戦前音楽主義者であるこの酔狂なシンガー・ソングライターが、ラウンダーと契約したそうで。かくしてこんな世にも幸せなアルバムが誕生することに。40年代風のファッションで粋にキメた彼は、ここでも〈いまはいったいいつなんだ?〉って言いたくなるほど古色蒼然とした響きを持つ音楽を、嬉々としてプレイしている。ペダル・スティールの音色がうららかなスウィング曲や、ミシシッピ・ジョン・ハートの顔がふと浮かんでくるカントリー・ブルースなど、極めて正確に〈あの時代〉の空気感を作り上げてみせるわけだが、自分の信じるスタイルに微塵の迷いもなさそうな点が頼もしくてカッコイイ。エキゾ・ムード満点のフラメンコ曲“Goodbye, Barcelona”なんかも、めちゃくちゃヒップなんだよな~。