インタビュー

JOHN FRUSCIANTE 『Enclosure』(1)

進化を止めないジョン・フルシアンテの現状レポート

JOHN FRUSCIANTE 『Enclosure』(1)

 もはや〈レッド・ホット・チリ・ペッパーズの元ギタリスト〉というイメージからすっかり脱却し、エレクトロニック・ミュージック・プロデューサーとして認知されるようになったジョン・フルシアンテが、自身の超絶ギター・プレイ、エキセントリックなヴォーカル、そしてエイフェックス・ツインにも劣らないドラム・プログラミングを融合させたニュー・アルバム『Enclosure』を発表した。本作のコンセプトはずばり、ポップ・ミュージックを実験的なエレクトロニック・ミュージックのアプローチからプロデュースすることだった。

JOHN FRUSCIANTE Enclosure Record Collection/RUSH!/AWDR/LR2(2014)

 「伝統的なソングライティングを、非伝統的な方法でプロデュースすることがコンセプトだったんだ。俺のソングライティングは60年代や70年代のスタイルを継承しているんだけど、プロダクションは過去30年間のエレクトロニック・ミュージックの方法をすべて採り入れている。伝統的な音楽的思考を、モダンなエレクトロニック・ミュージックの思考と融合させたんだよ」。

 2012年にリリースされた『PBX Funicular Intaglio Zone』から、ジョンはアシッド・ハウスドラムンベースの要素を自身のギターやヴォーカルと組み合わせるようになり、昨年にはLA出身のラップ・デュオであるブラック・ナイツの実験的なヒップホップ・アルバム『Medieval Chamber』もプロデュース(発表は2014年)。そして、『Enclosure』ではこの2つのスタイルを究極の形で融合している。

 「俺はシンガーソングライターでもあり、プログラマーでもあるから、両方を組み合わせられるんだ。ジャングル・プロデューサーのようなプロダクションを曲に採り入れながら、自分のヴォーカルに必要な空間作りもできる。だから、ギターとヴォーカルを使って作曲してから、そこにエレクトロニック・ミュージックのようなトラック作りを採り入れているんだ。その両方の世界を融合しているんだよ。俺が伝えたいメッセージは〈この2つの世界は別々のものではないんだ〉ということだね」。

 本作収録曲は、1曲のなかでダウンビートのリズムから突然ドラムンベースのリズムへと変わったり、メロディーや曲調もがらりと変貌し、数々の予想外な展開が特徴となっている。

 「機材とのインターアクティヴなプロセスから曲が生まれるんだ。そこが伝統的な楽器を使わないことの楽しさなんだよ。ギターの場合、演奏するとリアルタイムで音が出てくるよね。ブレイクビーツやドラムマシーンを使う場合は、まったくアイデアがないところから出発しても、機材やコンピューターとの相互作用からアイデアが生まれる。前もって曲を書いていなくても曲が作れるんだ。だから伝統的な音楽理論とドラムマシーンを組み合わせることが楽しいんだよ。俺がひとつのアクションを起こすと、コンピューターがそれに対してアクションを起こして、その作業を続けていくうちに、新しい発見があるからね」。

 レッチリでの長いツアー生活に疲れ果ててソロ活動に打ち込むようになったジョンは、インタヴューもほとんど受けなくなったが、それはすべての時間を音楽の研究と制作に時間を費やしたいからのようだ。

 「俺はミュージシャンを尊敬しているわけじゃなくて、音楽そのものをリスペクトしている。音楽を崇拝しているし、音楽を愛しているけど、音楽を作っている人間は、音楽を邪魔することが多い(笑)。ミュージシャンが自分をプロモーションすることに比重を置くようになって、音楽の質が落ちるのを目の当たりにすると残念な気持ちになるね。俺がリスペクトするタイプの人間は、恐れずに逆境に立ち向かって、人に指示されずに自分の生き方を貫く人。でもポップ・ミュージシャンの多くは、それができないんだ」――そんな音楽に全身全霊を捧げるジョンから、目が離せるはずはない。

 

▼ジョン・フルシアンテの作品

左から、2012年のEP『Letur-Lefr』、2012年作『PBX Funicular Intaglio Zone』、2013年のEP『Outsides』(すべてRecord Collection)
ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

関連アーティスト