INTERVIEW

Awesome City Club、自由な新世代のポップセンスが息づく〈架空の街のサウンドトラック〉鳴らす5人組が放ったデビュー作

【特集:インディー・ポップ百景】 Pt.3

IF YOU'RE READING THIS ITS (NOT) TOO LATE
[ 緊急ワイド ]インディー・ポップ百景
10年代も半ばまで過ぎました。まだそんなこと言ってんの?という声もおありでしょうが、旬も流行も浅薄な理屈も時代のムードも超えた地平で響いてほしい音楽たちは、世界中から毎日のように登場しています!

 


 

Awesome City Club
開放的なグルーヴに彩られた架空の街のサウンドトラック

 

 

 かつて、チルウェイヴが〈中心となる発信源が地理的に存在しない音楽ムーヴメント〉と評されたように、インターネットを介してボーダレスかつグローバル化しつつある音楽シーンを前に、Awesome City Clubはその状況を逆手に取り、どこにでもあって、どこにもない架空の街のサウンドトラックを奏でるべく結成された5人組グループだ。主宰のマツザカタクミ(ベース/シンセサイザー/ラップ)はこう語る。

 「このバンドはライヴをやるより、音源とMVとホームページ、それから物販のグッズを作るのが先でした。そして、バンドを始める際に、まず、音楽を聴いてもらうためにライヴハウスに足を運んでくれる人たち以外にも、音楽を届けたいと思って、もっと効果的に、今回のアルバムに収録されている曲のデモをYouTubeやSoundCloudで広く聴いてもらえるようにしたんです」(マツザカ)。

 それらのデモ曲を入口として、Sugar's Campaign吉田ヨウヘイgroupHAPPYといった邦楽アクトからタヒチ80ディアフーフといった海外勢との共演を果たした精力的なライヴ活動で評判を高めてきた彼らのデビュー・アルバム『Awesome City Tracks』がついに完成!

Awesome City Club Awesome City Tracks CONNECTONE(2015)

 Chara大橋トリオ思い出野郎Aチームなどを手掛けるmabanuaをプロデューサーに迎えた全7曲は生楽器とシンセサイザー、打ち込みを絶妙なさじ加減でブレンド。キラキラと光を放つメロディー・オリエンテッドな楽曲としなやかなディスコ・グルーヴが彼らのイメージする架空の街を開放感と共に駆け抜けてゆく。

 「私にとっての架空の都市は、いろんなものが混在している感じ。国籍、ジャンルに囚われず、自分たちがやりたいことを自由に表現できる場所だと思いますね」(PORIN、ヴォーカル/シンセサイザー)。

 「現実感と非現実感のちょうどいい部分、それから心地良さを街のサウンドトラックとして表現できたらいいな、と」(ユキエ、ドラムス)。

 「(彼らが標榜している〈シティー・ポップ〉とは)ざっくり言ってしまえば、〈都会で活動している若者が作る音楽〉の総称ですかね。ただ、そう言いながらも明確なイメージはなかったりするんですけど、この5人がそれぞれやってること、持ち寄ったものが、結果的に架空の街のサウンドトラックになるんじゃないかなと思ってますね」(マツザカ)。

 とかく、嘆きや憂う言葉で埋め尽くされがちないまの時代だが、音と言葉を絵筆の代わりに、彼らが描くその風景は色彩感覚に溢れ、躍動感に満ちている点にこそ、新世代のポップセンスが息づいているように感じられる。

 「年配の方には〈CDが売れないいまの時代に音楽やってる子は可哀想だよね〉って言われたりもするんですけど(笑)、他の時代を体験してない私にとってはそれが普通だし、満足していますからね」(PORIN)。

 自由に音楽を聴いたり、作ったり、はたまた発信することが可能になった時代の昂揚感を謳歌しつつ、もちろん、彼らはその儚さにも自覚的であり、その自覚が繊細なタッチとなって、聴き手の琴線に触れるのだろう。

 「ヴォーカルのAtagiが聴いているソウルとか、ルーツ寄りのブラック・ミュージックと僕がUSインディーの流れで聴くようになったブラック・ミュージックのテイストがリンクすることでいまの僕らの土台が形作られているんですけど、それは自分が親しんでいた90年代のJ-Popに近い気もしていて。例えば小沢健二さんとか、その頃においてはゴスペルとかソウルの持つ多幸感がJ-Popとして表現されていたじゃないですか? それがいまの時代の昂揚感や刹那的で泣ける感じと合ってる気がするし、そういう音楽が僕たちにとっては気持ち良いんですよね」(マツザカ)。   

 

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