よりブルータルに、よりメロディアスに、よりドラマティックに――黒い花嫁がいま、札幌から世界へ2度目の攻勢をかける!!

 昨年は、世界デビューが先行した初作『FASCINATING VIOLENCE』の日本盤リリースや、東京での初ワンマン・ライヴなど、充実の1年を送った札幌出身のメロディック・デス・メタル・バンド、GYZE。このたび完成したニュー・アルバム『BLACK BRIDE』は、よりブルータルに、よりメロディアスに、よりドラマティックに深化。シーケンスも洗練され、さらに味わい深い仕上がりになっている。

GYZE BLACK BRIDE ビクター(2015)

※試聴はこちら

 「メジャーからの2作目ということもあって変に方向転換したくなかったから、それが良い方向に作用したように思います。あと、セカンドは情景的なものへのリンクが強くて、すべての曲にMVのイメージが自然と浮かぶものになったと思いますね」(Ryoji、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 前作に引き続き、共同プロデュースを務めたのはイタリアのメロデス界の奇才、ディサルモニア・ムンディエットレ・リゴッティ。「〈子供の頃の懐かしさ〉や〈誰もが大人になるにつれて忘れる誠実さ〉、〈自分自身が忘れかけていたようなモノ〉を歌った」という“HONESTY”では、エットレがクリーン・ヴォイスを披露している。

 「20歳くらいの頃からクリーン・ヴォイスが入る曲を作るときに、エットレの声が自分のなかの理想としてあったんです。音に厚みのあるディレクションを施してくれて、改めてエットレ・チームのプロフェッショナルさに感動しました」。

【参考動画】GYZEの2015年2月28日のライヴの模様

 

 また、憎悪の炎が燃え盛る表題曲のような凶暴性のみでなく、スパニッシュなアコギを採り込んだ“GNOSIS”など、随所で見られる引き出しの多さ、メロデスの枠に留まらない音楽性を感じさせるのも、GYZEの特徴だ。

「GYZEは北欧のメロディック・デス・メタルに影響されて成り立っていますけど、例えば、加古隆さん、久石譲さん、ジョージ・ウィンストンといったヒーリング系のピアノ作品とか、昭和歌謡とか、いろんな音楽のメロディーに影響されているところがあって。それをギターで奏で、そのうえでスクリーム・ヴォーカルを入れるという要素が強いかもしれないですね」。

そんなふうに自身の音楽性を分析しつつ、彼の目はもちろん、世界を見据えている。

 「僕らはワールド・ツアーのできるバンドになりたいと思っていますけど、いきなり世界デビューというのは意図的ではなかったんです。東京では誰にも注目されなかったから、ヨーロッパにアプローチしたら世界からスタートを切れた感じだったので。だから上京神話もないし、自分たちがどう活動していくかだけだと思っているから、最近は作曲のモチベーションを上げるため、故郷にいることが多いんですよ。この場所にいながら、僕らは日本代表として世界のミュージシャンと対等な存在でありたいし、同じ土俵で活動したいと思ってます」。 

【参考動画】GYZEの2013年作『FASCINATING VIOLENCE』収録曲“DESIRE”