/GOATBED)……と全11組が参加。多様な個性との交配によって、sukekiyoの持つ殺伐とした緊張感と深淵な叙情を押し広げてみせた。
その後、5月に東京と京都の6か所でワンマン・ライヴ〈別れを惜しむフリは貴方の為〉を行うと、9月は東京・目黒鹿鳴館公演を経て欧州ツアー〈雨上がりの優詩〉を敢行。10月には主催イヴェント〈異形の間〉も実施し、妖精帝國、神聖かまってちゃん、MERRYと共に、なんと鳥肌実も招聘。今回の『VITIUM』における三上博史枠と言えるのかもしれないが、こうした選択眼からもsukekiyoの特異性が窺える。
ちなみに、『VITIUM』リリース直前の対バン・ツアー〈『The Unified Field』-双卵の眼-〉ではLM.C、HEAD PHONES PRESIDENT、acid android、THE NOVEMBERSと共演予定。このなかで唯一2日に渡って手合わせするTHE NOVEMBERSは〈美〉をノイズで表現した最新作を作り上げるなどsukekiyoとも繋がる感覚があったりするが……、得体の知れないsukekiyoの根幹を掴むヒントは、もしかしたら、こうした外部との交流のなかに見い出せるのかもしれない。